高齢者や障がい者などを対象とする福祉施設を運営する事業主にとって、欠かせない設備に福祉車両があります。安全性や効率化、従業員の負担軽減のためには、車いすの昇降装置や固定装置などを備えた専用車両が必要です。
しかし、福祉車両の導入は高額になることが多いことから、国や地方自治体では福祉車両の導入に関する助成金・補助金といった支援制度を用意しています。
そこで、この記事では福祉施設における軽自動車の福祉車両導入に活用できる助成金・補助金制度や支援制度について解説します。
目次
軽自動車の福祉車両導入にかかる費用相場
最近の軽自動車の福祉車両は、軽自動車と思えないほど機能性に富んだ車種が販売されています。
車いす仕様車の場合には、電動ウインチやフレックススロープなどが搭載されており、オプションでサイドステップを取り付けることも可能です。
こうした軽自動車の福祉車両導入にかかる費用相場を、新車・中古車にわけてまとめました。
- 新車:約200万円~
- 中古車:約70万~200万円
福祉施設を経営する場合には複数台の福祉車両の導入が必要になる可能性もあるでしょう。車両の準備だけで高額な費用がかかることから、軽自動車の福祉車両導入には返済不要な助成金・補助金を活用することがおすすめです。
【事業者向け】軽自動車の福祉車両導入に活用できる助成金・補助金一覧
ここでは、事業者向けの軽自動車の福祉車両導入に活用できる助成金・補助金を解説します。
業務改善助成金
業務改善助成金とは、生産性向上に取り組みながら、かつ事業場内最低賃金を引き上げる中小企業・小規模事業者を支援する制度です。
「事業場内最低賃金の引上げ金額」「引き上げる労働者数」「事業場規模」によって、助成金額は異なります。
福祉施設においては低賃金が問題となることも多いため、多くの企業が賃上げに取り組んでいます。その際に業務改善助成金を活用することで、賃上げや福祉車両導入にかかる費用の軽減が可能です。
ただし、業務改善助成金で車両が助成対象経費となるのは、以下の物価高騰等要件に該当する特例事業者のみであるため注意が必要です。
- 原材料費の高騰など社会的・経済的慣行の変化等の外的要因により、申請前3か月間のうち任意の1月の利益率が、前年同期に比べて3%ポイント以上低下している事業者
実際に、業務改善助成金では福祉施設における送迎用車両の導入事例も多数あります。以下に、その一例の概要をまとめました。
企業概要 | 所在地:大分県 事業内容:社会保険・社会福祉・介護事業 従業員数:7名 |
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課題 | 送迎車両の不足による送迎業務の非効率 |
取り組みの内容 | 7人以上乗車可能な大型の送迎専用の車両を2台導入し、送迎業務を効率化した。 |
取り組みの成果 | 一度に送迎可能な人数が増加し、1日あたりの送迎回数は 0.5 回分削減された。送迎回数の削減に伴い、送迎業務に必要な人員は4名から3名に減少した。 |
賃金引上げ実績 | 利用したコース:90円コース 引上げ労働者数:4人 事業場内最低賃金:822円→918円へ引上げ |
業務改善助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2024年最新】業務改善助成金とは?概要や目的、助成額を徹底解説
競輪とオートレースの補助事業
競輪とオートレースの補助事業とは、競輪とオートレースの売り上げの一部社会福祉などに役立てることを目的とした制度です。福祉車両を整備する事業主を対象としており、導入にかかる費用の一部を補助します。
補助の対象者は、以下のいずれかに該当する団体です。
- 特定非営利活動法人(NPO法人)、一般財団法人、一般社団法人、公益財団法人、公益社団法人、社会福祉法人、更生保護法人、商工会、商工会議所、私立特別支援学校を運営する学校法人、日本赤十字社法等に基づく認可法人
- 同一事業において国又は他の団体(他の公営競技や宝くじ、その他民間助成団体)からの補助を受けていない者
- 直近2年間に本財団から福祉車両の補助を受けていない法人
対象となる経費の一部を紹介します。
- 訪問入浴者
- 助手席リフトアップまたはセカンドシートリフトアップ
- 車いす仕様スロープ式
- 車いす仕様リフト式
補助率は、経費の3/4(上限額は導入する車両により異なる)となっています。
働き方改革推進支援助成金
働き方改革推進支援助成金とは、働き方改革のために職場環境の整備に取り組む中小事業主を支援する制度です。
5つのコースがあり、そのうち福祉車両導入に活用できるのは「働き方改革推進支援助成金 (労働時間短縮・年休促進支援コース)」です。
取り組みの実施に要した経費の一部を、成果目標の達成状況に応じて、以下のいずれかのうち低い方の金額が支給されます。
- 成果目標1~3の上限額および賃金加算額の合計額
- 対象経費の合計額×補助率3/4(※)
(※)常時使用する労働者数が30人以下かつ、支給対象の取り組みで6~9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5
一般車は助成金対象外であるため、基本的に車検証が「乗用自動車等」の場合には対象となりません。対象となるのは、車検証が「貨物自動車等」「特種用途自動車等」に該当する車いす移動者が挙げられます。
ただし、車検証が「乗用自動車等」の場合にもQ&Aに以下のような質問回答があるため、支給対象となる場合があります。
Q. 障がい者支援施設で利用者の送迎を行うための車について、福祉車両は通常の乗用車とは異なる特殊機能を備えているものの、車検証が「乗用」の場合は支給対象外となるのか。
A.車検証が「乗用」の場合であっても、「特種用途自動車等類似の自動車であって、特種な目的に専ら使用するものと認められるもの」は対象と認めているので、本件車いす車両(福祉車両)は支給対象となる。
参照:働き方改革推進支援助成金Q&A(P45)
働き方改革推進支援助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2023年最新】働き方改革推進支援助成金とは?各コースを徹底解説
「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!
助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説【個人向け】軽自動車の福祉車両導入に活用できる制度一覧
ここでは、個人向けの軽自動車の福祉車両導入に活用できる制度を解説します。
税金の優遇制度
福祉車両本体や新車時に装着する用品を購入する場合、消費税が非課税となります。ただし、登録にかかる手数料などは、課税対象となるため、注意が必要です。
また、排出ガス・燃費などにおいて一定の環境性能を満たしている車両の場合には、エコカー減税が受けられます。
助成金・貸付制度
各都道府県の社会福祉協議会では、体が不自由な方が就労や通勤、通院などのために必要な自動車を購入する際、低金利での資金の貸付制度を用意しています。
その他
有料道路において、障がい者本人が運転する場合や、介護者が障がい者を乗せている場合に割引が受けられます。利用時には、事前に申請することが必要です。
まとめ
この記事では、軽自動車の福祉車両導入に活用できる助成金・補助金や個人向けの支援制度を解説しました。
福祉車両を導入するには、中古・新車、改造のどの手段をとっても多額な費用がかかります。そのため、助成金をはじめとする支援制度を活用することがおすすめです。
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