キャリアアップ助成金は、アルバイトやパートなどの非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を助成する制度です。

キャリアアップ助成金を申請するには、キャリアアップ計画書を作成し、提出することが必要です。しかし、計画書が企業の実情と異なると、整合性が取れず受給できなくなる可能性があります。そのため、まずはキャリアアップ計画書について理解しましょう。

この記事では、キャリアアップ計画書の概要や目的、作成方法を解説。計画書の記入例も紹介しますので、参考にしてください。また、キャリアアップ助成金の基本的な情報が知りたいという方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:キャリアアップ助成金とは?コースや申請方法を解説!

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キャリアアップ計画書とは

キャリアアップ計画書とは、企業がどのようなプランで非正規労働者のキャリアアップを進めるのかについて示した計画書です。

キャリアアップ計画書を作成する目的は、キャリアアップを計画的に進行するためです。実際にキャリアアップを行う際は、計画書に則って実施する必要があるため、実行可能な計画を作成することが大切です。

入手場所

キャリアアップ計画書の申請様式は、各コースの申請書類とともに厚生労働省のホームページからダウンロードできます。
「様式第1号キャリアアップ計画書」のWordファイルとPDFファイルが用意されています。利用しやすい方を選択し、ダウンロードしましょう。

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キャリアアップ計画書の記入例

キャリアアップ計画書の申請様式には、8つの項目が記載されています。各項目について、自社の取り組み内容を記入しましょう。ここでは、令和6年4月1日以降に取り組みにかかる様式の記入項目と正社員化コースにおける記入例を解説します。

1枚目:表紙

表紙となる1枚目において、注意が必要な項目を解説します。

  • 宛名:事業所の所在地を管轄する労働局の都道府県を記入します。
  • 提出日:キャリアアップ計画書を提出する日付を記入します。
  • 使用者側代表者名:事業主かキャリアアップ管理者の氏名を記入します。
  • 労働組合等の労働者代表者名:労働者代表者として選任された従業員の氏名(役員などの経営者側・キャリアアップ管理者以外)を記入します。

2枚目:共通事項

2枚目の共通事項において、注意が必要な項目を解説します。

(事業所情報欄)
①事業主名:代表取締役等、代表者の氏名を記入します。
④事業所の担当者:キャリアアップ計画書について問い合わせた場合の事業所担当者名を記入します。
⑥労働保険番号:労働保険番号が複数ある場合は欄外に記入します。

(キャリアアップ管理者欄)
⑬キャリアアップ管理者情報

  • 氏名:自社のキャリアアップ計画を推進する役割の人物を記入します。複数の事務所および労働者代表との兼任はできません。

    ※キャリアアップ管理者は、1事業所あたり1名を配置する必要があります。
    特別な資格は不要ですが、キャリアアップにおける経験・知識を保有する人物が望ましいとされ、一般的には経営者やマネジメント層が任命されます。

  • 配置日:計画提出日より前の日付を記入します。

3枚目・4枚目:キャリアアップ計画

3枚目、4枚目のキャリアアップ計画書は、キャリアアップ計画の対象者や目標、目標を達成するために講ずる措置について記入します。全項目がチェックボックスで示されているため、該当するチェックボックスにすべてチェックをつけましょう。

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キャリアアップ計画書の提出期限・提出先

作成したキャリアアップ計画書は、いつまでに・どこに提出する必要があるのでしょうか。ここでは、キャリアアップ計画書の提出期限・提出先について解説します。

提出期限

提出期限は、キャリアアップ計画書に記載した施策を実行する日の前日までです。郵送での提出も可能ですが、到着日が予定より後ろ倒しとなる可能性も考慮する必要があります。

また、何らかの不備や見落としがあった場合には再提出となる可能性もあるため、できる限り余裕をもって提出しましょう。

提出先

提出先は、企業の所在地を管轄している労働局(都道府県によってハローワーク)です。
各労働局には、提出時に必要な添付書類のチェックリストが用意されています。スムーズに提出できるよう、利用することがおすすめです。

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キャリアアップ助成金(正社員化コース)の申請に必要な書類一式

キャリアアップ助成金(正社員化コース)の申請に必要な書類一式をまとめました。

申請書類一式

申請書類には、以下の5つがあります。

  • キャリアアップ助成金支給申請書
  • 正社員化コース内訳
  • 正社員化コース対象労働者詳細
  • 支給要件確認申立書
  • 支払い方法・受取人住所届(雇用関係助成金をはじめて利用する場合のみ)

添付書類一式

添付書類には、以下の書類があります。

【第1期:正社員化後6か月分の賃金支払い日翌日から2か月以内に必要な添付書類】

  • 管轄労働局長の認定を受けたキャリアアップ計画(写)
  • 正社員化前後の就業規則または労働協約等(写)
  • 対象労働者の正社員化前後の雇用契約書または労働条件通知書等(写)
  • 対象労働者の正社員化前後の賃金台帳等(写)及び賃金3%以上増額に係る計算書
    (賃金上昇要件確認ツール等)
  • 対象労働者の正社員化前後の出勤簿またはタイムカード等(写)

【第2期:第1期の次の6か月分の賃金支払い日翌日から2か月以内に必要な添付書類】

  • 対象労働者の第2期分の賃金台帳等(写)
  • 対象労働者の第2期分の支給対象期の出勤簿またはタイムカード等(写)
  • 就業規則または労働協約等(写)※第2期に賃金にかかる改定があった場合のみ

キャリアアップ助成金の要件を満たす就業規則については、以下の記事で詳しく解説しています。参考にしてください。
関連記事:【規定例あり】キャリアアップ助成金に対応した就業規則とは?必要事項を解説

キャリアアップ計画書以外にも、多くの提出書類があります。これらすべての書類がキャリアアップ助成金の要件を満たしているかどうかを自社で確認するのは時間や手間がかかるでしょう。そこで、多くの企業はプロのコンサルティング業者に依頼しています。助成金のコンサルティング業者については、以下の記事をご覧ください。
関連記事:助成金申請はコンサルに依頼すべき?サポート内容や費用相場、選び方を解説

キャリアアップ計画書作成の注意点

キャリアアップ計画書作成の注意点を解説します。

就業規則に定義されているか

キャリアアップ助成金に取り組む前に、就業規則に有期雇用労働者や正規雇用労働者の定義や待遇などが定義されているかどうかを見直すことが大切です。

正社員化コースの支給要件の一つには、「支給対象事業主に、賃金の額または計算方法が正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則等の適用を通算6か月以上受けて雇用される有期雇用労働者または無期雇用労働者」といった記載があります。

キャリアアップ助成金に合わせて就業規則を改訂した場合、改訂後の就業規則の適用を6か月以上受けることが必要です。こうした支給要件を満たすために、取り組み始める前には就業規則に定義されているかどうか確認しましょう。

実施内容と計画に相違がないか

取り組み前にキャリアアップ計画書を提出しますが、実際に取り組み始めた後に変更が必要になる場合があります。

その際には「キャリアアップ計画書(変更届)」を提出することが必要です。措置内容が計画と異なると、助成金を受給できなくなる可能性があるため、注意が必要です。

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まとめ

キャリアアップ計画書は、キャリアアップ助成金を申請する際に作成しなければならない書類です。

自社のキャリアアッププランを明確に示すもので、不正受給を防止する役割をもっています。そのため、適切な内容を記入できないと、受給できないおそれがあります。キャリアアップ助成金の利用を検討している企業は、確実な受給を目指すにはプロのコンサルに作成サポートを依頼することも一つの手です。

これからキャリアアップ助成金の申請を検討される場合には、まず以下の無料相談を受けてみてはいかがでしょうか。
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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。