中小企業の設備投資や業務革新を支援する「ものづくり補助金」の受給を検討している企業は、まず「自社の場合、どれくらいの補助金を受給できるのか」を明確にしておきたいところでしょう。
しかし、ものづくり補助金は枠の種類や企業規模、取り組み内容によって補助率や補助上限が異なります。そのため、制度を正しく理解することが重要です。

そこで、この記事では、ものづくり補助金の補助率・補助上限額について、わかりやすく解説します。

ものづくり補助金はいくらもらえる?

そもそもものづくり補助金とは、「革新的な新製品・サービスの開発、生産プロセスの改善、海外需要開拓などの取り組みに必要な設備投資などを支援する制度」です。

ものづくり補助金は、取り組み内容によって2つのコースに区分されており、補助率・補助上限額はそれぞれのコースによって異なります。

  • 製品・サービス高付加価値化枠
  • グローバル枠

また、補助率や補助上限額の引上げに関する特例措置も別途定められており、「ものづくり補助金はいくらもらえる?」という問いには、一概に答えることはできません。

ここからは、補助金額を左右する「コースごとの補助率・補助上限額」「特例措置を実施した場合の補助率・補助上限額」について解説します。

関連記事:【2025年最新】ものづくり補助金とは?各コースを徹底解説

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ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠)の補助率・補助上限額

ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠)とは、「革新的な新製品・サービスの開発に必要な設備・システム投資などを支援するコース」です。

ここでは、ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠)の補助率・補助上限額を解説します。

補助率・補助上限額

ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠)の補助率・補助上限額をまとめました。

補助率
  • 中小企業:1/2
  • 小規模企業・小規模事業者、再生事業者:2/3
補助上限額
(補助下限額:100万円)
従業員数により、以下のように異なる

  • 5人以下:750万円
  • 6~20人:1,000万円
  • 21~50人:1,500万円
  • 51人以上:2,500万円

対象経費

ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠)の補助対象となる経費について、以下にまとめました。

経費の種類 概要
機械装置・システム構築費(必須) 機械装置や工具・器具、専用ソフトウェア・情報システムの経費など
※単価50万円(税抜)以上であること
運搬費 運搬料や宅配・郵送料などの経費
技術導入費 本事業の実施に必要な知的財産権などの導入にかかる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/3
知的財産権等関連経費 新製品・新サービスの事業化にあたって必要となる知的財産権の取得にかかる弁理士の手続き代行費用など
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/3
外注費 新製品・サービスの開発に必要な加工や設計などの一部を外注にかかる費用
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/3
専門家経費 本事業の実施のために依頼した専門家に支払われる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/2
クラウドサービス利用費 クラウドサービスの利用にかかる経費
原材料費 試作品の開発に必要な原材料や副資材の購入にかかる経費

参考:ものづくり補助金総合サイト|公募要領

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ものづくり補助金( グローバル枠)の補助率・補助上限額

ものづくり補助金(グローバル枠)とは、「海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム投資などを支援するコース」です。

ここでは、ものづくり補助金( グローバル枠)の補助率・補助上限額を解説します。

補助率・補助上限額

ものづくり補助金(グローバル枠)の補助率・補助上限額をまとめました。

補助率
  • 中小企業:1/2
  • 小規模企業・小規模事業者、再生事業者:2/3
補助上限額
(補助下限額:100万円)
3,000万円

対象経費

ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠)の補助対象となる経費について、以下にまとめました。

経費の種類 概要
機械装置・システム構築費(必須) 機械装置や工具・器具、専用ソフトウェア・情報システムの経費など
※単価50万円(税抜)以上であること
運搬費 運搬料や宅配・郵送料などの経費
技術導入費 本事業の実施に必要な知的財産権などの導入にかかる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/3
知的財産権等関連経費 新製品・新サービスの事業化にあたって必要となる知的財産権の取得にかかる弁理士の手続き代行費用など
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/3
外注費 新製品・サービスの開発に必要な加工や設計などの一部を外注にかかる費用
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/3
専門家経費 本事業の実施のために依頼した専門家に支払われる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/2
クラウドサービス利用費 クラウドサービスの利用にかかる経費
原材料費 試作品の開発に必要な原材料や副資材の購入にかかる経費
海外旅費
(海外市場開拓・輸出に関する事業のみ)
本事業に必要不可欠な海外渡航や宿泊などにかかる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/5
通訳・翻訳費
(海外市場開拓・輸出に関する事業のみ)
事業遂行に必要な通訳・翻訳を依頼する際にかかる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/5
広告宣伝・販売促進費
(海外市場開拓・輸出に関する事業のみ)
本事業で開発する新製品・新サービスの海外展開に必要な広告の作成や媒体掲載・展示会出展などにかかる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/5

参考:ものづくり補助金総合サイト|公募要領

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ものづくり補助金の上限額を引き上げる「特例措置」とは

ここでは、ものづくり補助金の上限額を引き上げる2つの特例措置について解説します。

大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例

大幅な賃金に係る補助上限額引上げの特例とは、「従業員の大幅な賃上げに取り組む事業者を対象に、補助上限額を引き上げる特例」です。

補助上限引き上げ額は、従業員数に応じて以下のように補助上限額が引き上げられます。

従業員数 各コースの補助上限額から引き上げられる金額
5人以下 最大100万円
6~20人 最大250万円
21人~50人 最大1,000万円
51人以上 最大1,000万円

本特例の適用を申請するには、以下の基本要件を満たす必要があります。

  • 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、給与支給総額の年平均成長率を6.0%以上増加させる目標値を設定し、交付申請時までに従業員等に対して表明したうえで、事業計画期間最終年度において目標値を達成すること
  • 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、事業所内最低賃金を、毎年、事業実施都道府県における最低賃金より50円以上増加させる目標値を設定し、交付申請時までに従業員などに対して表明したうえで、毎年、特例事業所内最低賃金目標値を達成すること

ただし、いずれか一方でも目標値が達成できなかった場合や設定した目標値を従業員に表明していなかった場合、補助金の返還につながる可能性があります。

また、以下の場合には特例措置は適用不可となるため、注意が必要です。

  • 各申請枠の補助上限額に達していない場合
  • 常時使用する従業員がいない場合
  • 再生事業者
  • 最低賃金引き上げにかかる補助率引き上げの特例事業者

最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例

最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例とは、「所定の賃金水準の事業者が最低賃金の引き上げに取り組む場合、補助率を引き上げる特例」です。

最低賃金の補助率が、2/3へと引き上げられます。

本特例の適用を申請するには、以下の基本要件を満たす必要があります。

  • 2023年10月~2024年9月までの間で、3か月以上、補助事業実施場所で雇用している全従業員のうち、事業実施都道府県における最低賃金+50円以内で雇用している従業員が30%以上いること

ただし、以下の場合には、この特例措置は適用不可となるため、注意が必要です。

  • 常時使用する従業員がいない場合
  • 小規模企業・小規模事業者
  • 再生事業者
  • 大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例を申請する事業者

また、この特例措置を適用する場合、基本要件のうち「事業所内最低賃金水準要件」が除外されます。

参考:ものづくり補助金総合サイト|公募要領

まとめ

この記事では、ものづくり補助金の補助率・補助上限額や対象経費、特例措置を解説しました。

ものづくり補助金の補助率・補助上限額は、自社の企業規模や実施するコース、特例措置の適用などの要素によって大きく異なります。自社で取り組みたい内容と補助額を確認したうえで、申請しましょう。

また、ものづくり補助金の受給を検討している事業主の方は、プロのコンサルタントへの依頼がおすすめです。採択される確率を高められるため、まず以下から無料相談を試してみてはいかがでしょうか。
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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。