最低賃金制度とは、最低賃金法に基づいて国が労働者に支払うべき最低額を決めている制度のことです。最低賃金には地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類があります。地域別最低賃金は厚生労働省から示される引き上げ額を参考に、各都道府県の労働局長により決定されます。

問題は、地方の中小企業や小規模事業者の中には最低賃金しか支払えない→人材が集まらない→業務が滞りがちという悪循環に陥っているところも少なくないという点です。
人材を確保し業務改善をするために、助成金を積極的に活用してみませんか?

特定最低賃金と地域別最低賃金

特定最低賃金とは、特定の産業に関して設定されている最低賃金のことです。鉄鋼業、調味料製造業、情報通信機械器具製造業、自動車小売業など特定の産業に関して適用されます。

一方、地域別最低賃金は、都道府県ごとの経済状況などによって毎年改定されます。たとえば、2018年度の最低賃金時間額は北海道835円、宮城県798円、埼玉県898円、東京都985円、神奈川県983円、長野県821円、大阪府946円、兵庫県871円、長崎県762円、沖縄県762円でした。全国平均は874円、都心部ほど高く、地方では低めになっているとはいえ、その差は少ないことがわかります。

地方の中小企業におすすめの業務改善助成金

都心部よりも低めに設定されているとはいえ、地方の中小企業の中には地域別最低賃金ギリギリしか出せないというところも少なくありません。そうなると、どうしても優秀な人材を確保するのが難しく、業績アップも望めない……と、負のスパイラルに陥りがちです。

そんな状況を打破するために、業務改善助成金を活用してみませんか?業務改善助成金とは、中小企業や小規模事業者が生産性を向上させ、最低賃金の引き上げを図るための制度です。最低賃金が1,000円未満の中小企業や小規模事業者ならば利用できるので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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業務改善助成金で何ができる?いくらもらえる?

業務改善助成金は、次のいずれかの計画に使用するように定められています。

  • 就業規則等に賃金引き上げを記載する計画
  • 生産性向上のための設備投資を行う計画

ただし、単なる経費節減、職場環境改善、通常の事業活動だけではいけません。必ず、賃金引き上げを伴わなければいけない点に注意しましょう。

助成金の限度額は、賃金をいくら引き上げようとしているのか、何人の労働者の賃金を引き上げることを目標としているかによって異なります。

・30~40円の引き上げ

1~3人で50万円、4~6人で70万円、7人以上で100万円

・40円以上の引き上げ

1人以上で70万円

また、設備投資が名目となっていますが、設備・機器の導入だけではなく、教育訓練、経営コンサルティングなどの経費として使うこともできます。新たな人材を確保するだけではなく、現在の従業員の定着率をアップしたいと考えている企業も利用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

「優秀な人材がなかなか集まらない」「従業員に十分な教育を施せない」「従業員が定着しない」といった悩みを抱えている地方の中小企業、小規模事業者は少なくありません。「改善したいけど資金が足りない」という時は、助成金を申請してみるのもひとつの方法です。

業務改善助成金を使えば、最低賃金アップと生産性向上を同時に目指すことができます。より働きやすい環境になるだけではなく、しっかりと売上げも伸ばせるという、従業員にとっても経営者にとってもメリットがある方向を目指すことができるのです。助成金を有効活用すれば、都心部の企業に対して競争力をつけることも夢ではありません。助成金を使って地方発の「働き方改革」に積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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弊社担当のご紹介
黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。