2019年から施行される働き方改革は主に労働者のためにあるものですが、事業者にとってもメリットがあるものでもあります。――では、具体的に働き方改革に取り組むことでどのようなメリットがあるのでしょうか。以下では事業者が享受できるメリットについてご紹介していきたいと思います。

1. 社員のモチベーションアップ

企業が積極的に働き方改革に取り組むことで、労働者のモチベーションがアップします。

例えばですが、時間外労働をしても残業代が出ない職場というのは労働者の不満がたまります。しかし、時間外労働に対してしっかり残業代を支払っているからといって労働者は満足するわけではありません。これは、法律で決められていることであり、企業が守って当たり前のことだからです。皆さんも赤信号を守っている人を「偉い!」とは思わないですよね?

一方で当たり前でないことに取り組むことは、労働者のモチベーションアップに繋がります。労働者も人間ですから、「好意の返報性」という心理が働きます。相手から何かしてもらったら、それに対して何かお返しをしなければならないという心理です。具体的な制度でいうと、男性社員の育児休業制度や産後休業制度などは「当たり前でない取り組み」に当てはまります。

経営者はこういった「遵守して当たり前の制度」と「独自でユニークな制度」をバランスよく使って、労働者のモチベーションを保つ必要があります。――そうすることで、会社全体の生産性が向上し、ひいては売上の増加にも繋がっていくのです。

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2. 優秀な人材の確保と定着

働き方改革が施行されると、「同一労働同一賃金」という制度が始まることになります。この制度は、「同じ労働内容であれば、正社員と非正規労働者との間に賃金の格差があってはならない」というものです。――つまり、日本の労働市場は実力主義に切り替わってきているのです。

実力主義に切り替わると何が起こるのかというと、これまでの中途半端な終身雇用制度とは異なり、市場が流動的になると考えることができます。自分の腕を高く買ってくれる企業で働き、今よりも良い労働環境があるなら簡単に職場を変えていきます。特に特定のスキルを持っていて優秀な人材は次から次へと職場を変えていくことになるでしょう。

さて、労働市場が流動的になり始めると、企業は優秀な人材を確保するためにより働きやすい職場を提供していかなければなりません。そうしなくては、職場に定着してもらえなくなるので、近年話題になっている「人手不足倒産」に陥ってしまう可能性も考えられます。

つまり、労働者に対して、「この職場で働いている理由」というものを与えなければならないのです。「賃金が高い」「休暇が取りやすい」「柔軟な働き方ができる」などといった理由がなければ優秀な人材ほど転職を考えるでしょう。

現時点ではまだまだ働き方改革に取り組む企業は少ないです。早い段階から取り組んでおくことで優秀な人材の確保や職場への定着を促進することが可能です。

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3. 賃金の削減

今回の働き方改革では「長時間労働の是正」ということが大きなテーマとしてあります。日本の労働環境における長時間労働は長年問題になっており、労働局に申告されている分だけで世界トップクラスの労働時間の長さとなっています。

にもかかわらず労働生産性は50年近く先進国最下位を記録しており、こういった理由から長時間労働は経済成長を妨げる要因であると考えられてきました。「どうせ残業するのだから」とダラダラと仕事をする習慣がついていたり、「上司よりも早く帰ることができない」という無駄な理由で何時間も残業したりする労働者が多いためです。

こういった「ダラダラ仕事をする」という習慣を是正することは、人件費の削減にも繋がります。――もちろん、時間内に労働を終わらせてもらうために生産性を高める仕組みをつくる必要はありますが、それなりの経費を支払ってでも生産性向上や残業時間の削減に取り組む価値はあるのではないでしょうか。

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働き方改革に取り組むなら助成金を活用しよう

2019年から随時実施されていく働き方改革ですが、事業主が労働環境の改善や整備を行うことで厚生労働省から給付金が支給されることをご存知でしたか? 例えば、「パートやアルバイトの賃金規定を正社員と共通化する」「育児休業、介護休業制度を導入する」などの取り組みを行うことで、返済不要の資金「助成金」を受給することができるのです。

働き方改革に取り組もうという意思があるなら、ぜひ助成金を活用してみましょう!

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弊社担当のご紹介
佐藤亜樹
佐藤亜樹(助成金コンサルタント)
入社7年目。採用コンサルティングを担当後、中小企業の助成金申請のサポートに従事する。2018年からは助成金を活用した働き方改革関連法に対応するノウハウを提供するセミナーを開催するなど、精力的に活動中。