少子高齢化によって人材不足が深刻化する中、社内で働く人のスキルアップを推進するべく人材育成に注力する企業が増えています。また、個人においても自分自身のスキルアップを行うことで、より社内で活躍ができたり、自分に適した企業に転職できたりするケースもあります。

しかし、キャリアアップのための人材育成・訓練にかかる費用は、企業や個人のどちらにとっても負担となることも多いでしょう。そうした企業や個人に向けて、国や地方自治体は助成金や支援制度を実施しています。

そこで、この記事では、企業や個人がスキルアップに利用できる助成金・支援制度を解説します。

【企業】スキルアップに利用できる助成金

ここでは、企業が社内で働く人のスキルアップに利用できる助成金を紹介します。

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金とは、雇用している社員に対して職務に関連した専門知識や技能を習得するための職業訓練を実施した場合に、かかる費用を一部助成する制度です。

人材開発支援助成金には、以下の6つのコースがあります。

  • 人材育成支援コース
  • 教育訓練休暇等付与コース
  • 人への投資促進コース
  • 事業展開等リスキリング支援コース
  • 建設労働者認定訓練コース
  • 建設労働者技能実習コース
  • 障害者職業能力開発コース

コースにより、支給要件や助成額・助成率は異なります。
例えば「人材育成支援コース」で人材育成訓練のOFF-JTを行った場合、賃金助成額は1人1時間あたり780円(中小企企業以外は380円)です。

人材開発支援助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2023年最新】人材開発支援助成金とは?各コースを徹底解説

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、パート・アルバイト、派遣社員などの非正規雇用労働者のキャリアアップ促進のため、正社員化・処遇改善に取り組む事業主を助成する制度です。

キャリアアップ助成金には、以下の6つのコースがあります。

  • 正社員化コース
  • 障害者正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 賞与・退職金制度導入コース
  • 社会保険適用時処遇改善コース

コースにより、支給要件や助成額・助成率は異なります。
例えば「正社員化コース」で、1人の有期雇用労働者を正社員化した場合には80万円(大企業は60万円)、無期雇用労働者を正社員化した場合には40万円(大企業は30万円)が支給されます。

キャリアアップ助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2024年最新】キャリアアップ助成金とは?各コースを徹底解説

産業雇用安定助成金

産業雇用安定助成金とは、自社の人材を「出向」させて雇用維持・人材育成を行う事業主を助成する制度です。

産業雇用安定助成金には、3つのコースがあります。

  • スキルアップ支援コース
  • 産業連携人材確保等支援コース
  • 事業再構築支援コース

※雇用維持支援コースは、令和5年10月1日で廃止されました。

スキルアップに利用できるのは、「スキルアップ支援コース」です。
スキルアップを目的とした在宅型出向に加え、実施後に5%以上賃金を向上させることで、助成されます。助成率は中小企業が2/3、中小企業以外は1/2となっています。

産業雇用安定助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【最新版】産業雇用安定助成金とは?各コースをわかりやすく解説

【東京都】社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金

社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金とは、東京都内の中小企業または中小企業の団体が実施する短時間の職業訓練を、従業員に受講させる中小企業などを助成する制度です。

助成限度額は以下のようになっています。

  • 助成対象期間内に交付申請できる金額
    1助成対象事業所あたり、社内型と民間派遣型を合計して100万円が上限(交付決定前に交付申請を撤回した部分は除く)。
  • 助成対象受講者1人あたりの助成対象訓練の時間
    社内型と民間派派遣型を合計して、助成対象期間内100時間が上限。

令和5年度の交付申請を受付終了しています。今後の情報については、東京しごと財団のホームページを確認してください。

また、企業の人材育成やリスキリングに活用できる助成金・補助金について、以下の記事で解説しています。あわせてご覧ください。
関連記事:【2023最新】社員研修・人材育成に活用できる助成金一覧!

関連記事:【2023最新】リスキリングに利用できる助成金・給付金一覧!

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【個人】スキルアップに利用できる支援制度

ここでは、個人のスキルアップに利用できる支援制度を紹介します。

教育訓練給付制度

教育訓練給付制度とは、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練講座を自己負担で受講したときに、教育訓練にかかった経費の一部が給付される制度です。
対象は、一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者(在職者)や一般被保険者等であった離職者です。

講座を修了した場合、本人が支払った教育訓練費用の20%(上限10万円)がハローワークから支給されます。

訓練の内容や支給要件の詳細は、厚生労働省のホームページをご覧ください。

ハロートレーニング

ハロートレーニングとは、求職者が希望する仕事に就くために必要な職業スキルや知識などを習得できる支援制度です。

「公共職業訓練(離職者訓練)」と「求職者支援訓練」の2種類があり、離職者であればどちらも受講料無料です。
また、求職者支援訓練において一定の支給要件を満たす場合は、職業訓練の受講を支援するための給付金(職業訓練受講給付金)が受けられます。

ハロートレーニングの詳細は、厚生労働省の特設ページをご覧ください。

母子(父子)家庭自立支援給付金

母子(父子)家庭自立支援給付金とは、母子家庭の母または父子家庭の父の経済的な自立を支援する制度です。

母子(父子)家庭自立支援給付金では、以下の2つの事業を行っています。

  • 自立支援教育訓練給付金
  • 高等職業訓練促進給付金等事業

自立支援教育訓練給付金では、対象の教育訓練を受講・修了した場合、経費の60%が支給されます。

支給要件や給付額の詳細はこども家庭庁のホームページをご覧ください。

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スキルアップに利用できる助成金・支援制度を活用する際の注意点

スキルアップに利用できる助成金・支援制度を活用する際の注意点を解説します。

支給要件をよく確認する

助成金や支援制度を利用する際は、各制度の支給要件を事前によく確認しましょう。
基本的に、支給要件とともに不支給要件も定められています。自社が該当する場合には、支給要件を満たしていても受給できません。

支給要件の内容がよくわからない場合や、理解する時間を十分に取れない場合には、助成金申請のコンサルティング業者に依頼することがおすすめです。
自社に適した助成金の提案や手続きのサポートなども行ってもらえるため、自社で行う工程を大きく低減できるでしょう。

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期限内に必要な手続きを行う

助成金を申請する際には、基本的に計画届を提出し、事業を実施します。そして、実施後に助成金申請を行うことが必要です。

それぞれの書類の提出には期限が設けられているため、必ず期限内に必要な手続きを行いましょう。助成金によっては多数の必要書類の提出が求められることもあるため、できる限り早めに準備してください。

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まとめ

この記事では、企業や個人がスキルアップに利用できる助成金・支援制度を解説しました。

助成金や支援制度を利用するには、必ず各制度に定められている支給要件を満たしたうえで、規定の手続きを行うことが必要です。

「自社の取り組みで受けられる助成金はあるのか」「支給要件を満たすために足りない取り組みは何か」がわからないという企業の方は、プロのコンサルに依頼すると確実な受給につながります。まず以下から無料診断を受けてみてはいかがでしょうか。

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弊社担当のご紹介
黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。

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