イクメンという言葉が社会的に認知された昨今、事業主は女性だけでなく、男性の産休、育休も意識し、理解しておいたほうがよいでしょう。かつて「男性は外で働き、女性は家庭を守る」という価値観が当然でした。平成22年6月には、2020年までに男性の育児休業取得率13%という目標も設定され、国全体で男性の育休を後押ししています。ただ、厚生労働省による平成27年度雇用均等基本調査では、平成27年時点で取得率2.65%と伸び悩んでいる現状です。しかし、3歳未満の子供を持つ年齢20~40代の男性正社員で「利用したいができなかった」という人も続出しています。できない理由は『職場の雰囲気』です。「男性に育休などは必要ない」「時代の流れとして必要」賛否両論あります。しかし、働きやすい職場環境を考えるなら無視できません。育休制度を取得しやすい職場風土を目指すなら期間や助成金のことも含めて理解しておきましょう。

育児休業制度は育児・介護休業法という法律で定められています

育児休業制度は育児・介護休業法に定められた両立支援制度です。子供が1歳になるまで申し出ることで取得できます。従来は1歳6カ月までですが、一定の場合という事情があるなら2歳まで延長可能です。一定の場合とは、たとえば保育所に入所申し込みをしたが入所できず、待っている状態、1歳6カ月以降も子供の養育をする予定だった配偶者が、負傷や病気、死亡などで困難となった状態などが一定の場合に当てはまります。

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条件次第で延長することも可能

男性の育児休業取得促進の取組みも積極的に行われています。夫婦で育児休業を取得すると、育児休業取得可能期間が延長可能です。子供が1歳2カ月に達するまでの間、1年休業することもできます。出産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合、特例で再度育児休業を取得することも可能です。たとえば、母親が産休時、父親は1度目の育児休暇を取得したとします。産後、8週間以内に育児休暇を取得。そうすれば、特例として再び取得できるのです。結果、2度の育児休暇を取得できます。また、配偶者が専業主婦や専業主夫であっても事業主は労働者からの育児休業取得の申し出を拒否できないことを知っておきましょう。

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法律のため違反すれば事業主は罰則を受けることに

育児休暇制度は、育児・介護休業法という法律のため事業主が労働者の申し出を拒否した場合、罰則があります。育児休業を拒否すると企業名が公表されることになるのです。まず、育児・介護業法に違反した事業主には厚生労働大臣による違反の是正勧告が行われます。無視するとその旨を公表。厚生労働大臣や委任を受けた都道府県労働局長は施行上必要なら事業主に報告を求められるのもポイントです。それでも事業主が報告をしない、虚偽報告など行えば、20万円以下の過料に処されることになります。各都道府県労働局雇用環境・均等部(室)の調査による厳しい行政指導を行われる可能性も。今後、守らない事業主が増加すれば、罰則が厳しくなることも考えられるでしょう。その点を意識し、事業主は男性の育休を理解する必要があります。

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給付金があることも教えてあげましょう

男性の育休に理解を示す事業主もいるでしょう。ただ、育休期間、賃金の支払いについて不安を覚える事業主もいるはずです。育児休業期間中、賃金の支払いは企業ごとに異なります。一部支払う企業もあれば賃金を出さない所もあるのです。育児休業期間中は、健康保険や厚生年金保健などの社会保険料は本人負担、事業主負担分免除することも押さえておきましょう。ただ、育休期間中の経済的なことに関しては、育児休業給付金もあります。賃金を一定以上減額する場合、雇用保険から最高で67パーセント支給可能です。男性従業員の中で給与を払ってもらえないことに不安を感じる人もいるかもしれません。育休や産休を取ることを躊躇(ちゅうちょ)している社員がいれば、事業主は育児休業給付金の情報を教えてあげましょう。

男性でも育休や産休が気兼ねなく取得できる風土づくりを

男性の育休や産休は国が取り組んでいてもなかなか根付いていない状況です。理由は昔ながらの価値観が考えられます。男性が出産するわけではない、育休で抜ければ同僚にしわよせがいく、産後に必要以上男性が休む必要はあるのかといわれることを恐れる人もいるでしょう。育休や産休から復帰したら、自分の居場所がなかったらどうするのかと考える男性もいるかもしれません。そのような雰囲気を壊すには、事業主の積極的な介入が必要です。事業主が男性でも育休や産休を取得できる風土づくりをすれば、結果、働きやすい会社として優秀な人材が集まることにもつながります。

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弊社担当のご紹介
黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。