介護現場は昔から離職率が高いといわれています。特に女性の介護職からの離職率は高く、結婚、出産、育児、家族の介護を理由に仕事を辞めてしまう人が多いです。では、介護現場で働く女性が育児や自分の介護で離職するケースを阻止するために、施設側はどのような対策を行っているのでしょうか?ここでは介護現場における女性社員の離職率を低下させる対策についてまとめてみましょう。
介護業界は女性社員の離職率が高い?その原因は?
日本の介護離職者は年間で約10万人もいるといわれており、他の業界と比べても離職率が非常に高いです。特に女性の離職率が高く、2017年のデータにおいては男性が24.2%なのに対して、女性は75.8%と、男女間で3倍以上の差があります。
女性社員の介護職の離職理由は、結婚・出産・育児、家族の介護が31.7%と非常に高いです。育児や介護をしながら、介護現場で働くのは難しいと考えてしまうため、多くの女性は介護職を離職してしまいます。
介護職は男性よりも女性の方が多く、女性においては結婚による離職は25~29歳で最も高いです。出産・育児による離職は30~34歳、家族の介護による離職は35~49歳が最も多いという結果になっています。
介護を理由に離職する人は、夫婦間で考えた時に、給料が少ない場合が多い女性の方が、仕事を辞めて介護に専念するという家庭が多いです。業務内容的にも介護職は肉体的負担が大きく、不規則なシフト勤務の労働環境のため、女性の離職傾向が高くなってしまいます。
女性の離職率を低下させる対策とは?
女性の離職率を低下させるためには、結婚・出産・育児・家族の介護を理由に辞めなくてもよい労働環境を整えてあげることが大切です。仕事と家庭を両立できると社員が感じることができれば、自然と離職する人は減るでしょう。育児や家族の介護をしている場合、時間に追われてしまうため、勤務体系を柔軟に変え、時短勤務にするなど考慮するとよいでしょう。
また、介護職の離職を防止する対策として「職員の満足度を高める」ことも重要です。介護と聞くと、「きつい・汚い・給料が安い」の3Kというイメージが強いでしょう。しかしそのイメージを払拭して、介護という仕事は素晴らしいと感じられれば離職者は減ります。介護施設側としては、介護という仕事への意欲を向上させる必要がありますし、工夫しなければなりません。
まず、職員の教育を徹底し、職員評価をしっかりと行います。仕事に対してきちんと上司から評価されれば、仕事への意欲にもつながり、離職率防止できるでしょう。また、情報共有がスムーズに行える働きやすい職場にしていくことも離職率低下につながりますね。
さらに、業務効率化も大切です。女性社員が離職してしまう理由が「家庭と両立できないから」ですので、仕事をできるだけ効率的にする必要があります。利用者の介護ケアだけではなく、介護職には計画書や報告書の作成など事務作業もあり、この作業に忙殺される介護職員が多いです。情報共有をしっかりと行い、業務効率化につながるマニュアルを徹底させるとよいでしょう。
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助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説人材確保のための助成金とは?
介護職の人手不足を解消するために、国はいくつもの改革を進めており、助成金の支給を行っているのです。2009年にスタートした介護職の給与を引き上げる制度「介護職員処遇改善交付金」は、2012年の介護報酬改定に伴い「介護職員処遇改善加算」に組み込まれ、処遇改善し、人材確保を目指します。「中小企業労働環境向上助成金」は、介護職員が働きやすい環境にするための助成金であり、移動用リフトや車いす体重計などの購入が可能です。
その他、介護を理由に介護職を離れる場合は「介護離職防止支援助成金」という制度もあります。この制度は従業員の仕事と介護の両立について取り組みを行った事業主に支給される助成金です。実際に介護に直面した職員が発生した時に、会社全体で支援を行い、その職員が介護休業を取得して復帰した、時差出勤などの介護制度を利用した場合に事業主に助成金が支払われます。
このようないくつもの助成金制度によって、介護職にかかる身体的負担は軽減され、離職しないで仕事を続けられる働きやすい職場になるでしょう。
まとめ
女性スタッフが多く働く介護現場では、その離職率の高さが問題です。常に人手不足の施設が多いなか、離職によって現場にいる残った職員の負担がさらに大きくなります。これが離職率を高める悪循環となるのです。高齢化社会を迎えた今、国や介護施設は女性が育児や介護をしながらも働けるような制度を作っていくべきですし、働きやすい環境を整えることが早急な課題といえるでしょう。