企業の採用活動は、長期的に事業を行ううえで欠かせない活動です。しかし、採用活動にかかる費用に悩んでいる企業も多いでしょう。
実は、ハローワークを経由して雇用することで助成金を受給できる可能性があるのをご存じでしょうか。金銭的な負担を軽減しながら新たな従業員を採用できるため、活用することがおすすめの助成金です。
そこで、今回はハローワーク等の紹介により雇用することで活用できる助成金や受給するための共通要件を解説します。
目次
ハローワーク等の紹介による採用でもらえる「助成金」とは
助成金とは、厚生労働省が主導している「雇用促進」や「労働環境改善」などに取り組む企業を支援する、返済不要の資金調達制度です。
各助成金ごとに設けられた支給要件を満たせば受給できるため、多くの企業が利用しています。助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:助成金とは?注意点など知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説!
雇用関係助成金を受給するための共通要件とは
各助成金に定められている受給要件とともに、以下の6つの共通要件をすべて満たすことが必要です。
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 労働関係法令の違反がないこと
- 書類を整備・保管していること
- 支給申請期間内に申請を行うこと
- 提出先からから審査に必要な書類の提出を求められた場合に応じること
- 実地調査に協力すること
雇用関係助成金を受給するには、雇用保険の適用事業所(一人でも雇用保険被保険者を使用している)であることが必要です。
労働基準法や労働契約法、育児・介護休業法などの法令に違反していないことが求められます。また、労働保険料や社会保険料の納付状況が関わる場合があります。
就業規則、出勤簿、賃金台帳、雇用契約書等の書類が、法令に則り適正に整備・保管されている必要があります。記載事項が適正かどうか(出勤簿には始業・終業時刻が明記されている、等)、必要に応じて届出が行われているか(就業規則、等)、等にも注意が必要です。
支給申請期間のルールは各助成金制度により異なります。なお、支給申請期間外の申請が受理されることは一切ありません。
支給要領に明記のない書類であっても、求めに応じて提出する必要があります。
申請内容が適正なものであるかどうかを確認するために、労働局による実地調査が行われます。実地調査には、備え付け書類の原本の確認や対象労働者へのヒアリングなども含まれ、申請事業主は必ず協力しなければなりません。
「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!
助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説ハローワーク等の紹介による採用が条件の助成金一覧
それでは、ここまで雇用関係助成金として解説してきましたが、その中でもハローワーク等の紹介による採用が条件の助成金を紹介します。
特定求職者雇用開発助成金
特定求職者雇用開発助成金とは、高齢者や障害者、母子家庭の母親などの就職困難者を、ハローワーク等の機関からの紹介により、一定の条件で雇用することで助成される制度で、
以下の5つのコースがあります。
- 特定就職困難者コース
- 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
- 就職氷河期世代安定雇用実現コース
- 生活保護受給者等雇用開発コース
- 成長分野等人材確保・育成コース
助成額は、各コースによって異なります。
たとえば、「特定就職困難者コース」で、母子家庭の母親を中小企業が短時間労働者以外の枠で雇用した場合には、以下のようになります。
- 助成額:60万円
- 助成対象期間:1年間
- 助成対象期ごとの助成額:30万円×2期
トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金とは、職業経験や知識不足などが原因で就職困難とされる求職者をハローワーク等の機関からの紹介により試用雇用する場合に助成される制度で、
以下の2つのコースがあります。
- 一般トライアルコース
- 障害者トライアルコース
トライアル雇用助成金の場合には、試用雇用する労働者が条件を満たしているかどうかを確認することが必要です。たとえば、「一般トライアルコース」であれば、求職者が学校に在籍していたり、1週間あたりの実働時間が30時間を超える個人事業主だったりした場合には、受給できません。
「一般トライアルコース」の場合、助成金額は、支給対象1人につき月額4万円(最長3カ月)です。※対象者が母子家庭の母や父子家庭の父の場合は、1人につき月額5万円です。
トライアル雇用助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2023最新】トライアル雇用助成金とは?各コースを徹底解説
地域雇用開発助成金
地域雇用開発助成金とは、人材確保が難しい地域に事業所を設置し、求職者を雇用した事業主を助成する制度です。
地域雇用開発助成金の対象となるのは、以下の3つに区分された地域です。厚生労働省が、それぞれの地域一覧を公表しています。
- 同意雇用開発促進地域:求職者数に対し、求人数が不足している地域
- 過疎等雇用改善地域:若年層や壮年層(15~44歳)が不足している地域
- 特定有人国境離島等地域:小笠原諸島や奄美群島など国境近くの全国の離島
雇用予定の対象労働者は、以下の9つの条件を満たす必要があります。
- 雇入日または異動日の時点で地域に居住している求職者
- ハローワーク等の機関で紹介された求職者
- 雇入当初から、雇用保険の一般被保険者もしくは高年齢被保険者である
- 地域雇用開発助成金の受給後も継続雇用される見込みがある
- 雇入後、設置・整備を行った事業所で就労する
- 過去3年間に、同一の事業主の事業所での就労や職場適応訓練を受けた経験がない
- 過去1年間に、資本的・経済的・組織的に関連のある事業所に雇用されたことがない
- 事業主と3親等以内の親族でない
- 公の施設の管理を行うために雇い入れられた求職者でない
地域雇用開発助成金の支給額は、事業所の設備・整備にかかった費用と、労働者の増加人数により異なります。
たとえば、事業所の設備・整備に300万円~1,000万円未満の金額がかかり、3~4人増加した場合、50万円が助成されます。1年ごとに最大3回支給されます。
まとめ
ハローワークでの採用活動は無料で簡単に進められることのほか、助成金を受給できる可能性もあるので、、検討する価値は大いにあります。
助成金サポート.JPでは、助成金申請を完全サポートしています。「自社が助成金の要件を満たしているかわからない」という企業の方は、お気軽にご相談ください。
【無料】ハローワーク等の紹介による雇用で活用できる助成金の相談をする