企業にとっての悩みの種である人材不足。従業員の意思で離職する転職以外に、従業員の意思問わず離職する介護離職が社会問題になっています。どのような事業があれ、企業にとっては頭の痛い問題であり、優秀な人材のこのような問題で手放してしまえば、今後の会社の存続にも大きな影響を与えてしまいます。企業としてもこのような離職は避けておきたい所。
このような介護離職を防止するためにはどのような対策を行えば良いのでしょうか。今回は実際に対策を行っている企業例を参考に考えてみましょう。
寄り添い休業の導入など
医薬品の製造販売などを手がけるアステラス製薬株式会社は、育児や介護などのライフイベントと仕事の両立支援に力を入れています。その中でも、従業員の声に応える形で、「寄り添い休業」制度を実施したのです。この制度は、対象家族1人につき、最長1年間休業できるものになっています。
さらに、介護制度や自社制度を解説した冊子を作成・配布することや社内のネット上で閲覧できるようにしました。
その結果、介護休暇制度の利用者が増加したのです。
ワークライフプログラム
鉄道事業を行う東日本旅客鉄道株式会社では、介護離職防止に向けた取り組みとして「ワークライフプログラム」を推進しています。この制度は、育児や介護を理由とした短時間・単日数勤務制度など、仕事と家庭を両立できる制度を実施しているのです。さらに、制度を利用しやすい企業風土作りにも力を入れています。制度がどんなによくても、利用する従業員が制度を利用できなければ、実効性が乏しくなってしまいます。
さらに、法令を上回る介護休職期間を整備しており、利用者もいるのです。
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助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説在宅勤務制度の導入
情報通信業を営むAGS株式会社では、育児や介護と仕事の両立のために、在宅勤務制度を導入しています。この制度は、週3日までは理由を問わず在宅勤務やフレックス制度を利用できるというものです。
さらに、長時間労働を防止するために、残業などで終業時間が遅くなってしまったときは、翌日の始業時間まで11時間の間隔を確保するインターバル制度を導入しています。
こうした制度を導入したのち、利用する従業員も増えており、家族の看護の時間に充てることができたという声も出ました。
キャリア・パートナー制度
銀行業を営む京都信用金庫では、キャリア・パートナー制度を導入しています。これは、結婚から育児、介護などやむを得ない事情で退職してしまった職員が、退職から5年以内ならば、同じ待遇で復帰できるという制度です。もちろん会社と本人双方のニーズを把握する必要はありますが、復職を希望する元職員が増えれば、新たな人材を採用・教育するコストを抑えることが可能になります。
再就職も厳しいため本人も退職を防止したい
企業は人材の流出を防止するために介護や育児を理由とする離職を防止する取り組みを実施するようになってきました。他方、従業員本人としても、退職し、介護などでブランクができてしまえば、再就職したいと思っても、なかなか採用してもらえることは難しいといわれています。
また、今までのキャリアを生かしたいという気持ちもあるでしょう。こうしたことから、本心では、退職したくないという人は多いのです。
そのため、企業が介護などを理由にする離職を防止する取り組みは、今働いている従業員の離職を防止するだけでなく、モチベーションのアップにもなります。
ぜひ、介護離職を防止する社内制度を検討してみてはいかがでしょうか。