介護と仕事の両立が難しく、離職してしまう人は多いです。それを介護離職と呼ぶのですが、多くの職場で問題となっています。
企業は社員の離職が、社員は仕事を続けたいのに続けられないことがそれぞれの悩みなのです。介護と仕事が両立できる職場にするには、どうしたらよいのでしょう?

育児・介護休業法

育児・介護休業法をご存じでしょうか?介護離職を考えるうえで、知っておきたい法律です。育児・介護休業法とは、育児や介護を仕事と両立できるよう、つまりワークライフバランスに則った法のこと。

介護に関しては、介護休業や介護休暇などがあり、利用を希望する際は雇用者に申し出ることができます。雇用者は、

  • 基本それに応じる
  • 制度の利用を理由にした減給や解雇など不利益な扱いをしてはいけない

といったことが定められているのです。

また育児・介護休業法は、平成29年1月に改正されています。介護に関する部分を抜粋しましょう。

1つ目は介護休業の変化。これまでは通算93日までで、年間で1回のみの取得となっていました。改正後は、93日までと日数は同じですが年間で3回まで分割できます。これにより、使い勝手がよくなりました。

2つ目は介護休業で受け取れる給付金の率。これは、休業開始時の賃金をもとに給付金が支給されるシステムです。以前は40%でしたが改正後は67%と半分以上になりました。

3つ目は有給と別個取得できる介護休暇。改正前は、1日単位で年間5日まででしたが、改正後は半日単位で取得できるようになったのです。すべて半日で取得した場合、10回使えます。

介護と仕事が両立できる職場になるとどんなメリットが得られる?

介護と仕事が両立できる職場になると、下記のようなメリットが得られます。

離職率の低下と人材確保

介護も仕事もともに可能となることで、離職率が下がります。またそういった「ワークライフバランス」を考えた職場という点をアピールすれば、「介護と仕事の両立」を機に退職してしまい、再就職先を探している人材を確保できるでしょう。

チームワークの向上

介護と仕事の両立といった事情を社員同士が理解するようになるため、互いに助け合うことが増えます。それによりチームワークが向上するのです。

ロールモデルの構築

「介護と仕事を両立できる」人の存在は、ロールモデルと呼ばれる「思考や行動の手本」になり、他社員にも良い影響を与えるでしょう。ロールモデルからノウハウを聞き出すことで、「介護と仕事を両立」するさらなるヒントが生まれるかもしれません。

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介護離職を減らすには?職場に求められること

介護離職を減らすには一体どうすればよいのでしょう。職場に求められることを考えてみます。
まずは「残業の少なさ」です。残業が多いと介護が難しくなるため、離職率が高まるでしょう。並行して「有給の取りやすさ」もあげられます。残業が少なく有給が取りやすくなれば、介護との両立がしやすくなります。次いで、「介護による休暇や早退がキャリアに影響しない」という点も重要でしょう。
その他、短時間勤務やリモートワークといった柔軟な働き方の提示も必要です。これにより、介護と仕事の両立がぐっと現実的になりますので、離職率が下がります。
また、単に制度をつくるだけではなく「周囲の理解」や「勤務地や業務配分への配慮」といった本人の意思に寄り添うことも大切です。事情を考慮せず、無闇に仕事や転勤を行わせたりいたわりの言葉一つなかったりする厳しい環境になれば、社員はつらさから離職に踏み切ってしまうでしょう。

まとめ

介護と仕事が両立できる職場を構築するためには、

  • 育児・介護休業法の理解
  • 社員や会社にとってどのようなメリットが得られるかの理解
  • 職場に求められることのヒアリングと実践

上記のポイントが重要です。
これらを理解し実践することで、社員にとっては働きやすい職場に、企業にとっては課題の解決に…と双方向に良い影響を与えるのです。介護と仕事が両立できるよりよい職場を目指しましょう。

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道政典子
道政典子(助成金コンサルタント)
入社3年目。助成金申請サポート含む複数事業を展開する会社の経営経験を活かし、主に助成金を活用した女性が働きやすい環境づくりをサポート。現在は年間80社以上の企業を支援する。