昨今は「求職者数<求人数」の売り手市場であり、人手不足に悩んでいる企業が多くあります。しかし一方で多様な事情により就職が困難になっている求職者もいます。

特定求職者雇用開発助成金は、こうした双方のニーズにマッチした助成金制度です。求職者は就職のチャンスを得ることができ、企業は多様な人材を雇用するチャンスとともに助成金を受給できます。

そこでこの記事では、特定求職者雇用開発助成金の各コースの詳細を解説します。

特定求職者雇用開発助成金とは

特定求職者雇用開発助成金とは、何らかの事情により、就職が困難な求職者を雇用した事業主を助成する制度です。

  • 特定就職困難者コース
  • 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
  • 就職氷河期世代安定雇用実現コース
  • 生活保護受給者等雇用開発コース
  • 成長分野等人材確保・育成コース
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特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)とは、高年齢者や障害者等の就職困難者を、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主を助成する制度です。

ここでは、主な概要を解説します。詳細は助成金のコンサルに相談するか厚生労働省のホームページをご覧ください。
参照:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」

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主な支給要件

助成金を受給するには、以下のすべての要件を満たすことが必要です。

・以下の機関のいずれかの紹介により雇い入れること

  1. 公共職業安定所(ハローワーク)
  2. 地方運輸局(船員として雇い入れる場合)
  3. 適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者等

・雇用保険一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れ、継続した雇用が確実であると認められること

助成額

助成額は、対象労働者の類型と企業規模に応じて以下のように異なります。

対象労働者 支給額 助成
対象期間
支給対象期ごとの支給額
短時間労働者以外の者 高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等 60万円
(50万円)
1年
(1年)
30万円×2期
(25万円×2期)
重度障害者等を除く身体・知的障害者 120万円
(50万円)
2年
(1年)
30万円×4期
(25万円×2期)
重度障害者等(※2) 240万円
(100万円)
3年
(1年6か月)
40万円×6期
(33万円×3期)
※第3期の支給額は34万円
短時間労働者(※3) 高年齢者(60歳以上)、母子家庭の母等 40万円
(30万円)
1年
(1年)
20万円×2期
(15万円×2期)
重度障害者等を含む
身体・知的・精神障害者
80万円
(30万円)
2年
(1年)
20万円×4期
(15万円×2期)

※()は、中小企業事業主以外
※2重度障害者等:重度の身体・知的障害者、45歳以上の身体・知的障害者および精神障害者
※3短時間労働者:一週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満である者

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「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!

助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説

特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)

特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)とは、発達障害者や難病患者を継続して雇用する労働者(一般被保険者)として雇い入れる事業主を助成する制度です。

ここでは、主な概要を解説します。詳細は助成金のコンサルに相談するか厚生労働省のホームページをご覧ください。
参照:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)」

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支給要件

助成金を受給するには、以下のすべての要件を満たすことが必要です。

  • 以下の機関のいずれかの紹介により雇い入れること
  1. 公共職業安定所(ハローワーク)
  2. 地方運輸局(船員として雇い入れる場合)
  3. 適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者等
  • 雇用保険一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れ、継続した雇用が確実であると認められること
  • 事業主に雇い入れた方に対する配慮事項等について報告すること

また雇入れから約6カ月後に、ハローワーク職員等による職場訪問が実施されるため、その対応も必要です。

助成額

助成額は、対象労働者の類型と企業規模に応じて以下のように異なります。

対象労働者 企業規模 支給額 助成対象期間 支給対象期ごとの支給額
短時間労働者以外の者 中小企業 120万円 2年間 第1期 30万円
第2期 30万円
第3期 30万円
第4期 30万円
中小企業以外 50万円 1年間 第1期 25万円
第2期 25万円
短時間労働者(※) 中小企業 80万円 2年間 第1期 20万円
第2期 20万円
第3期 20万円
第4期 20万円
中小企業以外 30万円 1年間 第1期 15万円
第2期 15万円

※短時間労働者:1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者

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特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)

特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)とは、就職氷河期に正規雇用の機会を逃したことにより、十分なキャリア形成がなされず、正規雇用に就くことが困難な方を正規雇用労働者として雇い入れる事業主を助成する制度です。

ここでは、主な概要を解説します。詳細は助成金のコンサルに相談するか厚生労働省のホームページをご覧ください。
参照:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)」

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支給要件

助成金を受給するには、以下のすべての要件を満たすことが必要です。

  • 以下の機関のいずれかの紹介により、対象者を雇い入れること
  1. 公共職業安定所(ハローワーク)
  2. 地方運輸局(船員として雇い入れる場合)
  3. 適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者等
  • 以下のすべてに当てはまる方を、正規雇用労働者として雇用すること
  1. 1968年(昭和43年)4月2日から1988年(昭和63年)4月1日までの間に生まれた方
  2. 雇入れる日の前日から起算して過去5年間に、正規雇用労働者として雇用された期間の通算期間が1年以下の方
  3. 雇入れる日の前日から起算して過去1年間に、正規雇用労働者等として雇用されたことがない方
  4. ハローワークなどの紹介の時点で安定した職業に就いていない方でかつ、ハローワークなどにおいて、個別支援等の就労に向けた支援を受けている方
  5. 正規雇用労働者として雇用されることを希望している方等

助成額

助成額は、企業規模に応じて以下のように異なります。対象期間を6か月ごとに区分し、一定額が支給されます。

企業規模 支給対象期間 支給額 支給総額
第1期 第2期
大企業 1年 25万円 25万円 50万円
中小企業 1年 30万円 30万円 60万円

特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース)

特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース)とは、通算3ヶ月を超えて支援を受けている生活保護受給者や生活困窮者を継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主を助成する制度です。

支給要件

助成金を受給するには、以下のすべての要件を満たすことが必要です。

  • 以下の機関のいずれかの紹介により、対象者を雇い入れること
  1. 公共職業安定所(ハローワーク)
  2. 地方運輸局(船員として雇い入れる場合)
  3. 適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者等
  • 雇用保険一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れ、継続した雇用が確実であると認められること

助成額

助成額は、対象労働者の類型と企業規模に応じて以下のように異なります。

対象労働者 支給額 助成対象期間 支給対象期ごとの支給額
短時間労働者以外の者 60万円
(50万円)
1年
(1年)
30万円×2期
(25万円×2期)
短時間労働者
(※2)
40万円
(30万円)
1年
(1年)
20万円×2期
(15万円×2期)

※()内は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間
※2短時間労働者:一週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満である者

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特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)

特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)には、「成長分野」と「人材育成」という2つのメニューがあります。

  • 成長分野
    高年齢者や障害者等の就職困難者を、ハローワーク等の紹介により雇い入れて、「成長分野の業務」に従事させ、人材育成や職場定着に取り組む場合に、特定求職者雇用開発助成金の他のコースより高額の助成金を支給する制度です。
  • 人材育成
    未経験の就職困難者を、ハローワーク等の紹介により雇い入れて、人材開発支援助成金による人材育成を行い、賃上げを行った場合に、特定求職者雇用開発助成金の他のコースより高額の助成金を支給する制度です。

支給要件

助成金を受給するには、以下のすべての要件を満たすことが必要です。

  • 【助成メニュー:成長分野・人材育成共通】以下の対象労働者種別に応じた特定求職者

雇用開発助成金の他のコースの支給要件をすべて満たすこと

対象労働者種別 対応するコース
障害者、60歳以上の者、母子家庭の母等 特定就職困難者コース
発達障害者、難治性疾患患者 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
就職氷河期世代の者 就職氷河期世代安定雇用実現コース
生活保護受給者、生活困窮者 生活保護受給者等雇用開発コース
  • 【助成メニュー:成長分野の場合】以下のすべてを満たすこと
  1. 対象労働者を、「成長分野等の業務」に従事させること
  2. 対象労働者に対して、雇用管理改善または職業能力開発にかかる取組を行うこと
  3. 1および2に関すること等について記載した実施結果報告書を提出すること
  • 【助成メニュー:人材育成の場合】以下のすべてを満たすこと
  1. 対象労働者が就労の経験のない職業に就くことを希望する者であること
  2. 対象労働者を支給要領に定める人材開発支援助成金を活用した訓練を行い、当該訓練と関連した業務に従事させること
  3. 毎月決まって支払われる賃金を雇入れ日から3年以内に、雇入れる日(試用期間がある場合は本採用後の日)の賃金と比べて5%以上引上げられていること

助成額

助成額は、対象労働者別と企業規模により、以下のように異なります。

対象労働者 支給額 助成対象期間 支給対象期ごとの支給額
短時間労働者以外の者 高年齢者(60歳以上)
母子家庭の母等
就職氷河期世代の者
生活保護受給者等 等
90万円
(75万円)
1年
(1年)
45万円×2期
(37.5万円×2期)
身体・知的障害者
発達障害者
難治性疾患患者
180万円
(75万円)
2年
(1年)
45万円×4期
(37.5万円×2期)
重度障害者等(※2) 360万円
(150万円)
3年
(1年6か月)
60万円×6期
(50万円×3期)
短時間労働者(※3) 高年齢者(60歳以上)
母子家庭の母等
生活保護受給者等  等
60万円
(45万円)
1年
(1年)
30万円×2期
(22.5万円×2期)
障害者
発達障害者
難治性疾患患者
120万円
(45万円)
2年
(1年)
30万円×4期
(22.5万円×2期)
  • ※1()内は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間
  • ※2重度障害者等:重度の身体・知的障害者、45歳以上の身体・知的障害者および精神障害者
  • ※3短時間労働者:一週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満である者

まとめ

この記事では、特定求職者雇用開発助成金の各コースの詳細を解説しました。

特定求職者雇用開発助成金を活用することで、人材不足に悩む企業と、就職が難しい求職者の双方にメリットがあります。対象者を雇用する際には、特定求職者雇用開発助成金を活用することがおすすめです。

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。