原油価格や物価の高騰などのさまざまな要因が重なり、資金調達が必要な運送業者もいるでしょう。

その際に、活用したいのが助成金や補助金です。助成金や補助金は国や地方自治体が主導しているものが多く、安心して利用できる返済不要な支援金です。

そこで、この記事では運送業者が活用できる助成金・補助金を一覧にまとめました。また、助成金・補助金を申請するメリットや申請する際のポイントについても解説します。ぜひ、参考にしてください。

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運送業が助成金・補助金を利用するメリット

運送業が助成金・補助金を利用する最大のメリットは、国や地方自治体などから返済不要の資金調達をできるところにあります。

資金調達が必要な理由は、人手不足や厳しい労働環境の解決に向けて、職場環境を整備したり、人材育成したりできるように組織体制を整える必要があるためです。特に新型コロナウイルスの流行以降、オンラインショップでの購買が増えたことで運送の需要が増え、より過酷な職場環境に陥ってしまった企業も少なくありません。

組織体制を整備し助成金を得られることは、運送業にとって体制の強化と資金調達を両立できることになり、助成金・補助金を利用する大きなメリットといえるでしょう。

助成金の概要や補助金との違いは下記で解説しています。
関連記事:助成金とは?注意点など知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説!
関連記事:補助金と助成金の違いとは?それぞれの流れや注意点、交付金や給付金との違いもわかりやすく解説!

運送業が利用できる助成金一覧

助成金は、各助成金に設けられた支給要件を満たすことで受給できるお金です。ここでは運送業が利用できる助成金一覧を紹介します。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者や短時間労働者、派遣労働者(パート・アルバイトや派遣社員、契約社員)などの非正規雇用労働者の正社員化、処遇改善に取り組んだ事業主を助成する制度です。

正社員化コースの受給金額は、「有期雇用労働者→正社員」に転換した場合、中小企業では80万円(大企業では60万円)です。

運送業では、非正規雇用労働者が活躍している企業が多いでしょう。正社員化したり、賃金規定を改正したりといった取り組みを実施している場合、助成金を得られる可能性があります。

キャリアアップ助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:キャリアアップ助成金とは?コースや申請方法を解説!

業務改善助成金

業務改善助成金とは、企業の生産性向上や最低賃金の引き上げを支援することで、事業場内の業務改善を図る制度です。助成金を受給する具体的な取り組み例は、以下のとおりです。

  • デジタルタコグラフなどの生産性向上のための設備投資
  • 関連する広告宣伝費など
  • コンサルティング依頼料
  • 人材育成・教育訓練

過去には、運送業ではデジタルタコグラフ(運行記録計)を導入して日報や時間管理を業務効率化し、4人の労働者の時給を50円アップした企業が、業務改善助成金を受給した事例があります。

業務改善助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2023年最新】業務改善助成金とは?概要や目的、助成額を徹底解説

働き方改革推進支援助成金

働き方改革推進支援助成金とは、働き方改革を進める中小企業の事業主を支援する制度です。

運送業は、適用猶予業種等対応コースの対象となっています。そのため、時間外労働の削減や週休2日制の推進などの取り組みを実施することで、助成金の支給対象となります。

働き方改革推進支援助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2023年最新】働き方改革推進支援助成金とは?各コースを徹底解説

全日本トラック協会助成事業

全日本トラック協会に加入している運送業者であれば、全日本トラック協会の助成事業を活用できます。以下に、令和5年度の助成事業をまとめました。

安全対策事業 安全装置等導入促進助成事業
ドライバー等安全教育訓練促進助成制度
トラック運転者の「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」スクリーニング検査助成事業
血圧計導入促進助成事業
環境対策事業 環境対応車導入促進助成事業
アイドリングストップ支援機器導入促進助成事業
経営改善事業 若年ドライバー確保のための運転免許取得支援助成事業
中小企業大学校講座受講促進助成制度
自家用燃料供給施設整備支援助成事業 <終了>
自家用燃料供給施設整備支援助成事業(追加募集)
インターンシップ導入促進支援事業
経営診断事業
中央近代化基金「補完融資」
中央近代化基金「燃料費対策特別融資」
自動点呼機器導入促進助成事業
「働きやすい職場認証制度」認証取得費助成事業

それぞれの助成事業の詳細は、全日本トラック協会のホームページをご覧ください。

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「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!

助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説

運送業が利用できる補助金一覧

補助金は、各補助金の支給要件を満たすだけでなく、予算上限があることから審査を通過することで受給できます。ここでは、運送業が利用できる補助金一覧を紹介します。

事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済や社会の変化に対応するために中小企業などの事業再構築を支援する制度です。

※2024年現在、第12回以降の公募時期は未定です。新型コロナ対策としての役割が終わりつつあるとして、廃止もしくは抜本的な事業の構築し直しが行われる可能性があります。

運送業は人手不足の深刻化や需要が拡大しているため、DX推進による効率化が求められています。そのため、デジタル技術を導入した事業再構築を行う際に活用されています。

事業再構築補助金の詳細は、事業再構築補助金のホームページをご覧ください。

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者などが、働き方改革や賃上げ、インボイス導入などに対応するための革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する制度です。

運送業が活用できる対象経費は、以下のようになっています。

  • 荷物の仕分け装置や配送システムの改築などを行う機械装置やシステム構築費
  • コンサルティングや技術指導を受ける際にかかる専門家経費

ものづくり補助金の詳細は、ものづくり補助金のホームページをご覧ください。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者が労働生産性の向上のために、業務効率化やDXの推進に向けたITツールの導入を支援する制度です。

運送業においては、配車管理や顧客管理、問い合わせ管理などの機能を持つITツールを導入する際に活用されています。

IT導入補助金の詳細は、IT導入補助金のホームページをご覧ください。

【各自治体】燃料費高騰対策支援金

各自治体では、原油価格高騰による資金繰り悪化を緩和するための支援制度を設けています。以下に、関東地方の自治体が実施している支援金の一部をまとめました。

東京都:東京都運輸事業者向け燃料費高騰緊急対策事業
神奈川県湯河原町:原油価格高騰対策支援金
千葉県千葉市:千葉市中小企業者エネルギー価格等高騰対策支援金
栃木県日光市:令和5年度日光市運送事業者等支援金

運送事業者が多い地域では、こうした支援金制度が用意されている可能性があります。一度、自社の拠点となっている地方自治体のホームページを確認すると良いでしょう。

運送業が助成金・補助金を受給するポイント

それでは、最後に運送業が助成金・補助金を受給するポイントを解説します。

助成金・補助金の内容をよく確認する

助成金・補助金の内容をよく確認しましょう。主要な支給要件の他にも細かな条件が設定されている可能性があります。

申請の前に、対象事業主や支給要件、受給額・受給率、申請書類、申請手続きについてよく確認し、把握してください。

提出書類は早めに準備する

助成金・補助金には申請期間が決められているものが多くあります。

助成金・補助金の種類によっては1か月以内と募集期間が短い場合もあります。また、キャリアアップ助成金のように取り組み実施後に申請する場合にも期限が設けられていることも。

期限ぎりぎりに提出し、記入間違いや漏れがあると、最悪の場合申請が認められないこともあるでしょう。そのため、提出書類については余裕をもって早めに準備することがおすすめです。

コンサルに申請サポートを依頼する

助成金・補助金にあまりなじみがないという運送業者の方も多いかもしれません。そのまま手当たり次第に準備を始めてしまうと、思った以上に手間や時間がかかってしまいます。また、申請書類に不備があったり、支給要件を満たせていなかったりするかもしれません。

そうならないように、多くの企業がプロのコンサルに申請サポートを依頼しています。以下の記事で、申請代行について解説していますので、あわせて参考にしてください。
関連記事:助成金・補助金の申請代行とは?費用やメリット、選び方をまとめて解説!

まとめ

運送業の中には、人材不足を問題として抱えている業者もいるでしょう。その場合には雇用創出や働く環境改善を実施することが重要です。取り組みを実施するためには、資金を調達することが求められます。
助成金・補助金を利用することで、返済不要の支援金を受給できるため、企業にかかる負担を低減可能です。

はじめて助成金・補助金を利用する場合には、プロのコンサルティング業者に申請サポートを依頼するとスムーズな手続きにつながります。プロのコンサルティング業者が行う無料相談を受けてみてはいかがでしょうか。

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。