2024年4月1日から建設業、運送業、病院等、砂糖製造業にも時間外労働の上限規制が適用されました。これを受けて、働き方改革に取り組んでいる企業も多いでしょう。

その際に活用したいのが「働き方改革推進支援助成金」です。働き方改革を推進する際に必要な生産性向上などの取り組みにかかる経費の一部が助成されます。

そこで、この記事では「働き方改革推進支援助成金」の活用事例を業種別に紹介します。

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働き方改革推進支援助成金とは

働き方改革推進支援助成金とは、生産性を高めながら労働時間の縮減等に取り組む中小企業・小規模事業者や、傘下企業を支援する事業主団体に対して助成する制度です。

取り組む内容により、以下の4つのコースが設定されています。

  • 業務別課題対応コース
  • 労働時間短縮・年休促進支援コース
  • 勤務間インターバル導入コース
  • 団体推進コース

働き方改革推進支援助成金の概要や各コースの解説は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2023年最新】働き方改革推進支援助成金とは?各コースを徹底解説

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【建設業・製造業】働き方改革推進支援助成金の活用事例

建設業・製造業における働き方改革推進支援助成金の活用事例を紹介します。

顔認証システムと労務管理ソフトの導入

石川県で総合建設業を営む株式会社寺田鉄工建設では、以下の取り組みにおいて働き方改革推進支援助成金を活用しました。

課題 労働時間を集計する際にタイムカードを使用し、Excelに手入力し算出していた。
そのため、打刻の印字不鮮明や打刻漏れが発生し、労働時間を適切に把握できない状況にあった。
導入システム 顔認証システムと労務管理ソフト
実施内容 正確な勤怠管理や業務を効率化することを目的とし、助成金を活用。
個人別に該当週の隔週日別で労働時間を表示できるほか、週、月、年の通算労働時間、残業時間を可視化。また労働者からの意見・相談窓口担当者も表示されるように工夫をした。
成果
  • 各自が、毎日労働時間の推移やワークライフバランスの比率を目視できるため、時間外労働時間の削減について、意識を醸成させられるようになった。
  • 労務管理ソフトの導入により、集計ミスがなくなり、適正な労務管理を実現した。
  • 管理職も部下の勤務状況をWeb上で随時把握できるようになった。

参照:厚生労働省 石川労働局「石川県内の働き方改革促進企業」

設計業務ソフトの導入

石川県で建設業を営む株式会社ロードマネジメントでは、以下の取り組みにおいて働き方改革推進支援助成金を活用しました。

課題 発注設計書や社内の設計業務ソフトの電子データ形式の違いにより、ソフトごとにデータ変換作業が必要だった。また各業務に使用するソフトも異なっていた。
そのため、各業務のワークフローの停滞や属人化の要因になっていた。
導入システム 最新の設計業務ソフト
実施内容 業務の簡素化と分散化を行った。設計業務ソフトごとに異なるデータ形式の共有化が簡便となり、各業務ソフトの分散処理や統合を実施。
成果 各業務ソフトのデータ形式の都度変換が不要となり、ワークフローの停滞や業務の属人化が改善され、電子的納品の効率化が実現。
また納期にも余裕ができて、感染症対策として導入した特別休暇なども取得しやすくなった。

参照:厚生労働省 石川労働局「石川県内の働き方改革促進企業」

新型測量杭打ち機の導入と重機のITC化

岡山県で総合工事業を営むA社では、以下の取り組みにおいて働き方改革推進支援助成金を活用しました。

課題 人手不足により、少人数で効率よく業務を行う必要があった。また、若手でも高い水準の重機操作を行うことが課題だった。
導入システム 新型測量杭打ち機、重機用センサーユニット等
実施内容
  • 重機操作の技術レベルが平準化され、誰でも正確な操作ができるようになった。
  • 測量や杭打ちを行う作業員が2人から1人に削減され、作業時間も一日あたり1~1.5時間程度削減した。
成果 就業規則を改定し、ボランティア休暇を導入した。

参照:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金・業務改善助成金活用のてびき|生産性向上のヒント集」

工業用縫製ミシンの導入による業務効率化

石川県で繊維工業を営む中外製網株式会社では、以下の取り組みにおいて働き方改革推進支援助成金を活用しました。

課題 以前は、人力で漁業用の網の整網や補正作業を行っていたため、縫製作業に時間がかかり、長時間労働の発生が課題だった。
導入システム 工業用縫製ミシン(2台)
実施内容 設備投資による生産量の増大と、当該業務に従事できる者を増やし(多能工化)、縫製作業の効率化を実施した。
成果 ミシンの操作を習得し、網の縫い合せ作業の平準化を実現。その結果、残業時間の大幅な減少につながり、年間の時間外労働は半減した。

参照:厚生労働省 石川労働局「石川県内の働き方改革促進企業」

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【運送業】働き方改革推進支援助成金の活用事例

運送業における働き方改革推進支援助成金の勝代事例を紹介します。

顧客管理システムの導入

宮城県で道路貨物運送業を営むB社では、以下の取り組みにおいて働き方改革推進支援助成金を活用しました。

課題 時間外労働の上限規制への対応が必要だった。従来は、顧客管理が手作業にて複雑だったため、担当者は負担を抱え、長時間の作業時間がかかっていた。
導入システム 顧客管理システム
実施内容 顧客管理業務を簡素化及び効率化した結果、以下のように改善された。

  • 顧客管理作業の効率が約2.5倍に向上。
  • ミスやミスを補うためのムダな作業の削減。
  • 顧客情報管理担当者の作業時間が月に2.5時間程度削減。
成果 就業規則を改定し、ボランティア休暇を導入した。

参照:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金・業務改善助成金活用のてびき|生産性向上のヒント集」

デジタル式運行記録計の導入

広島県で道路貨物運送業を営むC社では、以下の取り組みにおいて働き方改革推進支援助成金を活用しました。

課題 事業規模の拡大によって管理する人員や車両が増え、手作業による運行記録の事務処理に限界を感じていた。
導入システム デジタル式運行記録計
実施内容 運航に伴う事務作業を効率化した結果、以下のように改善された。

  • 労働時間をより正確に把握できるようになった。
  • トラック運転手の運転日報作成にかかる時間が、月5時間程度削減。また労務管理担当者の出勤簿作成にかかる時間が月10時間程度削減された。
成果 就業規則を改定し、教育訓練休暇を導入した。

参照:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金・業務改善助成金活用のてびき|生産性向上のヒント集」

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【医療業】働き方改革推進支援助成金の活用事例

医療業における働き方改革推進支援助成金の勝代事例を紹介します。

デジタル画像診断システムの導入

栃木県にあるD病院の産科・婦人科では、以下の取り組みにおいて働き方改革推進支援助成金を活用しました。

課題 24時間365日での残業対応が常態化しており、職員への負担も大きく全体的に労働時間に対する意識が低い状況だった。
導入システム デジタル画像診断システム
実施内容 X線検査に関する業務を効率化した結果、以下のように改善された。

  • 投影フィルムに比べ、より鮮明な画像データでの診断が可能になった。
  • X線検査の準備、撮影後の診察室への運搬、診察後の保管庫への運搬にかかる時間が月に4時間程度削減された。
成果 就業規則を改定し、教育訓練休暇を導入した。

参照:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金・業務改善助成金活用のてびき|生産性向上のヒント集」

電子カルテシステムの刷新

大阪府で医療業を営む組織では、以下の取り組みにおいて働き方改革推進支援助成金を活用しました。

課題 診療から精算、処方箋発行までの会計業務や、月次締め業務、診療報酬請求業務による残業が定常化していた。
導入システム 電子カルテシステムの入替
実施内容 精算、請求業務を効率化した結果、以下のように改善された。

  • 医師のカルテ入力内容が処方箋発行までのすべての書式に直接反映されるようになり、最終患者の送り出しまでの時間が10分~15分程度早まった。
  • 毎日の精算作業が、50分程度から1分程度に削減された。
成果 就業規則を改定し、時間単位年休制度・ボランティア休暇を導入した。

参照:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金・業務改善助成金活用のてびき|生産性向上のヒント集」

まとめ

この記事では、働き方改革推進支援助成金の概要や業種別の活用事例を紹介しました。

働き方改革推進支援助成金を利用することで、生産性向上にかかる設備やコンサル導入の費用を軽減できます。

「働き方改革推進支援助成金の申請方法がわからない」「働き方改革推進支援助成金の要件を満たすノウハウがない」という企業の方は、プロのコンサルに依頼すると確実な受給につながります。まず以下から無料相談を試してみてはいかがでしょうか。

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弊社担当のご紹介
黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。