飲食店を開業するためには何かと資金が必要になります。物件の契約にかかる費用や人件費、内装工事費……。この他にも細々した費用が必要になります。だいたい20坪程度の飲食店を開業するためには、2,000万円近くは必要になりますが、これを全て借り入れによって工面すると、毎月の返済費に苦しめられることになります。

この開業費の負担を軽減する方法として、返済不要の資金である助成金は有効活用したいところです。今回は、東京都で飲食店を開業する場合に活用できる助成金をピックアップしてご紹介していきたいと思います。

1.創業助成事業

創業助成事業とは、都内の開業率向上を目標に掲げ、創業間もない中小企業に対して人件費、広告費など創業初期に必要となる経費の一部を東京都が負担してくれるというものです。

平成30年度の申し込みは終了していますが、毎年公募される助成金ですし、比較的どのような業態でも受給が認められます。他の助成金は従業員を雇用していることが条件であったりするので、誰でも活用できる助成金として非常に人気が高いです。

助成金の対象となる経費

従業員の人件費、賃貸料、コンサル費、広告費、備品費、産業財産権出願・導入費

助成金限度額

下限100万円、上限300万円

2. 商店街起業・承継支援事業

地域の経済において重要な役割を担う商店街を守ろうとする動きもあります。商店街企業・承継支援事業は商店街での出店や事業継承に伴って受給することができる助成金です。

商店街は競合店も多いですが人通りも多く、地域イベントの恩恵や他のお店の集客力による恩恵を受けることが可能であるため、開業する場所として選択するメリットも多いと思います。

特に場所についてコダワリがないという場合は、商店街の空き店舗を検索してみて、この助成金を活用してみてはいかがでしょうか?

助成金の対象となる経費

事業所整備費(改装工事・設備備品購入費・広告宣伝費)、店舗賃料、実務研修受講費

助成金限度額

最大580万円

Check!

「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!

助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説

3.若手・女性リーダー応援プログラム助成事業

働き方改革や一億総活躍社会を目指す政府は、若手の起業家や女性を応援しています。若手・女性リーダー応援プログラム助成事業は、現在事業を営んでいない39歳以下の男性と、女性(女性は年齢に上限がありません)に対して支給される助成金で、様々な業態で申請することが可能な助成金です。もちろん飲食店を開業する場合も申請することができます。

上記で紹介した商店街起業・承継支援事業に比べて高い事業所整備費として助成される金額が大きいので、条件に当てはまるのであればこちらの助成金を利用しましょう。

助成金の対象となる経費

事業所整備費(改装工事・設備備品購入費・広告宣伝費)、店舗賃料、実務研修受講費

助成金限度額

最大730万円

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は、就職が困難な求職者を試行的に雇用する時に受給することができる助成金です。開店して間もない頃というのは、人材を雇用するのがとても難しいです。求職者も「安定したお店で働きたい」と考えているためです。

また、皆さんとしても「どんな人材を雇用すればよいか」ということは開業当初はつかめないと思います。そんな時に利用したいのが、トライアル雇用助成金です。トライアル雇用助成金は、ハローワークなどを通して一定期間試験的な雇用を行うことで受給することができる助成金で、要するにミスマッチによるリスクを分散することができるのです。

もちろん良い人材であればそのまま正社員として雇用することもできますし、特に就労形態に規制が設けられているわけでもないので、アルバイトやパートタイマーとして雇用し続けることも可能です。

求人サイトや人材会社を利用すると、それだけ大きな費用もかかりますので、その点でもハローワークなどを通じて採用活動を進めてみてはいかがでしょうか?

助成金の対象となる経費

人件費

助成金限度額

1名につき月額12万円(片親家庭の父親、または母親の場合は15万円)

他にもある!区限定の助成金

上記で紹介した助成金は、東京都や厚生労働省からもらえる助成金ですが、この他にも自治体が町おこしのために支給する助成金も存在します。

江戸川区 人材確保・定着推進助成金

江戸川区内の事業者が福利厚生事業者の加入に必要な経費を助成するものです。従業員の生産性向上や定着には賃金以外のインセンティブはとても重要です。この助成金を利用すれば助成金対象の経費の2分の1以内を受給することが可能です。

足立区 ISO認証取得助成金

ISO認証とは、品質管理に関わる国際規格のことですが、飲食店が関係があるものはISO22000というものです。この規格は食品安全管理基準に関するもので、取得しておくことで「このお店の食品は安全」ということを顧客にアピールすることができます。足立区ではこのISO22000の認証取得に必要な経費の2分の1を助成してくれます。

江東区 ホームページ作成費補助

江東区には、ホームページ制作にかかった経費の2分の1を補助してくれる制度があります。ホームページは無料で制作することもできますが、こういったツールでは、制作したページに広告が表示されて、チープな感じがしてしまいます。広告なしのしっかりしたHPを制作しておくことで顧客に信頼感を与えることができますし、作り込めば重要な集客ツールにもなりますので、是非利用してみましょう。

まとめ

今回は、東京で飲食店を開業する場合に活用できる助成金をご紹介してきましたが、この他にも様々な助成金があります。飲食店は1年以内に資金不足が原因で廃業してしまう事業者がとても多いので、こういった助成金を活用して少しでもランニングコストをおさえ、長期的な経営計画を立てましょう。

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。