業務改善助成金を申請して、自社の金銭的負担を軽減しながら設備投資や賃上げを行いたいという企業は多いでしょう。
概要や支給要件は理解できても、多くの担当者が苦戦するポイントに就業規則をはじめとした提出書類があります。提出書類に不備があると、せっかく取り組みを行っても不支給になる場合があるため、よく理解することが必要です。
そこで、この記事では業務改善助成金に対応した就業規則に必要なポイントについて解説します。
目次
業務改善助成金とは
業務改善助成金とは、「生産性向上のための設備投資など」と「事業場内最低賃金の引き上げ」の2つを行う中小企業・小規模事業者を支援する制度です。
例えば、これまでの事例では冷凍自動販売機の導入やテイクアウト用の予約サイトの開設、研修の実施などに活用されています。
助成額・助成率
業務改善助成金の助成金額は、「設備投資などに要した経費に、助成率を乗じた金額」です。
・助成率
助成率は、引き上げ前の事業場内最低賃金によって以下のように異なります。
引き上げ前の事業場内最低賃金 | 900円未満 | 900円以上 950円未満 |
950円以上 |
---|---|---|---|
助成率 | 9/10 | 4/5(9/10) | 3/4(4/5) |
※()内は生産性要件に該当した場合
・助成上限額
助成上限額は、事業場内最低賃金の引き上げ額によって「30円コース」「45円コース」「60円コース」「90円コース」の4つのコースに分かれています。
例えば、事業規模30人以上の事業者が「30円コース」で1人の労働者の最低賃金を引き上げた場合には、助成上限額は30万円です。
業務改善助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【令和6年度】業務改善助成金とは?変更点や助成額、支給要件を解説
申請の流れ
業務改善助成金の申請の流れを、以下にまとめました。
- 交付申請書、事業実施計画書を作成し、管轄の労働局に提出する
- 計画書に沿って事業(生産性向上にかかる取り組み、事業場内最低賃金の引き上げ)を実施する
- 事業実績報告書を作成し、管轄の労働局に提出する
- 審査に通過した場合、助成金が振り込まれる
- 状況報告を作成し、管轄の労働局に提出する
書類を作成し、提出する機会は「申請時」や「事業実績報告時」、「状況報告時」の3回あります。さまざまな提出書類や添付書類があるため、その都度早めに準備することが大切です。
なお、就業規則の写しが必要となるのは、「事業実績報告時」です。就業規則については、のちほど詳しく解説します。
業務改善助成金の申請方法の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2024最新】業務改善助成金の申請方法・提出書類・期限まとめ


業務改善助成金の申請に欠かせない就業規則とは
そもそも就業規則とは、職場の従業員の働き方に関する基本的なルールのことです。
就業規則には、労働時間や休憩、休日に関する規定や給与に関する規定、休職・退職に関する規定、安全衛生・労働環境に関する規定などが含まれます。
就業規則を策定する目的は、働きやすい労働環境の整備やトラブルの防止などです。また就職時に就業規則を読み合わせて、企業と求職者との間に共通の認識をもつことで、スムーズな労働契約につながります。
なお、労働基準法で、常時10人以上の従業員を雇っている企業には就業規則の作成が義務付けられています。また作成した就業規則は、労働基準監督署に届け出ることが必要です。10人未満の場合には、作成義務はないものの、作成することが推奨されています。
就業規則の提出が必要な理由
業務改善助成金の目的は、「中小企業・小規模事業者の生産性向上の支援」と「事業場内最低賃金の引き上げ」にあります。
そのうち、「事業場内最低賃金の引き上げ」についての具体的な金額を就業規則に記載することで、はじめて会社としての方針を明記したことになります。
例えば、「30円の賃金の引き上げを行い、事業場内最低賃金額を時給1,000円にした」と口頭で発表したとしても、証拠がないために取り消すことは難しくはないでしょう。そこで、就業規則に「事業場内最低賃金を1,000円とする」と記載することで、会社がどのように取り組みを実施しているのかを証明できるのです。
つまり、就業規則の整備や提出が必要な理由をまとめると、「企業がきちんと事業場内最低賃金の賃上げに取り組んでいることの証拠」となるためといえます。
「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!
助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説業務改善助成金では就業規則の提出が必須?
業務改善助成金では、就業規則の提出は必須なのでしょうか。原則、その回答は「はい」です。
しかし、就業規則の作成義務は「10人以上の従業員を雇っている企業」にあります。そのため、従業員数が10人未満の企業の場合には、就業規則の作成・提出は必須ではありません。
ここでは、従業員数が10人未満の企業で、就業規則を作っていない場合の申請について解説します。
従業員数10人未満の企業で、就業規則を作っていない場合の代替書類とは
従業員数が10人未満の企業で、就業規則を作っていない場合には、「就業規則に準ずるもの」を用意して、提出することが必要です。
ここでいう「就業規則に準ずるもの」として認められるには、以下の内容を含めた書類を作成し、労働者に周知することが必要です。
- 賃金引き上げ後の事業場内最低賃金
- 賃金引き上げ日
- 作成者(事業場名)
- 作成年月日
なお、一般的な労働契約書及び労働条件通知書が、就業規則に準ずるものには該当しないことは覚えておきましょう。


業務改善助成金で就業規則の改正が必要な具体例
業務改善助成金では、賃金の引き上げに応じて就業規則を改正したうえで、労働局に提出することが必要です。ここでは、業務改善助成金で就業規則の改正が必要な具体例を解説します。
賃金引き上げ計画の策定時
まず必要になるのが、賃金引き上げ計画の策定時です。
業務改善助成金では、事業場内最低賃金を30円以上引き上げるとともに、就業規則で引き上げ後の賃金額を事業場で使用する労働者の下限の賃金額とすることを明記する必要があります。
この際、注意しなければならないポイントが、「助成金の交付申請を行う→就業規則を改正する→賃金の引き上げを実施する」という順番を守ることです。例えば、賃金の引き上げを就業規則の改正前に行ってしまうと、助成の対象外と判断されてしまいます。
高齢者の賃金減少を行う場合
業務改善助成金では、所定期間内に労働者の賃金引き下げを行うと、助成対象外となります。
しかし、高齢者の賃金減少の場合は、就業規則にあらかじめ定めていれば、助成対象外の要件には該当しません。
例えば以下のケースがあり得る場合には、以下の賃金体系について就業規則を整備する必要があります。
- 定年退職後に従業員を再雇用する際に、賃金が減少する場合
- 従業員の高齢期に賃金を右肩下がりに引き下げる場合
ただし、不当な引き下げや労働条件の不利益変更を行った場合には、助成対象外となるため、注意が必要です。不安な点があれば、助成金のコンサルタントに相談することがおすすめです。
まとめ
この記事では、業務改善助成金に対応した就業規則に必要なポイントについて解説しました。
業務改善助成金において就業規則の整備は欠かせません。作成が義務付けられていない従業員数10人未満の企業においても、就業規則に準ずるものとして必要項目を記載した書類を用意することが必要です。
その際、就業規則の整備にお悩みの企業や業務改善助成金の受給を検討している企業の方は、プロのコンサルタントに依頼すると確実な受給につながります。まず以下から無料相談を試してみてはいかがでしょうか。


