多くの企業が人材獲得に活用しているキャリアアップ助成金ですが、そのメリットは企業側だけではありません。正社員転換や処遇改善によって、良い影響を受けるのは従業員も同様です。
しかし、従業員側に与える影響について理解しておかなければ、十分なフォローアップができず、従業員の負担が増えてしまう可能性もあります。
そこで、この記事ではキャリアアップ助成金を受給する従業員側のメリットや考慮すべき負担について解説します。
目次
キャリアアップ助成金とは
キャリアアップ助成金とは、パート・アルバイトや派遣社員などの非正規雇用労働者に対して「正社員化」「処遇改善」などの取り組みを実施した企業を支援する制度です。
労働者のキャリアアップを推進することで、モチベーションやスキル・知識が向上し、事業全体の生産性向上が期待できます。また多くの企業の課題となっている優秀な人材確保にもつながることから、キャリアアップ助成金を活用する企業は増えています。
キャリアアップ助成金は、取り組み内容によって以下の6つのコースに分けられています。コースによって支給要件や助成額・助成率が異なるため、まずはどのコースに申請するかを決定することが必要です。
正社員化コース | 非正規雇用労働者を正規雇用労働者に転換した場合に、転換した人数に応じた金額が助成されるコース |
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障害者正社員化コース | 障がいをもつ非正規雇用労働者を正規雇用労働者に転換した場合に、転換した人数に応じた金額が助成されるコース |
賃金規定等改定コース | 非正規雇用労働者の基本給の賃金規定などを3%以上増額改定し、その規定を適用させた場合に、増額した割合に応じた金額が助成されるコース |
賃金規定等共通化コース | 非正規雇用労働者に、正規雇用労働者と共通の職務に応じた賃金規定などを新たに作成し、適用した場合に助成されるコース |
賞与・退職金制度導入コース | すべての非正規雇用労働者に関して、賞与・退職金制度を新たに設け、支給または積立てを実施した場合に助成されるコース |
社会保険適用時処遇改善コース | 雇用する短時間労働者に、以下のいずれかを行った場合に助成されるコース
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キャリアアップ助成金の各コースの詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2025最新】キャリアアップ助成金とは?助成額や申請の流れを解説
対象となる事業者
ここでは、各コース共通の対象事業主の要件をまとめました。以下の要件をすべて満たしたうえで、さらに各コースの支給要件を満たすことが必要です。
- 雇用保険適用事業所の事業主
- 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主
- 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の認定を受けた事業主
- 対象労働者の労働条件や勤務状況、賃金の支払い状況などに関する書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにできる事業主
- キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主
参照:厚生労働省|キャリアアップ助成金のご案内(令和6年度版)
対象となる従業員
以下に、対象となる従業員の定義についてまとめました。
定義 | 例 | |
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有期雇用労働者 | 事業主と、6か月もしくは1年単位などの期間を定めた労働契約を結んでいる労働者 |
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無期雇用労働者 | 雇用期間に定めのない労働契約を結んでいる労働者 |
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短時間労働者 | 勤務時間・勤務日数が正社員の3/4未満で、以下の要件を満たす労働者
|
主にパート・アルバイトなど |
参照:厚生労働省|キャリアアップ助成金のご案内(令和6年度版)


【企業側】キャリアアップ助成金を申請するメリット
キャリアアップ助成金を申請する企業側のメリットをまとめました。
- 他の助成金と比較して受給金額が高めであるため、取り組みに対するコスパが良い
- 業種・企業規模・事業内容に関わらず対象事業者になる可能性が高く、取り組みやすい
- 求職者や既存労働者にプラスの影響を与え、人材不足の解消に貢献する
- 従業員のモチベーションやスキル・知識向上により、生産性向上につながる
キャリアアップ助成金に取り組むには、就業規則の変更が必要で手間はかかります。しかし、正社員化コースであれば最大1,600万円受給できる可能性もあるため、取り組むことで事業体制の強化をしつつ、自社の課題解決のための資金を調達できます。
「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!
助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説【従業員側】キャリアアップ助成金を申請するメリット
ここでは、キャリアアップ助成金を申請する従業員側のメリットを解説します。
生活の安定、収入が向上する
キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の「正社員化」もしくは「処遇改善」を行う必要があるため、対象労働者となれば収入が向上し、生活の安定につながります。
また有期雇用契約では、いつリストラされるかわからないという不安がありますが、正社員化した場合には長期的に働き続けることが可能になるため、心理的にもプラスに働くでしょう。
仕事への充実感につながる
キャリアアップ助成金の対象労働者となり、研修・教育を受ける過程で新しいスキルや資格を得られた場合、自分自身の自信や達成感につながり、仕事に対する充実感が得られるでしょう。
さらに企業から評価されることで、従業員にとって大きな励みになります。自分に適した役割や責任が与えられることで、より充実した気持ちで仕事に取り組めるでしょう。
スキルアップやキャリアプランの組み立てにつながる
非正規雇用労働者から正規雇用労働者になる道筋が明確になることで、労働者は自身のスキルアップやキャリアプランを具体的に組み立てるようになります。
また自己成長する過程で、自分が勤めている企業だけでなく他の企業からの評価も高まり、新たなキャリアプランを発見できる可能性もあります。


キャリアアップ助成金申請にあたり、考慮すべき従業員の負担とは
ここでは、キャリアアップ助成金申請にあたり、考慮すべき従業員の負担について解説します。
業務の負担
キャリアアップ助成金申請にあたり、適切な労務管理が必要になることでこれまでになかった業務が増える可能性があります。
また対象労働者においては、新たな役割や責任が増えることで、業務が増えてストレスに感じることもあるでしょう。
業務量が増える場合や新たな役割を与える場合には、対象労働者とコミュニケーションを取りながら進めることが大切です。
研修・講座を受ける負担
正社員化コースを申請する際には、知識やスキル、資格などを取得するために対象労働者は研修・講座を受ける必要があるケースも多いでしょう。
業務の合間やプライベートの時間を削って研修・講座を受ける必要があることから、一時的に心身ともに対象労働者の負担となる可能性があります。
仕事の負担を調整したり、研修・講座のスケジュールを柔軟に調整したりすることで、対象労働者の負担を軽減しましょう。
職場での人間関係の変化による負担
正社員化コースにおいて、対象労働者が非正規雇用労働者から正社員に転換されると、役割が変わることで同僚との関係性が変化する場合があります。
これまで対等だった立場の同僚を指導する立場になったり、上司だった正社員と競争したりしなければならない場面も出てくるでしょう。そうした際に、対人関係の摩擦によるストレスがたまる可能性があります。
そのため、企業は対象労働者だけでなく労働者全員に対して新しい体制における意義を共有することが大切です。また従業員間のコミュニケーションをサポートする体制を整備することも忘れずに行いましょう。
まとめ
この記事では、キャリアアップ助成金を受給する従業員側のメリットや考慮すべき負担について解説しました。
キャリアアップ助成金を申請することで、企業側だけでなく従業員側もさまざまなメリットを享受できます。しかし、新たな体制を整備することになるため、企業は労働者全員によく新体制について周知するとともに、対象労働者をフォローアップすることが大切です。
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