助成金の申請に必要な書類の作成は自分でできると思いがちです。しかし、始めてみたものの、書類の作成について膨大な時間がかかることがわかることも少なくありません。当初の予定とは明らかな見込み違いなのですが、そのまま押し通してしまうと、さらに工数がかかってしまうでしょう。そうなると、まずは上司に相談し、最善策を講じなければいけません。過去に助成金申請の経験がなければ、どの程度の内容で申請が通るのかといった尺度もわかりません。やってみなければわからない状況で、これ以上工数をかけて進めるわけにはいかない状況になるのです。そのときは、専門家に助成金申請の代行を依頼するのがベストの選択となります。内製で行う計画がとん挫することになりますが、途中からでも、それまでに行った作業内容を無駄にすることなく、スムーズな代行依頼が望まれます。

助成金の申請に必要な書類の多さに加え一つひとつの書類の内容も大切です。何よりも審査に通らないと助成金の給付を受けることはできないので、最善の注意を払って申請書類の作成をしなくてはいけません。場合によっては当初の計画にはない、申請の代行を依頼することもあるでしょう。

助成金の申請条件について

助成金の申請条件を熟知していないと、せっかく書類を作成しても審査に通らない、「不支給」ということにもなりかねません。

① 助成金の申請条件

助成金はどの事業所でも条件を満たし、不備なく書類を提出することで給付を受けることができます。以下に簡単に申請条件を列挙します。

  • 雇用保険の適用事業所であること:申請先が主にハローワークであること(管轄が厚生労働省)。
  • 支給・不支給を決める審査に必要な書類の提出。
  • 支給のための審査協力:場合によっては申請要件にない書類の提出を求められる。
  • 実地調査の受け入れ
  • 申請期間内に申請を行う

②助成金の受給ができないケースも

助成金の受給ができないケースもあります。

  • 過去に不正受給があれば(3年間)申請できない
  • 労働保険料を納付していない
  • 労働関係法令に違反のあった事業者
  • 性風俗関連営業などを行う事業者
  • 暴力団関係
  • 会社都合による解雇をした事業者(申請より6ヵ月以内)
  • 特定受給資格者(会社都合による解雇)を発生させた事業者(3人超の離職者、被保険者数の6%超)

助成金の申請にかかる工数

助成金の申請に必要な作業を一から始めるには、労働法令関係の知識も必要になります。前準備もないまま闇雲に初めても至る所で壁にあたってしまうことでしょう。「急がば回れ」ではありませんが、周到な準備を行って申請に関する書類作成を行わなければいけません。

① 実際どのくらいの工数がかかるのか

申請関連にかかる工数は、それぞれの能力によってまちまちです。工数は人件費に直結しますから、少しでも少ない工数で行うことが望まれます。しかし、安易な書類作成では、書類不備で助成金支給の審査に通らずに突き返されることもあります。申請にも期限があるので、期間内であれば何度でも申請が可能です。提出して不備がわかればそこを改善すればいいのですから、できるだけ早く最初の申請を行い、通らなければ悪い所を修正していくという方法が有効です。ただし、申請期間が長い場合はそういった方法も取れますが、申請期間が短い場合では、一度きりの申請機会となるので、それにはやはり入念な書類作成が必要になります。

②自分ではできない場合の見極め

まずは、自分でとことん助成金申請のための書類集めや資料の確認などを行い、綿密な計画を立てます。申請日の期限から逆算しなくてはいけないのですが、不測の事態を考えてできるだけ前詰めの計画を立てる必要があります。大切なのは見極めです。入念に計画を立てて、結果的にできなかったでは通りません。そのため、できない場合(その可能性も含めて)は早めに見極めをして、代行依頼(外部委託)するなりの対応が必要です。

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助成金申請の代行を依頼する

自分で行うのが大変となると、助成金申請の代行を専門家に依頼することがもっとも得策です。

①社会保険労務士(以下社労士)の独占業務

社会保険労務士法により以下の業務を行います。

  • 書類等の作成業務
  • 申請等の代行業務
  • 事務等の代理業務

以上が社労士の3つの業務です。
助成金代行は社労士の独占業務とも呼ばれていますが、助成金の内容によっては、行政書士や中小企業診断士でも申請代行業務ができます。しかし、全ての申請について代行業務ができるという点で、社労士に代行業務を依頼するのが得策です。

②代行料はどのくらい?

社労士に支払う助成金の申請代行料は、成功報酬がほとんどです。かかる実費については負担しなくてはいけませんが、代行業務については、助成金の額に応じた代行料となります。成功報酬にしているのは、助成金が書類の不備なく提出すれば、ほぼ100%の確率で助成金の受給ができるからです。
※上に示した助成金受給条件に合致した場合のみです。

③自分でできない場合は代行してもらう

助成金の申請手続きは大変です。「餅は餅屋」という言葉もあるように、社労士はそのために存在しているといってもいいので、助成金の申請手続きは社労士に任せると良いでしょう。もちろん、自社の内製のほうが費用はかからない……という考えもあります。しかし、作成にかかる工数を人件費に換算すると結果的には代行してもらったほうが安上がりだったということにもなりかねないのです。また、お金の問題ではなく、物理的に申請作業ができない、内製では荷が重い、ということもあるでしょう。申請期間もありますから、そのときは迷わず社労士に申請手続きの代行を依頼しましょう。

まとめ

助成金に関する書類を作成するのは、当初は自分でできると考えてみても、実際にかかる工数が膨大になると専門家に任せたほうが得策です。見込み違いは痛手ですが、自分で最後までやりきるよりは、専門家に任せたほうが負担も軽く、何よりも時間の節約になります。代行料を考えても、代行を依頼したほうが金銭面での負担が軽減されるのは間違いありません。

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。