日本各地で生じている人手不足倒産。人手不足倒産とは、従業員の離職や求人難により労働力不足が原因により倒産を余儀なくされること。
なぜ今、このような状況が発生しているのでしょうか。その実情と人手不足倒産を防ぐための施策と助成金について知って、人手不足倒産の対策をしましょう。

人手不足倒産とは?

まず、人手不足倒産について知りましょう。

現在、各種業界で人手不足が目立っています。人手、つまり働く人が少ないため、

  • 受注に至らない
  • サービスの提供がままならない

売上が見込めないケースが多発しているのです。

たとえば北海道で介護事業を行っていたほくおうサービスとグループ4社。連結負債総額が約43億3,000万円となり、2017年7月に破産申請しました。介護報酬の引き下げもありますが、人手が減ったことでより好待遇な給与にせざるを得ず人件費がアップ。それにより、5億近い赤字を出すこととなったのです。

別の企業を見てみましょう。サンワ物流と関連会社は、2018年5月、破産手続きを開始しました。サンワ物流は2009年9月期で年間約4億円、関連会社は2014年3月期で年間約3億3千万円の収入を得ていたのですが、破産手続きに至ってしまいました。

これは、

  • 単価の低迷
  • 人手不足のため受注に至れない

という点が大きいと考えられています。

人手不足倒産はなぜ起こるのか?

どうしてこのような人手不足倒産が起きるのでしょう。

現在、労働者の転職は当たり前となっています。働き方改革が叫ばれ、ブラック企業が取り沙汰される今、同じ「労働」なら、より良い環境を目指すのは当然のことでしょう。

これは言うなれば労働者が「自らより良い職場を目指すこと」と同じ。これにより、労働環境としてそぐわないと判断された企業から労働者が離れ、それにより人手不足を引き起こし、結果倒産に至ってしまうのです。

今後も労働者を確保するための競争が激化することは確実でしょう。そのためにも、人事戦略は重要です。

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人手不足倒産を防ぐには

人手不足倒産を防ぐには、何をすればよいのでしょうか。

まずは、働きやすい職場環境の整備です。

  • 風通しがよい
  • 相互理解に努めている

職場にそういった風潮はあるでしょうか?

  • 上から一方的に命令される
  • アイディアや思いなどを口に出すことがはばかられる
  • よい意味で適度な距離を保っているのではなく、お互いのことに無関心

こうした職場は労働者にストレスを与えますし、それどころか能力も発揮できません。

また、賃金はどうでしょうか。

  • 長らく見直しを行っていない
  • 適正な評価のもと計算されたものではない

となると、労働者の不満はたまります。

労働環境整備を支援する助成金がある

助成金とは、返済不要の国から支給される資金のこと。条件を満たせば受給できます。

まず、労働者のワークライフバランスを支援する事業主に対して支給される両立支援等助成金を見てみましょう。

  • 介護離職防止支援コース
  • 事業所内保育施設コース
  • 育児休業等支援コース
  • 出生時両立支援コース
  • 再雇用者評価処遇コース
  • 女性活躍加速化コース

6コースあり、そのコース名称はすべて、育児や介護、再雇用など現代の労働者にあり得る状況を示唆しています。そうした状況を支援しようとする事業主を助ける助成金が「両立支援等助成金」なのです。

もう一つキャリアアップ助成金を見てみましょう。
こちらは、

  • 有期契約労働者を正規雇用労働者や多様な正社員に転換
  • 有期契約労働者の賃金や諸手当を正規雇用労働者と同様に改定

など、事業主が非正規雇用労働者の処遇改善に努める際、支給されるものです。

こうした取り組みによって、離職率低下はもちろん、労働者の雇用増加につながる可能性は高いでしょう。

まとめ

人手不足倒産とは、人手不足により人件費が高騰もしくは受注に至れないため、売上が伸びず、倒産してしまうこと。また、それは人ごとではなく、多くの企業の課題となっています。
人手不足倒産を防ぐには、単に求人を進めるだけでなく、離職率の低下に目を配らなくてはなりません。介護と両立ができる、育休がとりやすいといった時代に合わせた労働環境の整備を心掛けることで、労働者はそこで長く働き続きたいと思います。これが人手不足倒産の大きなカギなのです。

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。