助成金の申請は大変……。そのようなイメージは持ってしまいがちです。仕事を行いながら、助成金の申請を行わなければいけないので、その申請書類作成作業は大変なものだということは容易に理解できます。もっとも、大変さは漠然とはわかっていても、具体的にはどのようなところが大変なのかやってみないとわからないところがあります。俗にお役所仕事といわれているように、手続きの一つひとつについて厳格な決まりがあります。書類の中の項目に一つひとつ細かい書式が決まっており、書類の不備同様に間違いがあると再提出が求められます。ここまで厳格にしているのは、助成金が国庫。つまり税金から給付されることが一番の理由です。助成金申請に対しての審査が厳格になるのも理解できるので、ここでは助成金の申請手続きはどこが大変なのか詳しく説明していきます。
助成金の申請にはさまざまな書類が必要になり、そのどれかが欠けることはもちろん、内容に間違いがあれば即時差し戻しです。最悪の場合、「助成金の不給」という判断になる場合もあるのです。反対に必要な書類をきちんと揃えることができれば、助成金給付に対する審査は通りやすいとも言えるでしょう。
目次
助成金申請に必要な書類
助成金は、主に厚生労働省が、雇用の維持・従業員の待遇改善を推進する民間企業に対して、金銭的な支援をする制度です。そのため以下の書類が、助成金の申請手続きのために必要です。
- 就業規則:企業と従業員の間の取り決めです。主に従業員が就業する上で守らなければいけない決まりをまとめたもの。
- 労働条件:労働時間、各種手当てなどをまとめたもの。
- 賃金表:世代ごとの平均給与などをまとめたもの。
- 出勤簿:全員あるいは抜粋して一定数の従業員の出勤簿を提出。
- 登記事項証明書:会社の登記簿等の書類。
- 各種申請書:助成金を申し込むための申請書。
申請は何が大変なのか
具体的に助成金申請について何が大変なのかを説明します。
① 官公庁相手であること
民間と違い、書類に少しでも不備があると修正が余儀なくされます。「こんなに細かいところまで……」という融通が効かないところが煩わしく感じ、この点が俗に「お役所仕事」と呼ばれている所以です。また、必要とされる書類以外にも、「○○がわかる書類を提出してください」といった、イレギュラーな対応を求められる場合もあります。そのため臨機応変な対応が求められることも少なくないのです。
② 会社業務や労務について熟知しておく必要がある
就業規則・労働条件などは、企業設立時に整備しておかなければいけない部分です。最初からきちんと整備していれば問題はないのですが、助成金申請においての就業規則や労働条件の内容は厳しく追及される部分であり、細部にわたって整備する必要があります。そのため、円滑に就業規則や労働条件のとりまとめや業務や労務についての深い知識が必要です。
③申請手続きにかかる工数が膨大
助成金の申請手続きが初めてなら、申請書類の作成などに費やす時間もかなりかかるでしょう。書類作成に何日もかかるようでしたら、それにかかる工数も膨大になります。
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助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説申請手続きをスムーズにするためのコツ
申請手続きをスムーズに行うためのコツを紹介します。
① 申請手続きを代行してもらう
助成金の申請のための書類作りが何日もかかるようでしたら、書類作成を専門家(社会保険労務士)に代行してもらうほうが安上がりになる場合も少なくありません。社労士に対する代行料は成功報酬がほとんどですから、一人の人が申請するまでにかかる工数と、社労士へ支払う代行料のどちらが金銭的に得かを考えてみるのもいいでしょう。もっとも、金銭的な問題だけではなく専門家にまかせることで、本業に専念できることも考えると、その点も考慮して相殺し、費用対効果を考えなくてはいけません。
②人海戦術で書類作成を行う
各担当部署から必要書類を提出してもらうなど、一人で行うのではなく適材適所による人海戦術で、一気に書類作成を行います。できるだけ時間を短縮することで、トータルの工数を削減することができます。
まとめ
助成金の申請について何が大変なのかを洗い出し、そこに人的資源を集中することで、できるだけ早く申請書類を作成することが大切です。助成金は税金からの給付になるので、審査も厳しいものです。もっとも必要書類を提出し、不備がなければ「助成金の給付は受けやすい」といわれています。そのため、社労士へ支払う代行料の多くが「成功報酬」となっているのです。書類は「不備なく提出」するのがもっとも大変な部分ですが、代行を使わず内製で済ますことができれば、それもノウハウとして企業の重要な財産になるのは間違いありません。そのため、大変さを理解しながら助成金の申請を行うようにしたいものです。