外国人労働者の受け入れを推進する企業が多い中、多くの企業が直面しているのが「就労環境の整備」という課題です。外国人労働者が安心して働ける職場を整備するには、通訳や相談体制の整備、多言語マニュアルの導入などが必要になります。
こうした取り組みにはコストがかかるため、資金調達手段の一つとして「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」が注目を集めています。
そこで、この記事では人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)の概要や支給要件、補助率・補助上限額をわかりやすく解説します。
人材確保等支援助成金とは
人材確保等支援助成金とは、「魅力ある職場づくりのために、労働環境の向上を図る事業主を支援する制度」です。労働環境の向上により、企業の人材不足を解消し、人材確保・定着を目的としています。
人材確保等支援助成金には、以下の7つのコースが設けられています。
- 雇用管理制度・雇用環境整備助成コース
- 中小企業団体助成コース
- 建設キャリアアップシステム等活用促進コース
- 【建設分野】若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース
- 【建設分野】作業員宿舎等設置助成コース
- 外国人労働者就労環境整備助成コース
- テレワークコース
人材確保等支援助成金の各コースの詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2024最新】人材確保等支援助成金とは?各コースを徹底解説


外国人労働者就労環境整備助成コースの対象となる事業主・外国人労働者
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)とは、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行い、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して、その経費の一部を助成するコースです。
人材不足が深刻化する企業が増えている中で、外国人労働者の雇用に踏み切る企業も増えてきました。しかし、外国人労働者は、日本の労働法制や雇用慣行などに関する知識の不足や言語の違いなどから、労働条件・解雇などに関するトラブルが生じやすい傾向にあります。
そのため、本コースでは、外国人労働者の職場定着への取り組みを支援します。
ここでは、人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)の対象となる事業主・外国人労働者を解説します。
対象事業主
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)の対象事業主の主な要件を以下にまとめました。
- 雇用保険の適用事業主であること
- 外国人雇用状況届出を適正に届け出ている事業主であること
- 過去に本コースを受給している場合、最後の支給決定日の翌日から起算して3年が経過している事業主であること
- 6か月前から、事業主のすべての事業所において雇用する雇用保険被保険者を解雇などしていない事業主であること
- 就労環境整備措置の実施日の翌日から6か月計画するまでの期間、外国人労働者離職率が15%以下の事業主であること
- 社会保険の要件を満たす場合、社会保険の適用事業所であること
- 就労環境整備計画に基づき、計画期間内に就労環境整備措置を新たに導入した事業主であること(※就労環境整備措置の内容は、のちほど詳しく解説します)
対象となる外国人労働者
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)の対象となる外国人労働者の主な要件を以下にまとめました。
- 外国人雇用状況届出の対象となる者であること
- 事業主に直接雇用されている、かつ、労働契約を締結している者であること
- 雇用保険の被保険者であること
- 社会保険の適用事業所の場合、社会保険の被保険者であること
参考:厚生労働省|人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック
「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!
助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説外国人労働者就労環境整備助成コースの対象となる就労環境整備措置とは
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)を受給するには、「必須メニュー」に加え、「選択メニュー」のいずれかの就労環境整備措置を実施する必要があります。
必須メニュー |
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選択メニュー |
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ここでは、それぞれの就労環境整備措置について解説します。
雇用労務責任者を選任する
雇用労務責任者とは、就労環境整備措置への取り組みや外国人労働者からの相談への対応など、就労環境の整備に関する管理業務を担当する者のことです。
「雇用労務責任者の選任」では、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 雇用労務責任者を事業所ごとに選任し、外国人労働者に周知すること
- 雇用労務責任者は、就労環境整備計画期間において外国人労働者と1回以上面談を行い、その結果を書面に作成すること
- 外国人労働者が労働基準法などの法令違反を受けた場合に、相談できる関係行政機関の案内を周知すること
就業規則などを多言語化する
「就業規則などの多言語化」では、以下の要件を満たす必要があります。
- 対象事業所における就業規則、労働協約、労働条件通知書、雇用契約書のいずれかを多言語化し、就労環境整備計画期間に雇用する外国人労働者に周知すること
ここでいう多言語化とは、雇用する外国人労働者の母国語や使用言語、または理解しやすい日本語を用いて記載することを指します。
苦情・相談体制を整備する
「苦情・相談体制の整備」では、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 就業規則または労働協約に、苦情・相談体制を新たに定め、その内容や利用方法などを周知すること
- 外国人労働者の苦情または相談に応じるものであること
- 支給申請日において、苦情・相談体制を継続して運用していること
苦情・相談体制の具体例には、「事業所内の相談窓口の設置」「外部機関の通訳が同席しての個別面談」「外部機関への委託による苦情・相談に関する専門の電話やメールアドレスの開設」などが挙げられます。
一時帰国のための休暇制度を整備する
「一時帰国のための休暇制度の整備」では、以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 就業規則または労働協約に、雇用する外国人労働者が一時帰国を希望した場合に、必要な有給休暇(年次有給休暇を除く)を取得できる制度を新たに定めること
- 1年間に1回以上の連続した5日以上の有給休暇が取得できるものであること
- 支給申請日において一時帰国のための休暇制度を継続して運用していること
社内マニュアル・標識類などを多言語化する
「社内マニュアル・標識類などの多言語化」では、以下の2つの要件を満たす必要があります。
- 社内マニュアル・標識類などを多言語化すること
- 就労環境整備計画期間に、多言語化した社内マニュアル・標識類などを外国人労働者に周知すること


外国人労働者就労環境整備助成コースの対象経費・助成率
ここでは、人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)の対象経費や助成額・助成上限額を解説します。
対象経費
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)の対象経費は、以下の5つです。
- 通訳費
- 翻訳機器導入費
- 翻訳料
- 弁護士、社会保険労務士などへの委託料
- 社内標識類の設置・改修費
どの就労環境整備措置を実施するかにより、対象経費も異なります。
例えば、必須メニュー「雇用労務責任者の選任」の場合に想定される支給対象経費は、「通訳費」「翻訳機器導入費」が挙げられます。
助成額・助成上限額
助成額・助成上限額は以下のとおりです。
助成額 | 1つの措置導入ごとに20万円 |
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助成上限額 | 80万円 |
まとめ
この記事では、人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)の概要や支給要件、助成率・助成上限額を解説しました。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)は、外国人労働者を雇用している企業や雇用を検討している企業は、活用することがおすすめの制度です。外国人労働者のための就労環境の整備にかかる費用を一部軽減できます。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)の受給を検討している事業主の方は、プロのコンサルタントへの依頼がおすすめです。確実な受給を目指すためにも、まず以下から無料相談を試してみてはいかがでしょうか。
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