近年、若い世代を中心に仕事に対する意識が変化しています。

少子化高齢化や失われた20年といわれる経済停滞により、日本の終身雇用神話が崩壊したといわれる昨今。新卒採用されてから定年退職まで、生涯1つの企業で働き続けるという時代は終わったといわれています。それでも、日本の転職率は欧米の半分以下といわれており、ある一定の年代以上になると、転職経験がまったくないという人も珍しくありません。

まだ終身雇用が当たり前だった時代、就職は結婚に良く例えられていました。人によって解釈が異なる部分があるものの、大枠でいえば「生涯連れ添うパートナー」という意味でしょう。

しかし、時代が変わり、結婚に対する意識も就職に対する意識も大きく変わりしました。では、現代の若者は就職に対して、自身のキャリアに対してどのように考えているのでしょうか。

スラッシュキャリアという働き方

ジャパンネット銀行が、ミレニアル世代(18~25歳)とその親たちに、働き方に関するアンケート調査を行いました。調査によると、ミレニアル世代の40%がさまざまな会社でキャリアを積みたいと考えており、同世代の60%が複数の仕事や活動を掛け持ちする『スラッシュキャリア』に興味を持っているとのこと。

一方、親世代(40~59歳)でこうした考えに賛同する人は少なく、働き方と会社に対する意識に、世代間のギャップが大きいことが伺えます。

スラッシュキャリアとは、複数の肩書きを持って仕事をしている、異なる職種を兼ね備えたワークスタイルです。SNSや名刺に一行で記載する際、複数の肩書き『スラッシュ(/)』で区切ることから、『スラッシュキャリア』と呼ばれています。2007年にアメリカのあるジャーナリストが著書の中で『スラッシュキャリア』という言葉を用いたことで広まり、それまで複数の肩書きを持つことをプラスのイメージに変えました。

スラッシュキャリアを実践している人を『スラッシャー』といい、複数の仕事を並行して行っている人もいれば、本業にプラスして副業やプロボノ(仕事のスキルを活かしたボランティア活動)をしている人もいます。多様性の高い新しい働き方ということで、スラッシャーという働き方に憧れるミレニアル世代が増加しています。

副業に対する意識の変化

これまで副業というと、生活費の不足を補うためのアルバイトといったイメージが強く、「副業をしている」とは中々いい辛かったのが実情です。しかし近年、いわゆるミレニアル世代を中心に副業に対するイメージが大きく変化しています。

上記で紹介した調査によると、ミレニアル世代の7割が副業を「あり」と答えていました。また、その理由として、収入以外にも「趣味や好きなことを仕事にしやすい」「経験スキルのため」といった回答もあり、ミレニアル世代にとって副業とは収入を得る手段であるとともに、スキルアップの手段、生活を充実させるための手段であることが伺えます。

こうした中、働き方改革実行計画の中で、「労働者の健康確保に留意しつつ、 原則副業・兼業を認める方向で、副業・兼業を普及促進」という方針が打ち出されました。

簡単にいえば、副業を推進する制度です。

これまでは、法律的には禁止ではなかったのですが、一般的に副業を禁止している企業がほとんどでした。それが今回、全面的に副業を解禁したのには、そのメリットに注目したからでしょう。副業によるメリットは、個人であればスキルアップにつながる、企業であれば残業代の削減や社外の知識やノウハウの吸収などが挙げられます。

しかし、メリットがあればデメリットもあるもので、労働時間の延長や人材の流出などの問題が懸念されています。

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働き方の多様化

正社員で働くことが当たり前だった時代とは違い、現在は正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイトと雇用形態が多様化しています。また、会社に勤めるのではなく、フリーランス(業務委託)として仕事を受注して働く人も増えています。

雇用形態以外にも、フレックスタイムの導入やクラウドを活用したリモートワークへの対応など、多様化するさまざまな勤務形態を導入する企業も少しずつ増加しているようです。

世代によって仕事への意識は異なります。特に現在は働き方改革の推進や技術の発展などもあり、過渡期といえるでしょう。

若い世代は経験が浅いものの固定観念に縛られていないため、変化への対応は優れているものです。そして、優秀な人材ほど、働き方の多様化に対応している傾向にあります。

労働力人口の激減する時代を迎え、人材の確保は喫緊の課題です。個人だけでなく、企業もこの時代の変化に対応していく必要があるでしょう。

優秀な人材であればあるほど、時間はお金よりも貴重であることを理解しています。企業としても優秀な人材を確保するために雇用の形態を変えていく必要があります。

例えば、欧米諸国では2時間だけ労働をするといったような働き方も出てきています。もちろん、労働者としてはその分給与は低くなりますが、自らの生活スタイルに合った働き方ができるため、これによって人材の流出を防ぐことができています。

日本でも8時間という枠にとらわれない雇用形態が求められるようになってくることが想定されます。いち早く労働に対する考え方を見直していく必要があるのではないでしょうか?

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。