ものづくり補助金は、中小企業が新たな設備投資やサービス開発に取り組む際に活用できる国の代表的な補助金制度の一つです。
しかし、「申請しても採択されないかもしれない」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。実際、採択率は年ごとや公募回ごとに異なっており、採択されるかどうかは事業内容や申請書の完成度に左右されます。
そこで、この記事では過去の採択率を紹介しつつ、採択される企業の傾向や不採択になりがちなポイント、採択されるために押さえておくべき対策をわかりやすく解説します。
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金とは、中小企業などが取り組む「革新的な新製品・新サービスの開発」や「海外需要開拓を行う事業」などに必要な設備投資などの経費の一部を補助する事業のことです。
ものづくり補助金は、取り組み内容によって以下の2つの枠に区分されています。
- 製品・サービス高付加価値化枠:革新的な新製品・新サービス開発などの取り組みに必要な設備・システム投資を支援する枠
- グローバル枠:海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム投資などを支援する枠
ものづくり補助金の各コースの詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2025年最新】ものづくり補助金とは?各コースを徹底解説


ものづくり補助金の採択率の推移と最新情報
ものづくり補助金の採択率は、公式ホームページにて公表されており、おおよそ30%~60%台を推移しています。採択率は、申請する枠や応募者数、補助金自体の予算などによって変動することは注意しておきましょう。
ここでは、ものづくり補助金の採択率の推移と最新情報である18次の採択率を解説します。
直近18次の公募における採択率
2025年月現在、ものづくり補助金の最新の採択結果は、2024年1月31日~3月27日までの期間において行われた18次の公募のデータが公表されています。
20次の公募とは枠の内容は異なる部分もありますが、以下に18次の採択結果をまとめました。
総計 | 省力化(オーダーメイド)枠 | 製品・サービス高付加価値化枠 | グローバル枠 | |
---|---|---|---|---|
申請者数 | 5,777 | 599 | 5,015 | 163 |
採択者数 | 2,070 | 204 | 1,827 | 39 |
採択率 | 35.8% | 34.0% | 36.4% | 23.9% |
この結果から、18次における全体の採択率は35.8%とやや低い水準であったことがわかります。
また枠別に考えると、3つの枠のうち最も採択率が高かったのは「製品・サービス高付加価値化枠」であり、最も低かったのが「グローバル枠」でした。
過去4年間の採択率の推移
また、以下にものづくり補助金の2021年~2024年の採択率の推移をまとめました。
公募回 | 応募者数 | 採択者数 | 採択率 |
---|---|---|---|
4次 (2021年) |
一般型:10,041 グローバル展開型:271 |
一般型:3,132 グローバル展開型:46 |
一般型:31.2% グローバル展開型:16.9% |
5次 (2021年) |
一般型:5,139 グローバル展開型:160 |
一般型:2,291 グローバル展開型:46 |
一般型:44.6% グローバル展開型:28.7% |
6次 (2021年) |
一般型:4,875 グローバル展開型:105 |
一般型:2,326 グローバル展開型:36 |
一般型:47.7% グローバル展開型:34.3% |
7次 (2021年) |
一般型:5,414 グローバル展開型:93 |
一般型:2,729 グローバル展開型:39 |
一般型:50.4% グローバル展開型:41.9% |
8次 (2022年) |
一般型:4,584 グローバル展開型:69 |
一般型:2,753 グローバル展開型:27 |
一般型:60.0% グローバル展開型:39.1% |
9次 (2022年) |
一般型:3,552 グローバル展開型:61 |
一般型:2,223 グローバル展開型:24 |
一般型:62.6% グローバル展開型:39.3% |
10次 (2022年) |
一般型:4,224 グローバル展開型:70 |
一般型:2,584 グローバル展開型:28 |
一般型:61.2% グローバル展開型:40.0% |
11次 (2022年) |
一般型:4,668 グローバル展開型:76 |
一般型:2,786 グローバル展開型:31 |
一般型:59.8% グローバル展開型:40.8% |
12次 (2022年) |
一般型:3,200 グローバル展開型:56 |
一般型:1,885 グローバル展開型:22 |
一般型:59.0% グローバル展開型:39.3% |
13次 (2023年) |
一般型:3,261 グローバル展開型:61 |
一般型:1,903 グローバル展開型:24 |
一般型:58.3% グローバル展開型:39.3% |
14次 (2023年) |
4,865 | 2,470 | 50.8% |
15次 (2023年) |
5,694 | 2,861 | 50.2% |
16次 (2024年) |
5,608 | 2,738 | 48.8% |
17次 (2024年) |
629 | 185 | 29.4% |
18次 (2024年) |
5,777 | 2,070 | 35.8% |
「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!
助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説ものづくり補助金で不採択となるケースの傾向
ここでは、ものづくり補助金で不採択となるケースの傾向を解説します。
自社の財務状況に適していない計画の立案
ものづくり補助金では、「自社の経営を今よりも良くする」「新しい商品やサービスを開発する」など、これまでのやり方を大きく変える計画が求められます。そのため、必要以上に大きな設備投資を計画してしまう会社もあります。
しかし、補助金を使って事業を始めた結果、会社のお金の流れ(キャッシュフロー)が悪くなるような計画は、審査で不適切と判断される可能性があります。
そのため、事業計画を作るときは「投資することで、どんな成果や利益が得られるのか」をよく考えて計画を立てることが大切です。
支給要件を満たしていない
ものづくり補助金の支給要件を満たしておらず、不採択となるケースもあります。公募要領を確認すると、支給要件に注意書きが盛り込まれていることもよくあります。
たとえばものづくり補助金では、機械装置の購入やシステムの構築も対象経費になりますが、「単価が税抜で50万円以上の機械装置を導入すること」が条件です。そのため、たとえ40万円の機械装置を購入しても、補助の対象にはなりません。
支給要件を満たすには、公募要領をよく確認することが欠かせません。知識・ノウハウが不足している場合には、補助金コンサルタントに相談をしましょう。
審査項目を網羅する事業計画書になっていない
ものづくり補助金の公募要領には、審査方法や審査項目・加点項目・減点項目などが公表されています。それにもかかわらず、申請書や事業計画書が公募要領に則って作成されていないと、不採択となる可能性が高くなります。
そのため、審査項目に記載されている内容を網羅した事業計画書になるよう、よく確認して作成することが大切です。
のちほど詳しく審査項目・加点項目・減点項目については解説しますので、事業計画書を作成する際の参考にしてください。


ものづくり補助金の採択率を高めるポイント
ここでは、ものづくり補助金の採択率を高めるポイントを解説します。
余裕をもって申請準備する
ものづくり補助金の公募期間は短いことが多く、3か月程度のケースもあります。そのうち、申請における必要書類を準備するのに、1か月程度かかることも少なくありません。
そのため、申請期日まで余裕がある場合にも、余裕をもって申請準備を行うことが大切です。事前にスケジュールを決めておき、「いつまでにコンサルタントに相談するか」「いつまでに書類を作成するか」「いつまでに申請するか」などと自分たちで期日を明確にしておきましょう。
審査項目を確認する
ものづくり補助金では公募要領に審査項目が記載されています。以下に5つの審査項目の概要をまとめましたので、参考になれば幸いです。
適格性 | 公募要領に記載の対象者、対象事業、対象要件などを満たしているかどうかを確認する項目 |
---|---|
経営力 | 実現したい経営目標が具体化されているかどうかを確認する項目 |
事業性 | 高い付加価値の創出や賃上げを実現する目標値が設定されており、かつその目標値の実現可能性が高い事業計画となっているかどうかを確認する項目 |
実現可能性 | 「必要な技術力を有しているか」また、「当該技術力が競合する他社と比較してより優位な技術力か」を確認する項目 |
政策面 | 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の経済成長(大規模災害からの復興などを含む)を牽引する事業となることが期待できるかどうかを確認する項目 |
またこの他にも、大幅賃上げ特例の適用を申請する場合には、「大幅な賃上げに取り組むための事業計画の妥当性」という審査項目も設けられています。
事業計画書を作成する際は、審査項目を意識し、書類に反映させられているかどうかを確認しましょう。
加点項目・減点項目を確認する
ものづくり補助金の公募要領には、加点項目・減点項目も記載されています。特に加点項目に該当する場合には、採択率を高めることにつながります。
以下の取り組みを行うことで加点される加点項目についてまとめました。なお、最大6項目の加点申請が可能です。
- 経営革新計画
- パートナーシップ構築宣言
- 再生事業者
- DX認定
- 健康経営有料法人認定
- 技術情報管理認証
- J-Startup・J-Startup地域版
- 新規輸出1万者支援プログラム(グローバル枠に申請する場合のみ対象)
- 事業継続力強化計画/連携事業継続力強化計画
- 賃上げ
- 被用者保険
- えるぼし認定・くるみん認定
- 事業承継/M&A
- 成長加速マッチングサービス
また以下に該当することで減点される減点項目もまとめました。
- 補助金複数回利用者
- 補助要件未達事業者
- 加点項目要件未達事業者
- 他の補助事業の事業化が進展していない事業者
加点項目・減点項目の詳細は、ものづくり補助金の公募要領を読み込むもしくは補助金コンサルタントに相談して確認しましょう。
補助金コンサルタントに依頼する
補助金コンサルタントに申請サポートを依頼することで、完成度の高い事業計画書の作成につながります。
特に、補助金申請がはじめての場合や不採択された経験がある場合などには、補助金コンサルタントに相談してみることがおすすめです。
まとめ
この記事では過去の採択率を紹介しつつ、採択される企業の傾向や不採択になりがちなポイント、採択されるために押さえておくべき対策を解説しました。
ものづくり補助金の採択率は、30~60%台で推移しています。採択率を高めるには、公募要領をよく理解するとともに、自社の状況を正確に分析したうえで事業計画を作成するなど、経験やスキル・ノウハウが欠かせません。
そのため、ものづくり補助金の受給を検討している事業主の方は、プロのコンサルタントへの依頼がおすすめです。採択率を高められるため、まず以下から無料相談を試してみてはいかがでしょうか。
無料相談はこちら


