冬季の積雪が厳しい地域では、通年雇用が難しい事業者が多くあります。冬季における従業員の失業を防ぎ、安定した雇用を目指すことで、地域の活性化にもつながります。

こうした季節労働者が多い北海道や東北地方などにおいて活用したい制度が、通年雇用助成金です。季節雇用から通年雇用に転換する際にかかる費用の一部が助成されます。

そこで、この記事では通年雇用助成金の概要や助成金額、支給要件、申請方法を解説します。

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通年雇用助成金とは

通年雇用助成金とは、積雪や寒冷の度が高い地域の事業主が冬期間に離職を余儀なくされる労働者を通年雇用した場合に、かかる費用の一部を助成する制度です。

本制度の対象となるのは、季節雇用の労働者です。
季節雇用労働者とは、「年間就業日数が200日未満で、特定の季節だけ仕事に従事している者」のことを指します。具体的な支給要件についてはのちほど解説します。

対象となる指定地域

対象となる地域は、以下に指定されているいずれかの都道府県の市町村です。他の地域の事業主は対象外となります。

全市町村が指定地域 北海道、青森県、岩手県、秋田県
一部の市町村が指定地域 宮城県、山形県、福島県、新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県

対象となる指定事業

対象となる業種は、以下のいずれかに該当する業種です。

1 林業
2 採石業および砂、砂利又は玉石の採取業
3 建設業
4 水産食料品製造業
5 野菜缶詰、果実缶詰又は農産保存食料品の製造業
6 一般製材業
7 セメント製品製造業
8 建設用粘土製品(陶磁器製のものを除く)の製造業
9 特定貨物自動車運送業
10 建設現場において据付作業を行う以下のいずれかの業種

  • 造作材製造業(建具を除く)
  • 建具製造業鉄骨製造業
  • 建設用金属製品製造業(鉄骨を除く)
  • 金属製サッシ・ドア製造業
  • 鉄骨系プレハブ住宅製造業
  • 建設用金属製品製造業(サッシ、ドア、建築用金物を除く)
  • 畳製造業
11 農業(畜産農業および畜産サービス業を除く)
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通年雇用助成金の支給要件・助成額

通年雇用助成金の対象となる労働者の要件を以下にまとめました。

対象となる季節労働者
  • 対象期間の属する年度の9月16日以前から雇用されていること
  • 対象期間の属する年度の1月31日において、雇用保険の特例一時金の受給資格を得て、受給が見込まれていること
上記のうち対象外となる労働者
  • 管理監督的業務に従事する労働者
  • 事務など季節の影響を直接受けない業務に従事する労働者
  • 出稼就労を状態とする労働者

この他にも、通年雇用助成金を受給するには支給要件のいずれかを満たすことが必要です。ここでは7つの支給要件とそれぞれの要件を満たした場合の助成額について解説します。

事業所内就業

季節労働者を冬期間(12月16日~翌年の3月15日)においても継続して同一の事業所で就業させた場合に、賃金の一部が助成されます。

新規継続労働者(1回目)の助成額 対象期間中の支払賃金額の2/3(上限71万円)
以下の場合の助成額

  • 継続(2回目)
  • 再継続労働者(3回目)
対象期間中の支払賃金額の1/2(上限54万円)

65歳以上であっても要件を満たすことで、継続・再継続労働者として申請可能です。

ただし、すべての労働者が助成金を受けられるわけではなく、以下の算定式と優先順位にもとづいて、決められた人数を算出する必要があります。

算定式 支給対象となる労働者数
=申請時の対象労働者数―(※基礎数―当該年度の3月15日現在の継続雇用労働者数)

※基礎数

  1. 昭和59年以降にはじめて支給を受けようとする場合、又は過去に助成金の支給を受けたことがあるが、直前3年間以上にわたって助成金の支給を受けたことがない場合は、当該年度の12月15日における継続雇用労働者の数
  2. 1以外の場合は、前年までに支給が確定した労働者数により、一定の式で算出される
優先順位
  1. 支給額が高い者
  2. 申請回数の少ない者

事業所外就業

季節労働者を冬期間(12月16日~翌年の3月15日)において、他の事業所に就業させて継続雇用した場合に、賃金の一部が助成されます。

新規継続労働者(1回目)の助成額 対象期間中の支払賃金額の2/3(上限71万円)
以下の場合の助成額

  • 継続(2回目)
  • 再継続労働者(3回目)
対象期間中の支払賃金額の1/2(上限54万円)

対象となる労働者の要件は、事業所内就業と変わりません。

休業

季節労働者を冬期間(12月16日~翌年の3月15日)において、期間中一時的に休業させて継続雇用した場合に、賃金や休業手当の一部が助成されます。

対象労働者1名につき事業所内・外就業の申請回数3回のうち、2回まで支給されます。
(令和7年4月30日までの暫定措置で、事業所内・外就業か休業かのいずれかを選択します。)

1回目の助成額 以下の合計額の1/2の金額

  • 休業期間中の支払休業手当
  • 対象期間中の支払賃金金額(休業手当を除く)
2回目の助成額 以下の合計額の1/3の金額

  • 休業期間中の支払休業手当
  • 対象期間中の支払賃金金額(休業手当を除く)

業務転換

季節労働者を冬期間(12月16日~翌年の3月15日)において、季節的業務以外の業務に転換して継続雇用した場合に、賃金の一部が助成されます。

対象労働者は、以下のいずれかに該当することが必要です。

当該年度の対象期間中に業務転換を開始する場合 対象期間の属する年度の9月16日以前から雇用され、当該年度の1月31日において雇用保険の特例一時金の受給資格を得て、支給を受けることが見込まれる労働者
当該年度の12月15日以前に業務転換を開始する場合 以下の両方を満たす労働者

  • 業務転換開始日に支給対象事業所に3か月以上継続雇用されている
  • 当該年度の3月31日までに、雇用保険の特例一時金の受給資格を得て、支給を受けることが見込まれている

対象となる労働者数の算出方法は、事業所内就業と変わりません。

職業訓練

冬期間(12月16日~翌年の3月15日)に継続雇用している季節労働者に職業訓練を実施した場合に、賃金や訓練にかかった費用の一部が助成されます。

対象労働者1名につき、事業所内・外就業の助成に加えて以下の金額が3回まで支給されます。

季節的業務に関する訓練を実施した場合の助成額 事業主が支払った費用の1/2の金額(上限3万円)
季節的業務以外の訓練を実施した場合の助成額 事業主が支払った費用の2/3の金額(上限4万円)

新分野進出

季節労働者を通年雇用するために、新たに新分野の事業所を設置・整備した場合に、かかった費用の一部が助成されます。

助成額 事業所の設置・整備にかかった費用の1/10の金額(上限500万円、継続して3回まで同額を支給)

季節トライアル雇用

指定地域内に所在し、指定業種以外に属する事業主が、季節労働者を試行(トライアル)雇用終了後、引き続き常用雇用として雇い入れた場合に、賃金の一部が助成されます。

助成額 常用雇用に移行した日から起算して6か月間に支払った賃金の1/2の額から、「トライアル雇用助成金」での支給額を減額した額(上限額71万円)

トライアル雇用助成金の詳細は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2023最新】トライアル雇用助成金とは?各コースを徹底解説

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通年雇用助成金の申請方法

通年雇用助成金の申請方法を以下にまとめました。

  1. 対象となる季節労働者を継続的に雇用する
  2. 通年雇用届を提出する(12月16日~1月31日)
  3. ハローワークに支給申請書を提出する(3月16日~6月15日)
  4. 支給・不支給の決定通知が送付される
  5. 通年雇用助成金が支給される

申請には、通年雇用届や出勤簿・賃金台帳などのさまざまな申請書類の提出を行う必要があります。期限に対して十分に余裕をもって準備しましょう。

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まとめ

この記事では、通年雇用助成金の概要や助成金額、支給要件、申請方法について解説しました。

北海道や東北地方などの冬の寒さや積雪が厳しい地域においては、冬季の雇用が問題となりますが、通年雇用を継続することで、業務効率の安定化や従業員の意欲向上につながります。そのための資金調達が難しい場合には、通年雇用助成金の受給がおすすめです。

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。