助成金を申請するにあたっては、支給要件というものを満たす必要がありますが、助成金の中には特定の事業者のみを対象としたものもあり、活用しにくい助成金というものもあります。

今回は、初めて助成金を活用しようと考えている事業者の方向けに、受給しやすい助成金をいくつかピックアップしてご紹介していきたいと思います。

1.トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は、何らかの理由で就業が困難な求職者を3ヶ月間試験的に雇用することで受給することができる助成金です。もちろん、雇用するからには給与を支払う必要がありますが、試験的に雇用することで助成金を受給できるため、どのような業態の事業者にも当てはまる比較的受給しやすい助成金です。

助成額は一人あたり1ヶ月につき4万円。母子家庭、父子家庭の母親、父親であれば5万円が受給されます。

このトライアル雇用助成金は、求人広告を出したりして―—要するに経費を使って従業員を集めるのに比べてミスマッチのリスクを抑えることができるという点にメリットがあります。

例えば求人広告を出して人材を雇用してもその従業員が辞めてしまった場合、求人広告分は損してしまうことになりますよね? トライアル雇用助成金を活用すれば、すぐに辞めてしまったとしても、そのような痛手を負うことはありません。

また、試験的な雇用ですので、3ヶ月間雇用してみて、合わなかった場合は本格的に雇用契約を結ばないという選択をすることもできます。

求人広告を出しているのになかなか応募が来ない、人を雇用してもすぐに辞めていってしまうとお困りの事業主はトライアル雇用助成金の活用を考えてみてはいかがでしょうか。

2.キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、非正規雇用契約を結ぶ労働者がいる場合に活用することができる助成金です。この助成金は非正規雇用の労働者を正規雇用に転換したり、無期雇用契約に転換したりする場合に活用することができる助成金で、例えば有期契約社員を正社員に転換する場合は一人あたり最大72万円の助成金が支給されます。

他にもキャリアアップ助成金には、非正規労働者の賃金規定を正社員と共通にすることで支給される賃金規定等共通化コースや、正社員のみに適用される手当を非正規労働者にも適用することで支給される諸手当制度共通化コースもあり、アルバイトや短時間労働者の待遇を改善することで助成金が支給されます。

最も支給額の多い正社員化コースは、1事業所あたり最大20名まで適用することができるので、最大1,440万円の助成金を受給することができるため、非常に人気のある助成金です。

日頃、頑張ってくれている非正規労働者の待遇を少しでも良いものにしてあげたいと考えているなら、キャリアアップ助成金の活用を検討してみてはいかがでしょうか?

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3.人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、労働者の職業訓練やセミナー参加を促進する助成金です。職業訓練期間中の賃金やセミナー参加の経費を助成してもらうことが可能で、労働者の業務効率をアップさせながらその一部の費用を国が負担してくれるという一石二鳥の助成金と言えるでしょう。

支給額は賃金(訓練中の時給)助成が最大960円、経費助成(セミナーの参加費)がかかった費用の60%となっています。また、労働者に休暇を与えて訓練を受けさせた場合は最大36万円の助成金が支給されます。

例えばですがトライアル雇用助成金を活用して雇用した労働者を職業訓練させる場合などは非常に相性が良いのではないでしょうか。

4.両立支援等助成金

両立支援等助成金は、仕事と家庭の両立に企業が自発的に取り組む場合に支給される助成金です。この助成金には複数のコースがありますが、例えば以下のような場合に活用することができます。

  • 子供が生まれる社員がいる場合
  • 介護休業制度の導入を検討する場合
  • 女性が働きやすい環境を整備しようとする場合

育児休業や介護休業の整備や、事業所内に保育施設を設置、育休産休後に女性が職場に復帰しやすい制度を導入するなどすることで助成金が支給されます。

こういった働きやすさを整備することで人材の流出を阻止することができるので、長期的な人事戦略で見れば助成金が出る今整備しておくのが良いのではないでしょうか。

まとめ

そもそもですが、助成金は要件さえ満たせば100%支給されるものです。ただ、多くの企業が労働関連法案の違反をしている状態ですので、これが原因で支給されないという現実があります。しかし、こういった類のことは、長期的に見ると必然的に整備していく必要があるものです。

「残業代を支払う余裕がなくて助成金を受給することができない」という事業主も、この機会に労働関連法案についても見直してみてはいかがでしょうか? 労働環境を整備することで従業員のモチベーションは向上し、生産性が上がり事業は好転するかもしれません。

また、助成金は毎年度変更が加えられて新たな助成金制度が設けられることもあります。今労働環境を整備して法令遵守しておくことで、今後は助成金の力を借りながら経営をしていくことが可能になると考えれば、必要な初期投資だと考えることもできるのではないでしょうか。

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。