高年齢者雇用に関する助成金とは?

採用でなかなか人が集まらない――。少子高齢化による人手不足が叫ばれる中、高齢者を雇う必要性が年々高まっています。しかし、会社が求めるパフォーマンスを発揮してもらえるのかどうか、といった不安も付きまといます。
老齢年金の受給開始年齢がどんどん引き上げられる中、高年齢者にとって定年後の再就職は死活問題になっていますが、簡単に就職できるほど企業が門戸を開いている状況でもありません。
そこで政府では、60歳以上の高年齢者の雇用を促進するための施策として、数々の助成金を用意しています。
高年齢者の雇用を検討する上で、これを活用しない手はありません。

ここでは平成30年度の高年齢者雇用に関する助成金について、一通りの概要をご紹介いたします。

 

高齢者を新たに雇い入れる場合

1.特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)~高年齢者を雇い入れる~

60歳以上の高年齢者をハローワーク等の紹介により雇用保険の一般被保険者として雇い入れ、65歳以上に達するまで、2年以上継続して雇用する会社に対して助成されます。

ハローワークより高齢者を雇用する場合は、ハローワークから直接案内があり、申請書類が送られてきますが、民間職業紹介事業所からの雇い入れの場合、厚生労働大臣の所定の許可を受けている必要があります。ただし、雇い入れ後、民間職業紹介事業所からもハローワークに所定の手続きをしてもらわないと手続きが進まないケースもありますので、注意が必要です。

対象労働者 支給額 助成対象期間
短時間労働者以外の者 60歳以上65歳未満 60万円
(50万円)
1年
(1年)
短時間労働者(※2) 60歳以上65歳未満 40万円
(30万円)
1年
(1年)

注;( )内は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間です。以下同様です。
※2 「短時間労働者」とは、一週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満である者をいいます。以下同様です。

2.特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)~65歳以上の高年齢者を雇い入れる~

雇入れ日の満年齢が65歳以上の離職者をハローワーク等の紹介により、一年以上継続して雇用することが確実な労働者(雇用保険の高年齢被保険者)として雇い入れる会社に対して助成されます。申請の仕組みや手順は、「1.特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」とよく似ています。

対象労働者 支給額 助成対象期間
短時間労働者以外の者 65歳以上 70万円
(60万円)
1年
(1年)
短時間労働者 65歳以上 50万円
(40万円)
1年
(1年)

 

Check!

「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!

助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説

新たに起業し、雇い入れる場合

3.生涯現役起業支援助成金~中高年齢者の方が自ら起業し、中高年齢者等を雇い入れる~

こちらは40歳以上の方からが対象になりますが、中高年齢者(40歳以上)の方が、起業し、従業員(中高年齢者等)の雇入れを行う際に要した経費(例:民間有料職業紹介事業の利用料・労働者の教育訓練、資格取得、講習に要する費用など)の一部を助成します。雇用を創出するための費用を支援するという趣旨のものです。
起業のスタートアップは何かとお金がかかりますが、それを支援してくれる助成金となります。
なお、起業日から11か月以内に計画書を提出しておくことが必要です。

起業時の年齢区分 助成率 助成額の上限
起業者が60歳以上 2/3 200万円
起業者が40歳~59歳 1/2 150万円

※生産性が向上した場合、上記支給額の1/4の額が別途支給されます。

高年齢者の雇用環境を整備する場合

4.65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)~65歳以上への定年引上げ等を実施する~

実際に高齢者を雇用している会社で、定年年齢の引き上げなど高年齢者を長く雇用し続けられるように就業規則を改定した場合に助成されます。

【主な要件】
就業規則などに、次の[1]~[3]のいずれかに該当する制度を導入し、実施することが必要です。
[1] 65歳以上への定年引上げ
[2] 定年の定めの廃止
[3] 希望者全員を66歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度の導入

就業規則に規定を入れる際に、社労士などの改定費用としての経費がかかっている必要があります。
また、支給申請日までに1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いることなどが要件になっています。1事業主1回限りの支給です。

助成額は、60歳以上被保険者の人数や引き上げる年齢等に応じて10万円~160万円となっています。

【助成額】

(定年の引き上げ・定年の廃止)

措置内容 65歳まで定年引上げ 66歳以上に定年引上げ 定年の定めの廃止
60歳以上被保険者数 (5歳未満) (5歳) (5歳未満) (5歳以上)
1~2人 10万円 15万円 15万円 20万円 20万円
3~9人 25万円 100万円 30万円 120万円 120万円
10人以上 30万円 150万円 35万円 160万円 160万円

※( )は引上げ幅

(66歳以上の継続雇用制度の導入)

措置内容 66~69歳まで 70歳以上
60歳以上被保険者数 (5歳未満) (5歳) (5歳未満) (5歳以上)
1~2人 5万円 10万円 10万円 15万円
3~9人 15万円 60万円 20万円 80万円
10人以上 20万円 80万円 25万円 160万円

※( )は引上げ幅

5.65歳超雇用推進助成金(高年齢者雇用環境整備支援コース)~高年齢者の雇用環境整備の措置を実施する~

高年齢者向けの機械設備、作業方法、作業環境の導入・改善や、 高年齢者の職務に応じた賃金・能力評価制度、短時間勤務制度などの導入・改善、法定外の健康管理制度の導入などを行った場合、かかった経費の一部が助成されます。(上限1000万円)

6.65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)~高年齢の有期契約労働者を無期雇用に転換する~

50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換した場合に助成されます。

中小企業 中小企業以外
48万円 <60万円> 38万円 <48万円>

※<  >内は生産性要件を満たした場合

確実な申請を行うためには…

高年齢者の雇用に関する助成金についてご紹介いたしました。

「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」や「特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)」などはハローワークより案内をしてもらえますが、提出する出勤簿、賃金台帳、雇用契約書等についてはそれぞれの整合性など法律に沿った審査が入ります。
法令に沿っていなければ、最悪不支給になるケースもあります。

また、65歳超雇用推進助成金は、審査を行うのが各都道府県労働局ではなく、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構という機関になっています。こちらは実際に申請を行った経験のある社労士によると、労働局に提出する助成金申請書よりも数段チェックが厳しい傾向にあるようです。
確実な申請のためには労働基準法を始めとした労働法令をクリアする必要がありますので、専門家のサポートが必要不可欠なものになります。

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弊社担当のご紹介
黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。