会社は、介護休業制度を社内規定として設けていることが一般的になってきています。法律に則った最低限の休業から、それにプラスするものまで各社さまざまです。

他方、介護休業を取得する労働者側からすると、介護によって退職しなければならないリスクからひとまず離れることができるというメリットがあります。退職して一度正社員の地位を離れてしまうと、その後正社員として雇用してもらうことはなかなか難しいからです。

介護は出口が見えない、どのくらい続くのか期間が分からないという特徴があり、この点では育児休業とは異なっています。そのため、会社としては、介護休業を取得した従業員の代わりの人材確保をどうしたらいいのか迷う場合も少なくないでしょう。

そこで、介護離職防止に利用できる補助金について紹介いたします。

介護離職は年々増加傾向に

毎年政府が国会に提出されている資料として、高齢社会白書があります。この統計結果によると、介護や看護を原因として離職や転職をしている人は年々増加しているのです。

介護離職は、特に女性の割合が高く、多くが40代や50代のため、介護をしなくてもすむような状態になったとき、再び正社員としての職を得るのが難しくなっています。さらに、介護のために転職などをしてしまうと、収入が大幅に減ってしまうという点も問題になっているのです。

介護後の生活のためにも、介護休業などを利用して退職しないようにするのが得策といえます。

介護離職は会社にとっても痛手

介護や看護を原因として、本人の意思によらず退職しなければならない状況は、会社にとっても痛手になっています。少子化による人材不足が深刻だからです。
40代や50代は、いわゆるベテラン層。それなりに仕事の技能を身に着けているため、会社の中で戦力となっているのです。せっかく育てた人材に見合う人材を採用するのは困難でしょう。さらに、新しく育てるにも時間とコストが膨大に必要となります。

こうしたことから、看護や介護を原因として従業員が会社を退職してしまうことは、会社も避けたい事態といえるのです。

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介護離職を防ぐ制度とは?

介護や看護による従業員の離職を防ぐには、まず、介護休業制度を充実させる必要があります。介護休業制度をきちんと導入していない場合は、社内制度として確立させましょう。そもそも育児介護休業法では、介護休業を申し出た従業員について、会社はその休業を拒否できない仕組みになっています。

しかし、介護休業中の給与体系などについては、会社ごとに決める必要があるのです。給与については法的な規定がありません。
法律に即して介護休業の制度を作るだけでなく、従業員がより介護離職を防ぐための制度設計をする必要があるのです。介護は先が見えないこと、法律で保障されている介護休業期間は93日しかありません。

こうした点について、社内で独自の制度を設けることで、より離職を防ぐことができるといえます。

介護離職防止策を講じるなら助成金を活用しよう

企業にとって、休業者がいるとどうしてもコストがかかるため、デメリットもあります。このデメリットを軽減するために、両立支援等助成金を活用する方法があります。両立支援等助成金には6つのコースが設定され、そのうちのひとつに介護離職防止支援コースがあるのです。こうした制度を活用すれば企業の負担軽減ができるでしょう。

介護離職を防止し、人材不足を予防する

両立支援等助成金は、介護離職防止支援コースの他に、女性活躍加速化コースなどがあり、職場の環境改善に利用できる助成金制度があります。

社内環境を整備するには、コストなども多くかかるため、なかなか取り掛かれない会社も多いかもしれません。しかし、最も人口が多い世代である団塊世代の介護年齢は刻一刻と迫ってきています。この団塊世代の介護離職を防止が必要です。そのためには、今のうちから社内環境を整備して、備えておくことをおすすめします。

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弊社担当のご紹介
道政典子
道政典子(助成金コンサルタント)
入社3年目。助成金申請サポート含む複数事業を展開する会社の経営経験を活かし、主に助成金を活用した女性が働きやすい環境づくりをサポート。現在は年間80社以上の企業を支援する。