介護離職とは何か

介護離職は家族を介護するために仕事を辞めることです。一般的に、管理職や熟練技術が必要な職についている40代~50代の働き盛りの人でも介護のために離職しています。介護離職はなぜ起きるのでしょう。シンプルにいえば、両立が難しいからです。特に介護に対する負担が大きくなれば、気の休まる暇がありません。仕事で疲れて、家に帰っても介護という負担が待っているからです。また、経済面のことも考えなければなりません。ある意味、当然の話でしょう。労働の対価として給与をもらっていたのに、それが介護のために無くなるわけです。40代~50代で管理職などについている場合、給与も通常よりたくさんもらっていても不思議ではありません。それが0になるのです。金銭面で苦しくなるとはいえ、仕事と介護の両立は難しいため介護離職につながっています。今後、どのような状況が考えられるでしょうか。

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介護離職では仕事と介護の両立が難しかったという人が多い

『平成24年度仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書』というアンケート調査が行われています。結果は、正社員の男女各1,000人が対象とし、男性が14.4%、女性が10.7%でした。年代別で見ると、介護を担っている40代は9.8%で、50代は15.4%です。また、仕事と介護の両立について非常に不安を感じている人は、男性で20.9%。女性では26.8%です。不安を感じている人は男性で51.2%、女性は50.4%。つまり半数以上の人が不安は感じているという結果でした。実際に介護離職をした多くの人は、男女ともに、仕事と介護の両立がむずかしかったこと、心身の健康状態が悪化したことを理由としてかかげています。同時に、仕事を続けたかった人は男女ともに5割強と多かったのです。

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介護離職対策のために国も動いています

介護離職については国も深刻な問題としてとらえており解決への取組が行われている最中です。一億活躍社会に向けた取組として、新三本の矢を進んでいますが、その中に『安心につながる社会保障』があります。安心につながる社会保障の一環として、2020年代初頭までに離職介護ゼロを推進していくとされているのです。介護離職をする人の中には、介護サービスや内容について知らない人も少なくありません。国はその状況に問題を感じ、情報提供体制の整備を行っています。他にも、介護離職者を減らすための取組があるためチェックしてみてください。

介護休業制度

介護休業制度は、家族の介護のために一定期間休業できる制度です。育児・介護法で定められている制度ですから事業主は申請を拒否できません。ただし、無制限で無条件ではないです。介護休業可能なのは、対象家族1人につき3回までで、原則労働者が申し出た期間ですが通算93日が限度となっています。また、介護休業を申し出る、取得を理由に解雇や不利益な扱いをしてはならないなど、事業者は労働者への配慮しなければならないとされているのです。

介護休暇制度

介護休暇制度も育児・介護休業法によって定められている制度です。そのため、介護休業制度と同じように事業者は労働者の申し出を拒否することはできません。利用できる人は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者です。男女などの性差は関係ありません。条件として、同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること。取得予定日から起算して93日経過する日から6カ月経過するまでの間、労働契約期間が満了することが明らかではないことなどがあります。ただ、日々雇用されている人、継続雇用された期間が1年未満、介護休業ができない合理的な理由がある人は対象外です。例えば、申請日から93日以内に雇用関係が終了するのが明確な人や、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者は対象外となります。

勤務時間の短縮措置

要介護労働状態に介護を行う従業員は、事業主から勤務時間の短縮措置を受けることが可能です。短時間勤務や、フレックスタイム制度、始業や終業時刻の繰り上げや繰り下げ、労働者が利用する介護サービス費用の助成や準ずる制度などがあります。

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介護離職者を防ぐ対策は実施されています

厚生労働省では介護離職ゼロポータルサイトを設置しており、介護制度などの情報提供を積極的に行っています。他にも、地域包括センターや、社会福祉協議会、保健所、国民健康保険団体連合会などでは相談窓口も設けられているため介護に困っている人は活用してみてください。今後、介護離職が増加するかどうかは国の政策や企業、一緒に働く同僚の理解が必要となってくるでしょう。介護離職は誰にとっても関係のある問題のひとつのはずです。社会的に、介護離職の理解と共に介護者へのサポートが当然のようになれば、今後、介護離職も減るのではないでしょうか。

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弊社担当のご紹介
黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。