2024年10月1日から全国の都道府県で最低賃金の引き上げがはじまっています。全国平均51円の引き上げ額は過去最高額であり、対応に必要な人件費が増加しています。

事業場内の最低賃金引き上げを実施する際に活用したい制度に業務改善助成金があります。事業場内最低賃金の引き上げかつ生産性向上の取り組みを行った企業に対し、負担した費用の一部が助成される制度です。しかし、「業務改善助成金の支給要件に該当するかわからない」「どの書類が申請に必要かわからない」という場合も多いでしょう。

そこで、この記事では業務改善助成金の支給要件や申請書類が一目でわかるチェックリストを作成しました。業務改善助成金の申請を検討している企業は、ぜひ参考にしてください。

助成金の無料診断をする

業務改善助成金とは

業務改善助成金とは、「生産性向上につながる取り組み(設備投資や経営コンサルティングの依頼など)」と「事業場内最低賃金を30円以上の引き上げ」の2つを実施した中小企業や小規模事業者を支援する制度です。

2024年10月1日から過去最高額となる全国平均51円の賃上げがはじまったことで、企業は人件費増加への対応が必要です。そこで、資金調達方法の一つとして業務改善助成金が注目を集めています。

業務改善助成金の助成金額の上限は、「賃上げを行う金額」「引き上げる労働者の人数」「事業場の規模」で異なります。例えば、30人未満の事業場規模で1人の労働者の賃金を30円引き上げる場合には、最大で60万円が助成されます。

業務改善助成金の概要や助成金額などは、以下の記事で解説しています。
関連記事:【2023年最新】業務改善助成金とは?概要や目的、助成額を徹底解説

助成金申請を完全サポート 助成金申請を完全サポート

【支給要件】業務改善助成金チェックリスト

「どのような取り組みをしたら、業務改善助成金を受給できるか」という支給要件がわかりやすいように、チェックリストを作成しました。
自社が業務改善助成金の支給要件を満たしているかどうかを確認する際に、ご活用ください。

助成対象となる場合

助成対象となるために満たす必要がある支給要件についてまとめました。

1 中小企業・小規模事業者であること
2 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること
3 労働者の解雇や賃金引き下げ、労働時間の短縮・労働日の減少などの不交付事由に該当しないこと
4 就業規則などに、労働者の下限の賃金額を引き上げ後の賃金額へと改定していること
5 雇用後3か月を経過した事業場内最低賃金の労働者に対して、各コースに応じた金額(最低30円以上)を引き上げていること
6 交付決定後に、生産性向上にかかる設備投資などの取り組みを行い、費用を支出していること

この他に、生産性要件を満たすと助成率が割増しされます。こちらの要件については、生産性要件算定シートで計算する必要があるため、プロの助成金コンサルタントに依頼することがおすすめです。

プロの助成金コンサルタントに相談する

また、助成上限額・助成対象経費の拡大が受けられる特例事業者として申請するには、以下のいずれかの要件を追加で満たすことが必要です。

1 【賃金要件】
事業場内最低賃金が950円未満であること
助成上限額の拡大(助成上限額の区分10人以上)が受けられる
2 【物価高騰等要件】
原材料の高騰などの外的要因により申請前3か月間のうち、任意の1か月の売上高総利益率もしくは売上高営業利益率が前年同期と比べて3%以上低下していること
助成上限額(助成上限額の区分10人以上)と助成対象経費の拡大が受けられる

支給要件を満たすことが、業務改善助成金を受給する条件です。漏れがないように取り組みましょう。

助成対象とならない場合

不交付要件のいずれかに該当すると、助成金を受給できません。主な不交付要件をまとめましたので、取り組み前に確認してください。

1
  • 労働者を解雇した場合
  • 労働者の時間当たりの賃金を引き下げた場合
  • 所定労働時間を短縮または所定労働日を減少させた場合
  • 同一の助成対象経費や賃上げ引き上げを対象に、別の補助金・助成を受けている場合

※交付申請書を提出した前日の3か月前から、実績報告手続きを行った日の前日または賃金額を引き上げてから6か月を経過した日のいずれか遅い日までの期間

2 過去に業務改善助成金を受給した事業場で、以前に定めた事業場内最低賃金よりも、労働者の賃金額が下回る場合
3 労働関係法令に違反していることが明らかになった場合(司法処分など)

※交付申請の提出日前日から1年前の日から、実績報告手続きを行った日の前日または賃金額を引き上げてから6か月を経過した日のいずれか遅い日までの期間

4 事業場の所在地の所轄労働局長から法律第17条に規定する補助金などの決定取り消しやこれに準ずる処分を受けている場合

※交付申請書または事業実績報告書の提出日から起算して過去3年以内の期間

5 法人の場合、役員や業務の統括者やそれに準じるもののうち、以下のいずれかに該当するものがいる場合

  • 暴力団員
  • 暴力団員が経営に実質的に関与している
  • 上記に該当する事業場と知りながら、不当に利用するなどしている
6 事業主や役員などが、破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行ったまたは行うおそれがある団体に所属している場合
7 労働保険の保険料の徴収金を滞納している場合

※交付申請書の提出日の属する年度の前年度より前のいずれかの年または保険年度

8 交付申請手続きまたは実績報告手続きの時点で、倒産している場合
9 不正受給が発覚した場合に、所轄労働局長などが実施する事業主の公表に同意していない場合

自社が上記のいずれかに該当するか不安な場合には、不交付要件の詳細についてプロの助成金コンサルタントに確認することがおすすめです。

プロの助成金コンサルタントに相談する

Check!

「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!

助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説

【申請書類】業務改善助成金チェックリスト

ここでは、業務改善助成金の申請手続きの際に必要な書類に関するチェックリストを紹介します。提出時に抜けや漏れがないように、余裕をもって準備しましょう。

交付申請時

交付申請時に用意が必要な書類をまとめました。

1 (様式第1号)交付申請書
2 (様式第1号 別紙1)国庫補助金所要額調書
3 (様式第1号 別紙1・2)事業実施計画書
4 助成対象経費の見積書の写し
5 【生産性要件に該当する場合】

  • 生産性要件算定シート
  • 当該シートの証拠書類(損益計算書、総勘定元帳など)
6 【特例事業者(物価高騰等要件)に該当する場合】

  • 物価高騰等要件にかかる事業活動の状況に関する申出書(要領別紙3(別添2-1または別添2-2)
  • 申出書のA欄からC欄を証する書類(月次損益計算書、試算表など)
7 申請前3か月の賃金台帳の写し
(申請前の時間給または時間換算額が、引き上げ後の事業場内最低賃金に満たない労働者のもの)

計画変更時

計画変更時に用意が必要な書類をまとめました。

1 【事業計画を変更する場合】
(様式第3号)事業計画変更申請書
2 【事業計画を中止する場合】
(様式第5号)事業廃止承認申請書
3 【事業完了に遅れが見込まれる場合】
(様式第7号)事業完了予定期日変更報告書

支給申請時

取り組み実施後、支給申請時に用意が必要な書類をまとめました。

1 (様式第9号)事業実績報告書
2 (様式第9号 別紙1)国庫補助金清算書
3 (様式第9号 別紙2)事業実施結果報告
4 (様式第10号)支給申請書

主要な必要書類に関しては、以下の記事で記入方法を解説しています。ぜひ参考にしてください。
関連記事:【記入例あり】業務改善助成金の申請書類一覧!注意点もまとめて解説

助成金申請を完全サポート 助成金申請を完全サポート

まとめ

この記事では、業務改善助成金の概要や支給要件、申請書類に関するチェックリストを紹介しました。

業務改善助成金は、申請手順や必要書類が定められています。抜け漏れがあると助成金を受給できない可能性があるため、必ず事前に確認しましょう。

業務改善助成金の受給を検討している企業の方は、プロのコンサルタントに依頼すると確実な受給につながります。まず以下から無料相談を試してみてはいかがでしょうか

【無料】助成金コンサルタントに相談する

助成金申請を完全サポート 助成金申請を完全サポート
弊社担当のご紹介
黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。