社員教育・育成のために、社員研修を実施している企業は多くあるでしょう。しかし、実はその費用に助成金を活用できることはご存知でしょうか。すでに研修を行っている会社も、研修内容を調整することで、費用を抑えられる可能性があります。
そこで、この記事では社員研修に活用できる助成金をご紹介します。
目次
社員研修に助成金を利用すべき理由
社員研修を実施するにあたり、助成金を利用すべき理由について解説します。
外注する費用を軽減できる
社内におけるOJTだけでなく、社員研修を外注することでより質の高い研修が期待できます。しかし、外注する場合には、研修費用がかかってきます。
研修費用の相場は、研修内容や期間、受講人数などにより異なりますが、2~3日間の研修の場合、一般的な料金相場は以下のようになっています。
研修の種類 | 料金相場 |
---|---|
管理職向け研修(参加人数5~10名) | 約40~60万円 |
新卒者・新入社員向け研修 (参加人数20~30名) |
約150~250万円 |
OJTやロープレなどの実践研修 (参加人数10~15名) |
約80~120万円 |
また、最近では、この他にもプログラミングなどのIT系の研修を社員が受けることもあるでしょう。そうした場合の費用をすべて負担するとなると、費用は数百万円以上になる可能性もあります。
そのため、費用の一部を軽減するために、助成金の活用がおすすめです。
従業員のモチベーションが向上する
社内の先輩社員によるOJTにて業務手順や注意点といった、仕事を実施するための方法を教えてもらうことは、経営活動を継続するうえで欠かせない教育・育成といえます。
それ以外にも、外注の社員研修を受けることで、教育・育成のプロから新しい視点やノウハウ、スキルなどを得られる可能性があるでしょう。そのため、社員研修を受けることで、一時的な費用はかかるものの、社員のモチベーションアップやスキルアップが見込めます。その結果、自発的な取り組みを実施する社員が増え、自社の成長につながるといった長期的な効果も期待できるようになるでしょう。
助成金を活用して社員研修を受けることで、経営負担を最小限に抑えつつ、社員の成長による自社の生産性や競争優位性の向上につなげられます。
【全国】社員研修・人材育成に利用できる助成金
社員研修や人材育成のために利用できる助成金を紹介します。
社員研修に活用できる:人材開発支援助成金
人材開発支援助成金とは、従業員のスキルアップのために、従業員の訓練・研修を行っている事業主に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを支援する制度です。
これまで、特定訓練コース、一般訓練コース、特別育成訓練コースの3つがありました。しかし、令和5年4月に各種訓練コースが人材育成支援コースに統合されたり、令和4年から新コースが創設されたりしたことで、2023年5月22日現在は以下の7コースになっています。
コース名 | 概要 |
---|---|
人材育成支援コース | 正社員のスキル・ノウハウ向上のための訓練や非正社員の正社員化を目指す訓練などの実施において助成するコース |
教育訓練休暇等付与コース | 従業員の能力向上のため、訓練を受けるための休暇制度を導入し、従業員がその休暇を取得・訓練を受けた場合に助成するコース |
人への投資促進コース | デジタル人材・高度デジタル人材を育成する訓練などを実施した場合に助成するコース |
事業展開等リスキリング支援コース | 事業展開により、新たに必要となったスキル・ノウハウ習得のための訓練を実施した場合に助成するコース |
建設労働者認定訓練コース | 建設関連の訓練などを実施した場合に助成するコース |
建設労働者実習コース | スキル向上のための実習を有給で受給させた場合に助成するコース |
障害者職業能力開発コース | 障害者の職業に必要な能力の習得・向上のための継続的な教育訓練を実施した場合に助成するコース |
人材開発支援助成金の支給条件・対象者・助成金額などの詳細は、以下のホームページをご覧ください。
参考:厚生労働省「人材開発支援助成金」
人材育成に活用できる:キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは、派遣社員・パート・アルバイトなどの非正規雇用労働者のキャリアアップのために、正社員登用・処遇改善などの取り組みを実施した企業を支援する制度です。
2023年5月現在、以下の6コースとなっています。
目的 | コース名 | 概要 |
---|---|---|
正社員化 | 正社員化コース | 有期雇用社員労働者などを正社員に転換した会社を助成するコース |
障害者正社員コース | 障害のある有期雇用労働者を正社員に転換した会社などを助成するコース | |
処遇改善 | 賃金規定等改訂コース | 有期雇用労働者の基本給などの賃金規定を改定し、給料を3%以上増額し、6ヶ月以上適用した会社を助成するコース |
賃金規定等共通化コース | 有期雇用労働者と正規雇用労働者の共通の賃金規定などを新たに規定し、6ヶ月以上適用した会社を助成するコース | |
賞与・退職金制度コース | 有期雇用労働者などを対象とした賞与・退職金制度を導入し、支給もしくは積立を実施した会社を助成するコース | |
短時間労働者労働時間延長コース | 有期雇用労働者などの週所定労働時間を延長し、社会保険が適用された会社を助成するコース |
キャリアアップ助成金の特徴や各コースの詳細については、以下の記事をご覧ください。
関連記事:キャリアアップ助成金とは?コースや申請方法を解説!
また、キャリアアップ助成金の支給条件・対象者・助成金額などの最新情報は、以下のホームページをご覧ください。
参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金」
以上、2つの助成金をご紹介しましたが、違いは対象範囲にあります。人材開発支援助成金は正社員が対象である一方、キャリアアップ助成金は非正規社員が対象です。そのため、2つの助成金は、併用可能となっています。
また、ともに中小企業や個人事業主でも活用できるため、積極的に利用することがおすすめです。
「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!
助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説【東京都】社員研修・人材育成に利用できる助成金
東京都において、社員教育・育成のための研修に利用できる助成金を紹介します。
いずれの助成金も、中小企業や個人事業主を対象にした助成金です。ただし、オンラインスキルアップ助成金は、個人事業主が対象外となっています。
東京都以外でも、各地方自治体が独自に助成金や補助金を実施している場合があります。そのため、国だけでなく自社のある地方自治体のホームページも確認することがおすすめです。
社員研修に助成金を利用する際の注意点
社員研修に助成金を利用する際の注意点は、自社の経営計画や経営方針と照らし合わせたときに、有意義な研修制度になっているかどうかを見極めることです。
助成金を受給するには、研修制度を整え、運用し続けることが必要です。しかし、自社に適した制度でなければ、研修が負担になることもあるでしょう。
社員研修制度を制定し、自社の経営を発展させていくためには、方針や計画を立てることが大切です。信頼できる助成金コンサルティング業者に依頼することで、助成金を活用しつつ、自社の成長につながるような適切なアドバイスが受けられるでしょう。
関連記事:助成金・補助金の申請代行とは?費用やメリット、選び方をまとめて解説!
その他、人材確保に利用できる助成金
社員研修以外の魅力的な職場づくりに利用できる助成金を紹介します。
人材確保等支援助成金
人材確保等支援助成金とは、労働環境の向上などを実施し、魅力ある職場づくりを目指している事業主を支援する制度です。雇用創出を図ることで、人材確保や定着を目的としています。
また、職場定着支援助成金は平成30年度以降、人材確保等支援助成金に統合されました。
以下、9つのコースが設けられています。
- 雇用管理制度助成コース
- 介護福祉機器助成コース
- 中小企業団体助成コース
- 人事評価改善等助成コース
- 建設キャリアアップシステム等普及促進コース
- 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
- 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
- 外国人労働者就労環境整備助成コース
- テレワークコース
人材確保等支援助成金の詳細は、以下のホームページをご覧ください。
参考:厚生労働省「人材確保等支援助成金のご案内」
働き方改革推進支援助成金
働き方改革推進支援助成金とは、時間外労働や働き方の改善に向けた取り組みを行う中小企業の事業主を支援する制度です。
以下、4つのコースが設けられています。
- 労働時間短縮・年休促進支援コース
- 勤務間インターバル導入コース
- 労働時間適正管理推進コース
- 団体推進コース
働き方改革推進支援助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:「働き方改革推進支援助成金」とは?基本情報や2023年の実施予定を徹底解説!
まとめ
社員研修を行い、自社の従業員のレベルアップを図ることで、他社との優位性の維持につながります。しかし、社員研修には多額の費用がかかる場合があるでしょう。そのため、継続的な社員育成・教育の制度を設けるためには、費用面の負担を抑えられる助成金の活用がおすすめです。
各助成金の受給条件を確認するとともに、不安な点があれば助成金のコンサルティング会社を利用すると良いでしょう。助成金・補助金の申請を検討される場合、一度、無料診断を試してみてはいかがでしょうか。
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助成金の基礎知識はこちらをご覧ください。
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