新しい人材を雇用したいけれど必要な施設や設備の準備 にかける予算がない、そんな悩みを持っている個人事業主は多いと思います。雇用を増やすには受け入れる環境整備も必要です。そんなときには「地域雇用開発助成金」という制度を活用してみましょう。

「地域雇用開発助成金」は、一定の要件を満たしていれば個人事業主でも申請が可能です。雇用する上で必要な施設や設備の準備にあてるための資金として活用でき、新たな人材確保がスムーズになります。雇用を増やすために使える「地域雇用開発助成金」についてご紹介いたしますので、これから起業される方もすでに個人事業主の方もぜひご覧ください。

地域雇用開発助成金とは?

「地域雇用開発助成金」とは、雇用の機会が少ない地域で営業する事業者が、新たな雇用のために事業所の設置または整備に必要な資金を助成する制度です。この助成金を申請するための雇用はその地域に暮らす人が対象になります。設置または整備にともなう費用と雇い入れる対象の労働者の人数に応じて助成されるもので、1年ごとに最大で3回助成金を受けることが可能です。

雇用の機会が少ない地域とは「同意雇用開発促進地域」、「過疎等雇用改善地域」そして「特定有人国境離島地域等」の3つを指します。このいずれかに該当している地域であれば利用が可能な制度です。働く場所が少ない地域で暮らす人を雇用することは、地域の潤いと活性化につながります。営業を行っている地域が潤えば事業にも相乗効果が見込めます。(※1)

具体的に必要な条件とは?

「地域雇用開発助成金」は4つの条件を満たしていれば利用できます。

1つは対象地域での雇用にともなう施設や設備の設置または整備や雇用に向けての計画を作成して、それを労働局長に提出することです。

2つ目として施設や設備の設置は計画書に沿って期間内に行わなければなりません。ただし、完了までに要する期間は最大で18カ月間と余裕があります。

そして3つ目は計画書にある期間内に雇用を実現することです。雇用に関してはハローワーク等の紹介を受けていることが原則で、雇用保険一般被保険者として3人以上を雇用します。ただし創業する場合は2人でも問題ありません。

4つ目は施設や設備の設置が完了したときの雇用保険一般被保険者の人数が、計画日の前日と比較して3人以上増えていることです。

創業の場合は計画日の前日より2人増加していることが条件になります。個人事業主として新たに起業する際にも、雇用にともなう事業所の設置や設備の補助として役立ててみましょう。(※1)

Check!

「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!

助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説

助成金を利用して受けられる特例とは?

「地域雇用開発助成金」には 業種や地域に応じて受けられる特例措置があります。個人事業主でも可能なものはあるので、該当する場合は活用してみましょう。

まず1つ目は大規模雇用開発を行う事業者に対しての特例措置です。雇用人数は100人以上または200人以上、施設や設備の費用は50億円以上と大がかりなものが対象になります。こちらは個人事業主の場合は現実的ではない特例措置かもしれませんが、事業を拡大して法人にした場合に活用できるのではないでしょうか。

そして2つ目は「戦略産業雇用創造プロジェクト」、「地域活性化雇用創造プロジェクト」に参加する事業主に対しての特例措置です。該当している場合は、1回目の助成金支給の際に雇用者1人あたり50万円が支給額に上乗せされます。「地域雇用開発助成金」で支給される助成金の基本受給額は施設や設備の費用と雇用人数に応じて定められています。その金額に1人50万円が加算されるということです。(※1)

助成金を受け取るための申請方法は?

地域雇用開発助成金を申請するには、まず「地域雇用開発奨励金計画書」を作成しましょう。創業の場合、「創業計画認定申請書」も併せて提出します。申請書には会社名や代表者名、そして事業所の所在地に雇用人数などを記入します。会社名のところは個人事業主の場合は屋号で問題はありません。 申請書ならびに計画書の用紙は厚生労働省のホームページからもダウンロードできます。問い合わせや申請は労働局またはハローワーク、そして各都道府県に設けられた「雇用関係各種給付金申請等受付窓口」で対応しています。計画書にともなう詳細や不明点についてはそれぞれ最寄りの窓口に確認してみましょう。

地域雇用開発奨励金計画書を申請したあとは審査があります。さらに完了書の提出も必要です。申請がすべて完了して雇用などの確認ができてから助成金が受給できるので誤解のないようにしましょう。(※1)

この地域雇用開発助成金の対象となるには、厳格な条件がありますので自分の事業所が助成金を受給できる条件に当てはまっているのか、またどのように雇用したら良いか分からない方は専門家を利用しましょう。また、計画書の作成などに慣れていない場合は、社労士など書類の作成と申請の代行を行なってくれるところもあります。

他にも個人事業主が活用できる助成金を調べてみよう

事業者を対象にした助成金は中小企業に向けたものも多いですが、個人事業主が利用できるものも色々あります。

助成金制度をうまく活用すれば銀行から借り入れをせずに自己資金で起業ができ、良い人材が確保できればそれだけ事業を大きくできる可能性も出てきます。そして雇用を増やせば働く場所がなく困っている人に仕事を提供もできます。

「地域活用開発助成金」のように地域の活性化を目的にした助成金の他にも、事業を行う上で 個人事業主も活用可能な助成金や補助金を調べて活用するのは良い方法で、多くの個人事業主が上手に活用しています。個人事業主でも利用できる助成金の制度について不明な点や確認したいこと、そして疑問点などは労働局や各都道府県でも相談は可能です。

厚生労働省のホームページでも助成金について検索できるものは多いので、必要な条件に沿っている助成金や補助金があればぜひ活用してください。また、 助成金の申請代行サービスを利用するという方法もあります。起業に向けて、自分ではきっちり申請書を準備して助成金をもらうつもりだったのに条件を満たさず支給されないなんてことが起こると資金を圧迫しかねません。自信がない場合は社労士または行政書士であれば代行は可能なので専門家を活用するのも良いでしょう。

※1.【厚生労働省】地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)

まとめ

地域雇用開発助成金を受給するには計画書の申請の手続きや審査など手間がかかる場合もありますが、この助成金の制度を知っておけば新たに雇用を増やすための資金が必要なときに大きな助けとなります。助成金に関する対象条件はその年によって変わることがありますので、各自治体の情報や厚生労働省のホームページはこまめにチェックしてみましょう。

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。