「DODA(デューダ)」が行った、ビジネスパーソン約16万人の転職年齢の調査によると、若手の転職者が増加傾向にあるという結果が出ました。
2018年上半期の転職成功者の平均年齢は31.6歳で、2017年下半期の32.1歳からマイナス0.5歳という結果に。平均年齢は、男性が32.4歳でマイナス0.3歳、女性は29.7歳で前回と同様の結果でした。年齢の内訳は、「25~29歳」が39.6%と最も高く、「30~34歳」23.3%、「40歳以上」14.0%と続きます。また、「24歳以下」と「25~29歳」がそれぞれ0.8、1.5ずつポイントを上げており、若手の転職が増えていることが分かります。
もちろん、景気の良し悪しや転職市場の動向、タイミングなど、さまざまな要因はあるでしょう。では、現実に若手の転職者が増えている背景には、一体何があるのでしょうか。
若手の転職者が増えている理由
若手の転職が増えた大きな理由の一つが、就職に対する意識の変化です。
終身雇用が当たり前だった時代は、一度就職した会社には定年まで勤めるのが一般的でした。それが、相次ぐリストラにより終身雇用制度の崩壊といわれるようになり、終身雇用が当たり前だった時代を知らない若手は、一つの会社で働き続けるという意識が薄いのでしょう。
内閣府が行った「世界青年意識調査」の結果によると、「職場に不満があれば転職するほうがよい」と考える人の割合が、日本は諸外国に比べて圧倒的に低いという結果に。こうした結果から考えると、世界的に見て「これまで転職する若者が少なかった」から、諸外国と同じような考え方に変わっただけと見ることができます。
「ほかにやりたい仕事がある」「給与に不満がある」「会社の評価方法に不満がある」といった面接での回答から、よりよい条件を求めて転職を考える若手が増えていることが伺えます。一方、キャリアアップなど仕事のやりがいを求めて転職を考えるケースも少なくありません。
転職者の増加は、少子高齢化に伴う労働力人口の減少による、売り手市場も追い風になっているのでしょう。
DODAが20~59歳のビジネスパーソン3,000人を対象に行った調査によると、「転職に年齢は問わないと思う」と回答した人は過半数を超える58.6%。これまで、転職は35歳が限界といわれていたものの、現在は年齢よりも仕事の成果やノウハウの方が必要と考えている人が多いことが分かります。
若手が辞めていく会社の特徴
ハラスメントが蔓延していたり極端に待遇が悪かったり、そもそも労働法規が守られていない企業は論外ですが、改めて若者が転職を考える理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
以下では一部の意見ではありますが、いくつかの転職の理由についてご紹介していきたいと思います。
教育ができない
このタイプには、社員の平均年齢が高い、いわゆる昭和気質を残す「見て覚えろ」スタイルの会社が多く見られます。社員教育の優先順位が低いため時間かけない傾向にあり、具体的な説明もなくとりあえず仕事をやらせようとします。
質より量
これもいわゆる昭和気質な考え方です。成果よりも労働時間で評価し、業務改善を「楽をしようとしている」と受け入れないなど、質を考慮しないタイプです。働き方改革の対極にある考え方といえるでしょう。
褒めずに叱る
「褒めると調子に乗る」「お前のために叱っている」と考えているタイプです。仕事は辛いもの、我慢するのが当たり前というスタンスで、長所よりも短所を見ています。
筋を通さない
言うことがコロコロ変わったり矛盾したことを平気で口にしたり、約束を守らなかったりと、社員との信頼関係が築けないタイプです。部下を対等な人間とは見ておらず、上下関係で物事を判断しています。
社風には、社長をはじめとした経営陣の考え方が現れることが多いので、注意が必要です。会社が「社員を働かせてやっている」という上から見た考えでは、いずれ従業員に見限られてしまうでしょう。
会社は従業員に対して「働いてもらっている」従業員は会社に対して「働かせてもらっている」と、会社と従業員が互いを尊重することで良好な関係が築けるのではないでしょうか。
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会社が社員を選ぶように、社員も会社を選びます。
転職者が増えれば、従業員に長くてもらうため企業は健全な経営を目指すようになり、いわゆるブラック企業は減っていくと思われます。そう考えると、転職者が増えることは、マクロ視点で見ると決して悪いことではありません。
これから先、転職という選択肢が今以上に当たり前となれば、自分が求める働き方やキャリアを実現するために行動する人が増えていくでしょう。一方企業は、転職を考えている社員に「長く働きたい」と思わせるように、また優秀な人材から選ばれるような環境作りが求められるでしょう。
若手の転職者が増加している現在、個人も企業も、改めて働き方について考えることが必要です。