中小企業が抱える最も大きな課題のひとつが人手不足と業務効率化です。汎用的な設備だけでは対応が難しい現場への支援として、2025年度から「中小企業省力化投資補助金」の 一般型 が設置されました。
現場の事情に応じて、自由度の高い省力化設備・システムを選べる反面、達成すべき要件が設定されており、達成できないと返還義務が発生します。そのため、申請前に公募要領をよく確認する必要があります。
そこで、この記事では中小企業省力化投資補助金(一般型)の概要や支給要件、補助額についてわかりやすく解説します。
中小企業省力化投資補助金とは?
中小企業省力化投資補助金とは、「人材不足に直面している中小企業・小規模事業者などが、省力化設備やデジタルツールなどを導入する際に、その費用の一部を補助する制度」です。
本制度は、IoTやロボット、管理システムなどの導入を支援し、人手不足解消や企業の付加価値向上、業務効率化などにつなげることを目的としています。
中小企業省力化投資補助金には、導入する設備によって以下の2つのコースが用意されています。
- カタログ注文型
省力化に効果のある汎用製品がカタログにまとめられており、その中から製品を選択・導入できるコース - 一般型
各企業の現場の実情に合った設備・システムを導入できるコース
本記事では、上記コースのうち令和7年度から新設された「一般型」について詳しく解説します。中小企業省力化投資補助金の概要やカタログ注文型の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2025最新】中小企業省力化投資補助金とは?支給要件や補助率を解説
中小企業省力化投資補助金(一般型)の支給要件

ここでは、中小企業省力化投資補助金(一般型)の支給要件について解説します。
対象となる事業主
中小企業省力化投資補助金(一般型)の対象となる事業主の主な要件をまとめました。
- 日本国内で法人登記などがされていること
- 日本国内で事業を営み、かつ日本国内に本社・事業実施事業所があること
- 一定要件を満たす中小企業・小規模事業者・特定非営利活動法人・社会福祉法人であること
一方、補助対象外となる事業主の要件もあります。代表的な要件を紹介しますが、詳細は公募要領を確認するか補助金コンサルタントにご相談ください。
- みなし大企業に該当する事業者
- 暴力団や暴力団員と関係がある事業者
- 過去1年以内おいて、労働関係法令違反により、送検処分を受けた事業者
- 過去に、「ものづくり補助金」「中小企業等事業再構築促進補助金」「中小企業新事業進出補助金」のいずれかの交付決定を受け、応募申請時点で事務局からの補助金支払が完了していない事業者
- 応募申請日を起点にして過去3年間に「ものづくり補助金」または「中小企業等事業再構築促進補助金」の交付決定を合計で2回以上受けた事業者
- 観光庁の「観光地・観光産業における人材不足対策事業」により設備投資に対する補助金の交付決定を受けた事業者、あるいはその申請を行っている事業者
満たすべき基本要件
中小企業省力化投資補助金(一般型)を受給するには、以下の4つの基本要件を満たす3~5年の事業計画を策定して取り組み、達成する必要があります。
| 1 | 労働生産性の向上 | 事業計画期間において毎年、申請時と比較して、労働生産性を年平均成長率(CAGR)+4.0%以上向上させること |
|---|---|---|
| 2 | 給与支給総額 または1人当たり給与支給総額の増加 |
以下のいずれかを達成すること ※応募申請時には、どちらの計画も策定する必要がある
|
| 3 | 最低賃金の引き上げ | 事業計画期間において、事業場内最低賃金を、毎年、事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準とすること |
| 4 | (従業員数21名以上の場合のみ) 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の公表 |
交付申請時までに、「両立支援のひろば」に次世代育成支援対策推進法に基づく有効な一般事業主行動計画を公表すること |
また、その他の要件についてもまとめました。
- 当該事業計画により業務量が削減される割合を示す「省力化効果が見込まれる事業計画を策定すること
- 事業計画上の投資回収期間を根拠資料とともに提出すること
- 3~5年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して付加価値額が増加する事業計画を策定すること
- 人手不足の解消に向けて、オーダーメイド設備の導入などを行う事業計画を策定すること
- 外部SIerを活用する場合、3~5年の事業計画期間内における保守・メンテナンス契約を中小企業等とSIer間で締結することとし、SIerは必要な保守・メンテナンス体制を整備すること
- 本事業にかかる資金について金融機関(ファンドなどを含む。)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、金融機関による確認書を提出すること
採択されるための評価・加点ポイント
中小企業省力化投資補助金(一般型)の支給要件は、カタログ注文型と比較して審査項目が多くなる点に注意が必要です。一般型において採択されるには、以下のポイントを押さえた事業計画を作成しましょう。
- 申請する製品を用いてどのような省力化効果が見込めるのか
- 省力化効果により付加価値の向上がどの程度見込めるのか
- 事業状況に見合った投資であるのか
- 個別の課題に対して作業工程や事業所の構造・レイアウトなどに合わせて、機能、構造、性能等が一品一様で設計・開発された機械装置・システムの導入をする事業計画となっているか
- 革新性がどれだけあるのか
また、採択における加点項目についてまとめました。
- 事業承継又はM&Aを実施した事業者(申請者)に対する加点
- 事業継続力強化計画/連携事業継続力強化計画に対する加点
- 成長加速マッチングサービスに登録している事業者に対する加点
- 賃上げ加点
- 地域別最低賃金引き上げに係る加点
- 事業場内最低賃金引き上げに係る加点
- えるぼし加点
- くるみん加点
採択されるためのポイントや加点項目の詳細は、公募要領を確認するか助成金コンサルタントにご相談ください。
「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!
助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説中小企業省力化投資補助金(一般型)の対象経費

中小企業省力化投資補助金(一般型)の対象経費について解説します。
対象となる経費
補助対象となる経費は、本事業の対象として明確に区分できるものであり、その経費の必要性及び金額の妥当性を証拠書類によって明確に確認できる、以下の経費です。
- 機械装置・システム構築費(税抜50万円以上の設備投資が必須)
- 運搬費
- 技術導入費
- 知的財産権等関連経費
- 外注費
- 専門家経費
- クラウドサービス利用費
また、対象経費は、交付決定を受けた日付以降に発注を行い、補助事業実施期間に補助事業のために支払いを完了したものに限ります。
対象外となる経費
対象外となる経費について、主な要件をまとめました。
- 交付決定前に発生した経費
- 過去に購入した設備製品に対する作業費用
- 補助対象経費となっていない設備製品に対する費用
- 導入する設備とは関連のない設置作業や運搬費、データ作成費用やデータ投入費用など
- 導入する設備の試運転に伴う原材料費、光熱費など
- 補助事業者の通常業務に対する代行作業費用
- 自社事業の省力化が目的ではなく、販売や外部提供することを目的とした、製品・サービス等の開発・調達にかかる経費
- 社内システム・自社の基幹システムなどの開発・改修を自社の人員で実施する場合の人件費
- 開発を必要としないパッケージソフト・汎用ソフトウェアの購入および導入設定・セットアップ費用
※単なる導入設定・セットアップなどは、開発とは認められません。 - すでに導入されている既存システムやソフトウェアのバージョンアップ・アップデートの費用・改修費用
中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助率
中小企業省力化投資補助金(一般型)の補助率・補助上限額についてまとめました。
| 補助上限額 | 補助率 | |
|---|---|---|
| 従業員数5名以下 | 750万円(1,000万円) |
|
| 従業員数6~20名 | 1,500万円(2,000万円) | |
| 従業員数21~50名 | 3,000万円(4,000万円) | |
| 従業員数51~100名 | 5,000万円(6,500万円) | |
| 従業員数101名以上 | 8,000万円(1億円) | |
※()内は、賃上げ要件を達成した場合
この他にも、補助上限額を引き上げる賃上げ要件が設定されています。詳細は、補助金コンサルタントまでご相談ください。ただし、賃上げ要件は未達の場合、補助上限額との差額を返還する必要があります。
まとめ
この記事では中小企業省力化投資補助金(一般型)の概要や支給要件、補助額について解説しました。
中小企業省力化投資補助金(一般型)は、導入する製品・システムの自由度は高く、高額な補助金が期待できるものの、カタログ注文型と比較すると審査が厳正に行われるため、受給難易度は高くなっています。
そのため、中小企業省力化投資補助金(一般型)の受給を検討している事業主の方は、プロのコンサルタントへの依頼がおすすめです。採択される確率を高められるため、まず以下から無料相談を試してみてはいかがでしょうか。
無料相談はこちら

