少子化対策の一環として、保育の受け皿の整備や子育て支援が推進されています。企業においても同様に、産休や育児休暇を取得する従業員を増加させることが必要です。そうした企業を支援するために、くるみん助成金という制度が活用されています。
しかし、「そもそもくるみん認定とは何なのか」「どのような助成金なのか」など疑問に思っている企業も多いでしょう。
そこで、この記事ではくるみん助成金の概要や対象事業主、助成金額、申請の手続きについて解説します。
目次
くるみん助成金の「くるみん」とは
「くるみん」とは、赤ちゃんを優しく包む「おくるみ」と「会社ぐるみ」で少子化問題や子育てをサポートすることを表した言葉です。
平成19年に「次世代育成支援対策推進法(次世代法)」に基づき、くるみん認定制度が制定されました。
くるみん認定制度とは、子育て支援に積極的に取り組む企業を認定する制度です。
認定を受けることで、企業は「くるみんマーク」を利用できるようになります。自社ホームページや求人広告などに掲載してPRに活用すれば、取引先や顧客、求職者に自社の子育て支援体制をアピールでき、イメージアップや人材確保につなげられます。
くるみん認定の種類
くるみん認定には、以下の3種類があります。
- トライくるみん認定
- くるみん認定
- プラチナくるみん認定
認定難易度は、「トライくるみん認定」→「くるみん認定」→「プラチナくるみん認定」の順で難しくなります。
また各種くるみん認定に加え、不妊治療と仕事の両立に関する認定も達成すると「プラス」の認定が追加され「トライくるみんプラス」「くるみんプラス」「プラチナくるみんプラス」となります。
くるみん助成金とは
くるみん助成金(中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業)とは、従業員に対する育児休業を促進するなど、子ども・子育て支援に積極的に取り組んでいる中小事業主を支援する助成金です。
労働者の仕事と家庭生活の両立のために必要な雇用環境の整備にかかった経費の一部を助成します。
社会全体で少子化対策に取り組む「新子育て安心プラン」で示された保育の受け皿整備や地域の子育て支援の活用などを推進することが目的で制定されました。
対象となる事業主
くるみん助成金の対象となる事業主は「くるみん認定」「くるみんプラス認定」「プラチナくるみん認定」「プラチナくるみんプラス認定」を取得している中小企業です。
ただし、トライくるみん認定は、助成の対象外です。
1.くるみん認定・くるみんプラス認定企業
- 子ども・子育て支援法に規定する一般事業主(事業主拠出金を納付している)であること
- 令和5年度または令和6年度(令和7年2月7日まで)にくるみん認定・くるみんプラス認定を受けていること
- くるみん認定・くるみんプラス認定にかかる行動計画終了日の属する事業年度の末日が、以下のいずれかであること
令和5年度認定取得⇒令和4年4月1日以降
令和6年度認定取得⇒令和5年4月1日以降 - 次世代育成支援対策推進法に規定する中小事業主(常時雇用する労働者数300人以下)であること
なお、くるみん認定取得によりすでに本助成金を受けたあとに、同一の行動計画によりくるみんプラス認定を取得した場合、再度本助成金を受けることはできません。
2.プラチナくるみん認定・プラチナくるみんプラス認定企業
- 子ども・子育て支援法に規定する一般事業主(事業主拠出金を納付している)であること
- 令和6年3月31日時点においてプラチナくるみん認定・プラチナくるみんプラス認定を受けていること
- 「両立支援のひろば」に直近の次世代育成支援対策実施状況を公表していること
1回目:プラチナくるみん認定決定後、おおむね3か月以内に公表
2回目以降:公表事業年度終了後おおむね3か月以内に公表 - 次世代育成支援対策推進法に規定する中小事業主(常時雇用する労働者数300人以下)であること
対象事業・経費
助成の対象となる取り組みを以下にまとめました。
- 労働者の育児休業等の取得を促進するための取り組み
- 労働者の子育てを支援するための取り組み
- 労働者の業務負担の軽減や所定外労働の削減などを図るための取り組み
- その他労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な取り組み
また、助成の対象となる経費は、以下の条件を満たすものに限られます。
- 使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できるもの
- 令和6年4月1日以降に実施し、令和7年2月28日までに納品と支払いが完了する事業の経費
※年度をまたいだ実施・納品・支払いは対象外。
※ただし、令和6年度にくるみん認定・くるみんプラス認定を取得した企業は、認定取得日以降に実施した事業の経費が対象。 - 根拠資料によって金額・支払いが確認できるもの
- 本助成事業以外の補助金等の支給を受けていない経費であること
※雇用関係助成金を除く
具体的には、労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な雇用環境の整備を行う事業を実施するために必要な以下の経費が助成対象となります。
- 職員給与
- 各種手当
- 社会保険料事業主負担金厚生費等(役員報酬を除く)
- 諸謝金
- 備品費(単価50万円以上の備品を除く)
- 消耗品費
- 印刷製本費
- 通信運搬費
- 光熱水料
- 借料及び損料
- 会議費
- 賃金
- 雑役務費及び委託料
助成金額
助成金額は、審査により確定します。(上限50万円)
1.くるみん認定・くるみんプラス認定企業: 1回の認定につき1回
2.プラチナくるみん認定・プラチナくるみんプラス認定企業: 1年度ごとに1回(期間中毎年度ごとに要申請)
「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!
助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説くるみん助成金の申請手続き
くるみん助成金を受給するには、「くるみん認定」「くるみんプラス認定」「プラチナくるみん認定」「プラチナくるみんプラス認定」のいずれかを取得したうえで助成金を申請することが必要です。
- くるみん助成金ポータルサイトから申請書類一式をダウンロードし、記入したうえでポータルサイトの申請フォームより提出する
- 事務局から申請受付後に申請IDがメールにて通知される
- 事務局が審査内容を審査し、助成の可否を決定する
- 事務局から助成決定通知書または不決定通知書がEメールで送付される
- (書類に不備がなければ、約2週間程度)
- 事業計画書に追って事業を実施する
- 対象となる事業完了日から原則1か月以内に、経費支払いを完了させ、完了報告書類一式を記入し、ポータルサイトの完了報告フォームから提出する
(完了報告提出締切日:令和7年3月3日必着) - 事務局が完了報告書類一式を審査し、交付額を確定する
- 交付額確定通知書がEメールで送付される
- 交付額確定通知書を受領後、請求書兼口座振替依頼書を速やかに(約10日以内)ポータルサイトの請求フォームから提出する
- 事務局により、1か月以内に指定口座に助成金額が振り込まれる
申請時だけでなく、事業完了後、交付額確定後と提出書類があるため、期限内に忘れずに準備しましょう。
申請受付期間
くるみん助成金の申請受付期間は、令和6年5月27日~令和7年2月7日です。ただし、予算が上限に達した場合には期間内で終了する場合もあります。
そのため、くるみん助成金の申請を検討している企業は、早めにどうするか決定しましょう。助成金申請が不安な場合には、助成金の取得サポートコンサルティング会社に依頼することもおすすめです。
まとめ
この記事では、くるみん助成金の概要や対象事業主、助成金額、申請の手続きについて解説しました。
くるみん助成金は、子育て支援に積極的に取り組む企業が認定を受けられる「くるみん認定制度」が要件となっています。子育て支援における環境整備に取り組む場合には、くるみん助成金の活用がおすすめです。
また「助成金の要件を満たしているか不安」「自社の申請書類に不備がないか不安」という企業の方は、プロのコンサルタントに依頼すると確実な受給につながります。まず以下から無料相談を試してみてはいかがでしょうか。