深刻な社会問題として挙がる少子高齢化ですが、子どもの減少にともない労働人口の減少、国内の生産性も平成初期に比べて軒並み低下している状況です。(※1)
景気の冷え込みからくる企業の先行き不安、終身雇用への期待低下も目立ち、会社員としての生活が保障されにくくなっているといえます。そのため国は労働人口を確保するために高齢者の雇用促進に積極的です。

今回紹介する「生涯現役起業支援」とは、そのような雇用促進政策の一つといえます。この制度は 独立開業しようとする人たちを国が援助するというものであり、助成金を貰うためにはいくつかの条件の達成が必要です。助成金制度は、難しい用語が使われてわかりづらいことがあるので、ここではできる限りわかりやすく説明していきます。

生涯現役企業支援金の受給条件や受給額

まずは受給条件や受給額を確認してみましょう。

受給のための主な要件を簡潔にまとめると次の通りです。

○起業基準日の年齢が40歳以上であること

○本助成金の利用が初めてであること

○計画期間内に雇い入れた対象労働者の過半数が離職していないこと

○起業基準日から起算して支給申請日までの間における離職者の数が、計画期間内に雇い入れた対象労働者 の数を超えていない事業主であること

○60歳以上の対象である労働者を1人以上・40歳以上60歳未満の対象である労働者を2人以上又は40歳未満の対象労働者を3人以上雇用していること

上記のほかにも必要な条件はいくつかありますので詳細は厚生省のホームページか窓口で確認しましょう。

次にこの助成金の助成額です。

【起業者が高年齢者(60歳以上)の場合】

○助成額の上限:200万円

○助成率:2/3

【起業者が上記以外の者(40歳~59歳)の場合】

○助成額の上限:150万円

○助成率:1/2

以下では更に具体的な助成条件や概要について解説していきます。

生涯現役起業支援ってどういうこと?

生涯現役起業支援とは、 40歳以上で会社を興して人を雇おうとする中高年の支援のための助成金です。社員の求人を情報誌などに掲載する費用や、新社員が資格を取得するための費用などに補助金が交付されます。
どのような会社形態にしろ、起業するにはある程度の資金が必要不可欠です。生涯現役起業支援を受けるためには職員の雇用も条件の一つであり、その職員にも給料を払わなければなりません。雇用にかかわる資金はどこから出るのでしょうか?何より先立つものは、お金です。創業するにはやはり資金リスクがつきもので、これを避けるために起業というものに対しては消極的なイメージがつきまといます。

そこで、生涯現役支援制度が登場しました。国が補助金という形で開業リスクを減らす支援をしてくれます。起業にはさまざまな支出が経営者にのしかかりますが、この制度を使うことで、雇用の際に発生する支出を負担してくれます。何気なく求人広告に載っている企業を見ることがありませんか?あれらは全て広告料を払って掲載してもらっているのです。他にも職場見学やインターンシップ、人材募集やパンフレットの作成費用など、人を雇おうとすればそれ相応に負担がかかります。

この雇用にかかる費用に補助金をだすことで、起業する人の経済的負担を減らそうとするのがこの制度の狙いです。間違えてはいけないのですが、 生涯現役起業支援助成金は起業後の雇用にかかる費用の補助をしてくれるもので、開業資金を調達できるものではありません。そのような違いはきちんと整理して把握しておきましょう。(※2)

Check!

「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!

助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説

具体的な受給条件って?

生涯現役起業支援の助成金を受けるためには、起業する人がある一定の条件を満たしている必要があります。

まずは 「起業者が起業した法人または個人事業の業務に専ら従事すること」です。当たり前のことですが、自分の会社に責任を持って業務に取り組んでいるかという問いかけです。次に 「起業者の起業基準日における年齢が40歳以上であること」は創業した時の年齢が40歳以上になっていることが条件です。

20歳の若手が起業しようとしても、生涯現役起業支援の助成金は受給できません。これは中高年世代の起業や就業を応援するためという趣旨でこの制度が設けられているからでしょう。
他にも以下のような要項があります。
「起業基準日から起算して11か月以内に「雇用創出措置に係る計画書」を提出し、都道府県労働局長の認定を受けていること。認定にあたっては、『公的機関等の実施する創業支援』を受けていること、当該事業分野において一定年数以上の職務経験を有していることなど、事業継続性の確認がある」

つまり、起業してから早めに従業員をどのようにして雇用して、教育していくか、それはいつまでにするかという計画書を出すことが求められます。人をどのように雇うつもりか、どのように経営を続けていくのかという点をはっきりしておくことが必要です。他の項目には、一定数以上の新しい従業員を雇うことや、従業員が辞めないことというものもあります。

まとめると、 40歳以上の社長がしっかり働いていて、従業員が気持ちよく働ける先行きの明るい会社であれば生涯現役起業支援の助成金を受け取ることができるということです。(※2)

助成金はもらいたいけど… 申請の方法は?

生涯現役起業支援制度でもらえる助成金は、最大で200万円にもなります。起業するにおいてこの制度を利用しない手はありません。当たり前のことですが、条件を満たしていても助成金の申請しなければ受給はできないです。確実な支援を受けるために、生涯現役起業支援の申請の流れを整理しておきましょう。

まずは、起業して事業を開始します。次に雇用創出措置に係る計画書を作って提出してください。具体的な雇用体制と事業計画を書いておきましょう。計画書ができあがればそれを労働局又は、ハローワークに提出し、認定を受けます。

それから一年間、従業員を雇用するための活動を行いましょう。助成金はこの時にかかった費用をもとに計算し、支給されるのです。この雇用に関する取り組みを行っている期間に労働局などから調査員が入ってチェックをします。

雇用創出措置の期間が終わると支給申請書を書いて提出、そこから支給決定すれば助成金が振り込まれるという流れです。それぞれの段階で期限が設けられているので、計画書や申請書の提出はしっかりいつ出すのか決めておくとよいでしょう。(※2)

補助金を利用して積極的に起業しましょう!

起業するにはさまざまな費用がかかります。事業を継続していくための大きな支出であり、かつ大事な収入源となる従業員の存在は、法人・個人問わず欠かせない要素です。ただ労働力を獲得するためのコストはできるだけ抑えたいものですよね。

助成金を受給するための活動も、自分が細かく動くという手間になるため仕事に集中したいという起業家の方もいるでしょう。事業に専念するためにも、助成金申請を業者に代行してもらうというのも一つの手です。何から何まで個人で背負い込もうとせずに、専門の業者に頼んで確実に助成金を確保しましょう!

まとめ

日本は晩婚化や医療の進歩などが原因で少子高齢化が進んでいる状況です。そこで国がまだまだ元気なシニア層の再雇用を積極的に支援するための制度を増やしています。起業後の雇用にかかる費用も助成金を上手に活用すればコストを抑えることが可能です。退職後のセカンドライフを楽しむためにもシニア起業家を目指してみるのはいかがでしょうか。

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。