2024年10月1日からはじまっている最低賃金の引き上げに対応する際には、業務改善助成金を活用することがおすすめです。業務改善助成金を活用することで、賃上げかつ生産性向上の取り組みにかかる費用の一部が助成されます。

その際、「どのような取り組みが助成対象に該当するのか」「パソコンや車両などの基本的な設備の購入も助成してもらえるのか」と疑問に思う担当者も多いでしょう。

そこで、この記事では業務改善助成金の概要やパソコン・車両の購入が助成対象となる要件、申請書類について解説します。

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業務改善助成金とは

業務改善助成金とは、生産性向上のための設備投資などを行いつつ、事業場内最低賃金を30円以上引き上げた中小企業・小規模事業者に対し、その投資費用の一部を助成する制度です。

満たす支給要件により「一般事業者」と「特殊事業者」に分けられており、どちらに該当するかでパソコン・車両が助成対象となるかどうかや助成上限額が異なります。それぞれの支給要件はのちほど詳しく解説しているため、最後までぜひご覧ください。

賃上げの要求に対応しつつ、生産性向上のための取り組みにかかる費用を低減できることから、製造業や卸売業・小売業、飲食サービス業、医療・福祉業など業種を問わず多くの企業が活用しています。

助成上限額・助成率

業務改善助成金の助成率は、引き上げ前の事業場内最低賃金により以下のように異なります。

引き上げ前の事業場内最低賃金額 助成率
900円未満 9/10
900円以上950円未満 4/5(9/10)
950円以上 3/4(4/5)

※()内は生産性要件に該当した場合

助成上限額や支給要件の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2024年最新】業務改善助成金とは?概要や目的、助成額を徹底解説

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業務改善助成金における一般事業者の助成対象経費

ここでは、一般事業者が助成を受けられる対象経費について紹介します。

  • 業務で使用する機械・設備、システム・ツールなどにかかる導入費用
  • 人材教育にかかる費用(経営コンサルティングや専門家による指導)
  • その他(店舗改装など)

具体的には、以下のような設備投資に活用された事例があります。

製造業
  • 調理器具類(原料充填機、食材皮むき器)
  • 包装機(シュリンク包装機、菓子個包装機械)
  • 冷凍庫、冷凍冷蔵庫
  • 経理システム、工程管理システム、生産管理システム
  • フォークリフト
  • 改修によるレイアウト変更
卸売業・小売業
  • POSレジシステム、自動釣銭機
  • フォークリフト、運搬用冷凍車
  • 食品裁断機、ミキサー、焙煎機
  • 食品卸売システム、会計・仕入・販売システム、顧客管理システム
  • 受発注機能付きホームページ
  • 経営コンサルタント
  • 人材育成・教育訓練
宿泊業・飲食サービス業
  • スチームコンベクションオーブン
  • 食材スライサー
  • 業務用製氷機
  • POSレジシステム、自動釣銭機・券売機
  • 食器洗浄機
  • 管理システム、オーダーシステム、給与システム
  • 改修によるレイアウト変更
  • 人材育成

この他の業種のおいても、業務に必要かつ生産性向上・業務効率化に効果的な設備投資が可能です。以下の記事で活用事例を詳しく解説していますので、参考にしてください。
関連記事:【業種別】業務改善助成金の活用事例まとめ!対象となる具体例も解説

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助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説

パソコンや車両も助成対象になる特殊事業者の要件とは

パソコンやタブレット、スマートフォン、車両の導入は、一般事業者において助成対象外です。しかし、一部の特例事業者に該当すればパソコンやタブレット、スマートフォン、車両も助成対象となります。

そこで、ここでは一般事業者と特殊事業者の要件について解説します。

一般事業者の要件

一般事業者の主な支給要件は、以下の3つです。

  • 中小企業・小規模事業者であること
  • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
  • 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

なお、申請回数は令和6年度中に1回までとなっています。

特例事業者の要件

特例事業者の要件は、以下のいずれかに該当する中小企業事業者です。

  • 【賃金要件】申請事業場の事業場内最低賃金が950円未満である事業者
  • 【物価高騰等要件】原材料費の高騰など社会的・経済的環境の変化等の外的要因により、申請前3か月間
    のうち任意の1か月の利益率が前年同月に比べ3%ポイント※以上低下している事業者
    (※%ポイント:パーセントで表された2つの数値の差を表す単位)

ただし、パソコンやタブレット、スマートフォン、車両が助成対象となるのは【物価高騰等要件】に該当する事業主だけです。具体的に助成対象となる経費は以下の2つです。

  • 定員7人以上または車両本体価格200万円以下の乗用自動車や貨物自動車
  • パソコン、スマホ、タブレットなどの端末と周辺機器の新規導入
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業務改善助成金でパソコンや車両を購入する際の申請書類

最後に、物価高騰等要件に該当する特例事業者が、業務改善助成金に申請する場合に必要な申請書類について解説します。

まず一般事業者・特例事業者のどちらも提出が必要な主な申請書類は以下のとおりです。

<交付申請時>

  • 交付申請書
  • 国庫補助金所要額調書
  • 事業実施計画書

<支給申請時>

  • 事業実績報告書
  • 支給申請書
  • 状況報告
  • 消費税及び地方消費税に係る仕入控除税額報告書

申請書類は厚生労働省の公式ホームページからダウンロードできます。また、添付書類の提出やこの他にも計画変更時にも書類提出が必要ですので、以下の記事のチェックリストをご活用ください。
関連記事:【2024最新】業務改善助成金の申請書類チェックリスト一覧

物価高騰等要件に該当する特例事業者は、別途「売上高総利益率の低下に関する申出書」もしくは「売上高営業利益率の低下に関する申出書」を提出する必要があります。ここで、それぞれの概要や書き方を解説します。

売上高総利益率の低下に関する申出書

売上高総利益率の低下に関する申出書は、正式には「物価高騰等要件に係る事業活動の状況に関する申出書(売上高総利益率)」といいます。

この申出書を提出する月の前月以前の3か月間のうちから、任意の1か月を選びます。選んだ1か月の売上高・売上総利益から売上高総利益率を算出したうえ、それぞれの数値を記入します。
なお、売上高総利益率は小数点以下第2位まで記載してください。

記述欄には、売上高総利益率が減少した理由について記入します。例えば、以下のような理由が考えられます。

  • 当社は飲食店を経営しているが、小麦価格の高騰により、売上高総利益率が前年比で○%減少した。
  • 当社で製造している○○について、原材料となる原油価格高騰の影響により、売上高総利益率が前年比で○%減少した。

また提出時には、「売上高」「売上総利益」「売上高総利益率」を証明する書類(月次損益計算書や試算表など)を添付する必要があるため、忘れずに準備しましょう。

売上高営業利益率の低下に関する申出書

売上高営業利益率の低下に関する申出書は、正式には「物価高騰等要件に係る事業活動の状況に関する申出書(売上高営業利益率)」といいます。

この申出書を提出する月の前月以前の3か月間のうちから、任意の1か月を選びます。選んだ1か月の売上高・営業利益から売上高営業利益率を算出したうえ、それぞれの数値を記入します。
なお、売上高営業利益率は小数点以下第2位まで記載してください。

記述欄には、売上高営業利益率が減少した理由について記入します。例えば、以下のような理由が考えられます。

  • 当社は飲食店を経営しているが、小麦価格やガス料金の高騰により、売上高営業利益率が前年比で○%減少した。
  • 当社で製造している○○について、原油価格及び電気料金の高騰の影響により、売上高営業利益率が前年比で○%減少した。

また提出時には、「売上高」「営業利益」「売上高営業利益率」を証明する書類(月次損益計算書や試算表など)を添付する必要があるため、忘れずに準備しましょう。

まとめ

この記事では、業務改善助成金の概要やパソコン・車両の購入が助成対象となる要件、申請書類について解説しました。

業務改善助成金において、パソコン・タブレット・スマートフォンや車両の購入が助成対象となるのは【物価高騰等要件】に該当する事業主だけです。そのためよく支給要件を確認しましょう。

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。