人手不足や生産性向上の課題を抱える中小企業にとって、省力化や自動化は事業成長において欠かせない重要な課題です。そうした中で、中小企業省力化投資補助金は、設備導入やシステム構築に利用できる制度であるため、多くの企業が注目しています。

本制度を活用するには、定められた申請手順・スケジュールに沿った準備、申請を行う必要があります。期限を過ぎてしまうと、いくら支給要件を満たしていても補助金を受給できなくなるためです。

そこで、この記事では中小企業省力化投資補助金の申請開始時期やスケジュールを中心に、申請準備の流れ、注意点についても解説します。

中小企業省力化投資補助金の公募開始はいつ?

中小企業省力化投資補助金とは、人手不足や業務効率化の課題を抱える中小企業が、省力化・自動化設備の導入やシステム構築を行う際に、その費用の一部を国が補助する制度です。

関連記事:【2025最新】中小企業省力化投資補助金とは?支給要件や補助率を解説

中小企業省力化投資補助金に申請するタイミングや受付方法は、「カタログ注文型」と「一般型」のどちらに申請するかによって異なります。そこで、ここではそれぞれのコースの公募開始時期について解説します。

カタログ注文型:随時受付

カタログ注文型は、用意されたカタログに掲載されている製品・サービスの中から導入する設備・システムを選び、販売事業者と共同で申請する方法です。手続きが簡易で、導入のタイミングも柔軟に設定できます。

2024年6月以降、応募の利便性向上や早期の省力化実現のために、カタログ注文型は随時申請を受け付けています。そのため、希望する設備・システムが登録されている場合、いつでも申請することが可能です。

ただし、メンテナンス期間のみ申請を受け付けていないため、注意が必要です。

一般型:年3~4回

一般型は、企業が自社独自の課題を解決するために自社で設備やシステムを選定し、事業計画書に基づいて申請する方式です。採択の難易度は上がりますが、自由度の高い設備投資につながります。

年に3~4回の公募が行われ、申請期間は各公募回において明確に決められています。期間内に申請しないと、補助金を受給できないため、必ずスケジュールを確認しておきましょう。

2025年度の公募開始日や申請スケジュールについてまとめました。

公募回 公募開始日 申請受付開始日 申請締切日 採択発表日(予定)
第1回 2025年1月30日 2025年3月19日 2025年3月31日17:00 2025年6月16日
第2回 2025年4月15日 2025年4月25日 2025年5月30日17:00 2025年8月8日
第3回 2025年6月27日 2025年8月4日 2025年8月29日17:00 2025年11月下旬
第4回 2025年9月19日 2025年11月4日 2025年11月27日17:00 後日発表

第5回以降の公募スケジュールは未定です。中小企業省力化投資補助金のホームページから、最新情報を確認しましょう。

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中小企業省力化投資補助金の申請の流れ

中小企業省力化投資補助金の申請の流れを解説します。

1.GビズIDの取得

中小企業省力化投資補助金の申請は、電子申請システム(JGrants)で行う必要があります。はじめてGビズIDを利用する場合、まずはGビズIDプライムアカウントを取得しましょう。

アカウントの申請から発効までにかかる期間は、オンラインでは最短で即日発行が可能です。一方、書類申請の場合には、2週間程度の時間がかかる可能性があります。補助金の活用を検討し始めた段階で、早めに手続きを行いましょう。

2.製品・システムの選定

自社の事業課題に適した製品・システムを選定します。導入により、業務プロセスにおいて「どの程度、人件費削減や工数短縮が見込まれるか」を分析することが大切です。

カタログ注文型であれば、あらかじめ定められたカタログの中から希望製品を選定する必要があります。

3.【カタログ注文型】販売事業者の選定

カタログ注文型の場合、対象製品ごとに「販売事業者一覧」が定められているため、販売事業者の選定が必要です。販売事業者を選定したのち、申請者と共同で事業計画を策定し、申請の準備を進めます。

4.交付申請

事業計画などの必要事項を準備が完了したら、電子申請システムから交付申請を行います。電子申請システムへの入力は、必ず申請者自身が申請する必要があります。

5.事業の実施

交付決定通知を受け取ったのち、採択された事業計画に基づき、製品・システムの導入(発注・契約・納入・支払い)を実施します。

6.実績報告

補助事業が完了した後、定められた期間内に事務局に実績報告します。実績報告には以下の内容を含む必要があります。

  • 導入した製品・システムの支払いにかかる証拠書類(契約書や領収書など)
  • 製品・システムの導入実績にかかる証拠書類(納品書や検収書、設備・システムの写真など)
  • 事業計画の達成状況(直近の確定申告書、賃金台帳の写しなど)

7.補助金の交付

実績報告が確認されたのち、補助金額が確定します。支払い請求を行うことで、補助金が交付される流れです。

8.事業実施効果の報告

事業完了後も、製品・システムの稼働状況や事業計画の達成状況など、事業実施効果を報告する必要があります。

事務局が定めた日付を起算日として、カタログ注文型の場合は3年間、一般型の場合は5年間の期間が定められています。事業実施効果の報告を怠ると、補助金の返還を求められる可能性があるため、必ず行いましょう。

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中小企業省力化投資補助金の申請書類とは?

ここでは、中小企業省力化投資補助金の申請書類を解説します。

カタログ注文型

カタログ注文型の提出書類には、以下のようなものがあります。

全事業者共通
  • 【指定様式】従業員名簿
  • 貸借対照表(前期・前々期)
  • 損益計算書(前期)※個人事業主で白色申告の場合は収支内訳書
  • 損益計算書(前々期)
法人
  • 履歴事項全部証明書 発行から3カ月以内のもの
  • 法人税の納税証明書(その2)直近3期分
  • 【指定様式】役員名簿
  • 【指定様式】株主 •出資者名簿
個人事業主
  • 確定申告書の控え 第一表 直近1期分
  • 所得税の納税証明書(その2)直近1期分
人手不足
※設問の回答によっていずれかの提出が必要
  • 【指定様式】時間外労働時間
  • 【指定様式】 従業員減少の確認用
  • 求人募集したことを証明する書類
大幅な賃上げ対象者 最低賃金者の賃金台帳
省力化計画
※販売事業者が添付
【指定様式】省力化効果判定シート
ファイナンス・リース取引を利用する事業者
  • リース料軽減計算書
  • リース取引に係る宣誓書

一般型

一般型の提出書類には、以下のようなものがあります。ここでは、全事業者共通の書類についてまとめました。

事業者の実在確認書類
  • 【法人】履歴事項全部証明書
  • 【法人】納税証明書(その2)直近3期分
  • 【個人】確定申告書の控え(第一表)
  • 【個人】納税証明書(その2)直近1年分
決算書など
  • 【法人】損益計算書 直近2期分(製造原価報告書、販売費及び一般管理費明細、個別注記表を含む)
    ※製造原価報告書、販売費及び一般管理費明細は従来から作成している場合のみ
  • 【個人】青色申告の場合は青色申告決算書、白色申告の場合は所得税白色申告収支内訳書
従業員数の確認書類
  • 【法人】法人事業概況説明書
  • 【個人】所得税青色申告決算書または所得税白色申告収支内訳書
役員の確認書類 【指定様式】役員名簿
株主の確認書類 【指定様式】株主・出資者名簿
事業計画に係る書類
  • 【参考様式】事業計画書(その1・その2)
  • 【指定様式】事業計画書(その3)

この他にも、該当する事業者のみが提出する書類も規定されています。公募要領を確認するか、補助金コンサルタントにご相談ください。

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中小企業省力化投資補助金における申請時の注意点

中小企業省力化投資補助金を申請する際には、提出書類やスケジュール管理など、いくつか注意すべきポイントがあります。

ここでは、中小企業省力化投資補助金における申請時の注意点について解説します。

GビズIDの取得は早めに行う

本補助金の申請には、GビズIDプライムアカウントが必須なため、早めに取得することが大切です。
しかし、GビズIDは申し込み~利用可能になるまでに2週間~1か月ほどの時間がかかることがあり、繁忙期には審査が遅延するケースも見られます。

そのため、補助金の申請を検討し始めた段階で、できるだけ早くGビズIDの取得手続きを進めておくことが重要です。
特に公募開始直前に取得しようとすると、IDが間に合わず申請を逃してしまうリスクが高まります。

【カタログ型】販売事業者と共同で申請する

カタログ注文型では、中小企業単独での申請はできません。
申請には、補助金対象となる製品を扱う「販売事業者」と共同で行う仕組みが採用されています。

申請手順は、以下のようになります。

  1. 販売事業者を選定する
  2. 販売事業者のサポート窓口電話番号もしくはメールアドレス宛に連絡する
  3. 販売事業者から申請の専用フォームへの招待を受ける
  4. 共同で申請受付システムから申請を行う

招待メールの発行やデータ連携に時間がかかる場合があるため、申請を急ぐ場合には、販売事業者との連携は早めに開始しておく必要があります。

【一般型】事業計画書が採択率を左右する

一般型では、企業が自由に選んだ設備やシステムで申請できるため、「事業計画書の完成度」が採択結果を大きく左右します。そのため、事業計画書では以下の内容を具体的に説明することが大切です。

  • 投資内容の具体性
  • 省力化・業務効率化の効果を示す数値
  • 導入のスケジュールと費用
  • 労働生産性向上や賃上げ要件への対応状況

公募要領をよく読み込むとともに、不安な場合には補助金コンサルタントに依頼することで、採択されやすい事業計画書の作成をアドバイスしてもらえるでしょう。

まとめ

この記事では、中小企業省力化投資補助金の申請開始時期やスケジュール、申請準備の流れ、注意点について解説しました。

中小企業省力化投資補助金は、カタログ型と一般型で公募時期や申請手順が異なるため、最新スケジュールの確認と早めの準備が重要です。特にGビズID取得や事業計画書の作成には時間がかかるため、余裕を持って進めることで採択率向上につながります。

補助金を活用して省力化投資を成功させるためにも、必要書類の確認と適切な手続きを心がけましょう。

中小企業省力化投資補助金の受給を検討している事業主の方は、プロのコンサルタントへの依頼がおすすめです。採択される確率を高められるため、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。