助成金(※)は、返済不要で受給できるお金です。助成金を受給するためには、各助成金の支給要件を満たしたうえで申請することが必要です。
(※ ここでは、厚生労働省が管轄している「雇用関係助成金」を指します。)
しかし、特に、はじめて助成金を利用しようとしている場合、申請の手順がわからないという企業も多いでしょう。
そこで、この記事では各助成金の共通要件や申請の流れを解説。また、申請をスムーズに行うコツも紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
目次
助成金の申請前に確認すべき共通要件
助成金毎に支給要件が定められていますが、まずは共通要件を満たすことが必要です。以下の共通要件を満たしているかどうかを確認しましょう。
助成金を受給できる事業主の共通要件
助成金を受給するには、事業主は以下の3つの共通要件をすべて満たす必要があります。
1.雇用保険適用事業所の事業主であること(支給申請日および支給決定日の時点で雇用保険被保険者が存在する事業所の事業主であること)
2.支給のための審査に協力すること
- 支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等を整備・保管していること
- 支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等の提出を、管轄労働局等から求められた場合に応じること
- 管轄労働局等の実地調査を受け入れること
3.申請期間内に申請を行うこと
助成金は、雇用保険の一部が財源になっているため、雇用保険適用事業所であることが必要です。労働者を雇用したら、雇用保険適用事業所の設置、被保険者資格取得の届出を行いましょう。
助成金を受給できない事業主
以下の項目のいずれかに該当する事業主は、雇用関係の助成金を受給できません。
- 平成 31年4月1日以降に雇用関係助成金を申請し、不正受給による不支給決定または支給決定の取り消しを受けた場合、当該不支給決定日または支給決定取消日から5年を経過していない事業主
(平成31年3月31日以前に雇用関係助成金を申請し、不正受給による不支給決定または支給決定の取り消しを受けた場合、当該不支給決定日または支給決定取消日から3年を経過していない事業主) - 平成31年4月1日以降に申請した雇用関係助成金について、申請事業主の役員等に他の事業主の役員等として不正受給に関与した役員等がいる場合
- 支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主
- 支給申請日の前日から起算して1年前の日から支給申請日の前日までの間に、労働関係法令の違反があった事業主
- 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業またはこれら営業の一部を受託する営業を行う事業主
- 事業主または事業主の役員等が、暴力団と関わりのある場合
- 事業主または事業主の役員等が、破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行ったまたは行う恐れのある団体に属している場合
- 支給申請日または支給決定日の時点で倒産している事業主
- 管轄労働局長が審査に必要な事項について確認を行う際に協力しない事業主、不正受給が発覚した際に都道府県労働局等が実施する事業主名および役員名等の公表および請求金の返還等について、あらかじめ承諾していない事業主
- 支給申請書等に事実と異なる記載または証明を行った事業主
各項目にはより詳細な条件や例外があります。詳しくは助成金申請のコンサルティング業者に相談してください。
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助成金の申請~受給の流れ
助成金の要件を満たすうえで、どのような手順を踏む必要があるのでしょうか。ここでは、助成金の申請~受給までの流れを解説します。
1.申請する助成金を決める
まずは、自社の経営方針や経営活動に適している助成金を探します。
2.実施計画を策定する
申請する助成金が決まったら、支給要件を満たすために必要な取り組みの実施計画を策定します。
就業規則等を整備・変更することが必要になる場合は、新たな制度が適切に運用できるか、無理な運用にならないか検討することも大切です。
3.計画届を提出する
実施計画書等を各助成金の所定の機関に提出します。実施計画書のフォーマットや添付書類等は各助成金によって定められているため、事前に公式ホームページを確認してください。
例えば、キャリアアップ助成金であれば「キャリアアップ計画書」を作成し、管轄の都道府県労働局もしくはハローワークに提出します。
4.計画を実施する
計画届の内容に沿って、取り組みを実施します。記入した内容を実施しないまま助成金を申請すると不正受給になってしまうため、適切に対応してください。
また、計画届の内容を変更したい場合には、助成金によっては期限内に変更届を提出することで計画内容を変更することも可能です。
5.助成金を申請する
計画を実行できたら、いよいよ助成金の支給申請を行います。各助成金毎に定められたフォーマットを使用し支給申請書類を作成して下さい。また、添付書類も併せて用意します。
支給申請の期日までに提出できるよう、早めに準備しておきましょう。
6.審査後、支給される
申請後、計画通りに取り組みが実施されているのかどうかや不正受給ではないかなどの確認のために審査が行われます。実地審査が行われることもありますが、その時は協力してください。
無事に審査を通過できたら、助成金が支給されます。
「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!
助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説助成金の申請をスムーズに行うコツ
助成金の申請をスムーズに行うコツを解説します。
日ごろから労務管理を正確に行う
助成金を申請する際に、労働時間の記録や賃金台帳などの提出が必要になります。そのため、日ごろから労務管理を正確に行い、記録を管理しておくことで助成金をスムーズに申請できます。また、雇用保険資格等の取得喪失手続き、労働保険料の申告・納付、就業規則の作成・届出、労使協定の締結、等も、もれなく行っておきましょう。
共通の申請様式は事前に準備しておく
以下の2つの申請書についてはどの助成金においても共通の申請様式となっているため、事前に準備しておきましょう。
- 支給要件申立書
助成金を受給する資格があるかどうかを証明する書類です。 - 支払方法・受取人住所届
事業所番号や法人口座番号、支払方法、口座名義、受取人住所など助成金を受給する際に必要となる情報を記載する書類です。
支給要件確認申立書と支払方法・受取人住所届は、厚生労働省「雇用関係助成金に共通の要件等」からダウンロードできます。
コンサルティング業者に申請サポートを依頼する
はじめて助成金を申請する場合には、助成金申請サポートを行うコンサルティング業者に相談することがおすすめです。
「どの助成金が自社の取り組みに適しているかわからない」「支給要件を満たすうえで何が足りないのかわからない」などの不安を解消する提案をしてくれます。
助成金コンサルのサポート内容や費用相場などを以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
関連記事:助成金申請はコンサルに依頼すべき?サポート内容や費用相場、選び方を解説
まとめ
この記事では、助成金の共通要件や申請の流れ、申請をスムーズに行うコツを解説しました。
助成金ごとに満たすべき支給要件が定められているため、受給を目指す助成金を決めたら、要綱をしっかりと理解したうえで実施計画を立てることが大切です。
「自社が助成金の要件を満たしているかわからない」「助成金の申請がうまくできるか不安」という企業の方は、まず以下から無料相談を試してみてはいかがでしょうか。