非正規雇用労働者の正社員化や待遇改善を目的として制定されたキャリアアップ助成金のうち、障がい者の雇用促進を目的としているのが「キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)」です。

障がいのある非正規雇用労働者を正社員に転換し、ダイバーシティ経営の方向性を打ち出すことで、様々な背景をもつ他の非正規雇用労働者のモチベーションを向上させられる可能性があることから、積極的に検討することがおすすめです。

この記事では、キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)の概要や支給要件、申請方法について解説します。

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キャリアアップ助成金とは

キャリアアップ助成金とは、「パート・アルバイトなどの非正規雇用労働者を正社員として転換する、派遣労働者を直接雇用するといった取り組みを実施した企業を支援する助成金」です。

キャリアアップ助成金は、取り組みに応じて以下の6つのコースに区分されています。

  • 正社員化コース
  • 障害者正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 賞与・退職金制度導入コース
  • 短時間労働者労働時間延長コース

この記事では、このうち障害者正社員化コースについて解説します。
キャリアアップ助成金の各コースの概要は以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2024年最新】キャリアアップ助成金とは?各コースを徹底解説

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キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)の概要

キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)とは、「障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等(勤務地限定正社員・職務限定正社員・短時間正社員を含む)へ転換した事業主を支援する助成金」です。

より安定度の高い雇用形態に転換することで、障がい者の職場定着を目的としています。

ここでは、障害者正社員化コースの対象や支給要件の概要を解説します。詳細についてはプロの助成金申請コンサルタントにご相談ください。

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対象となる事業主

対象となる事業主の主な要件を、以下にまとめました。

  1. 雇用する有期雇用労働者を正規雇用労働者、もしくは無期雇用労働者に転換又は無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換した事業主
  2. 対象労働者を、以下の期間継続して雇用し、当該労働者に対して、各支給対象期分の賃金を支給した事業主
    ・支給対象期の第1期の場合:転換後、当該支給対象期の初日から6か月以上
    ・支給対象期の第2期の場合:当該支給対象期の初日から6か月以上
  3. 転換した日以降の期間について、対象労働者を雇用保険被保険者として適用させている事業主
  4. 転換する際に、対象労働者の同意を得ている事業主
  5. 転換後6か月間の賃金を、転換前の6か月間の賃金より減額させていない事業主
    (第2期にかかる支給申請においては、対象労働者の賃金を第1期と比較して合理的な理由なく引き下げていないこと。)
  6. 転換した日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、雇用保険被保険者を解雇等の事業主の都合により離職させていない事業主
  7. 支給申請時点において、支給の対象となる労働者を解雇等の事業主の都合で離職させていない事業主

対象となる労働者

対象となる労働者の主な要件を、以下にまとめました。

  1. 申請事業主に雇用される労働者
  2. 転換を行った日の時点で、次のいずれかに該当する労働者
    ・身体障害者
    ・知的障害者
    ・精神障害者
    ・発達障害者
    ・難病患者
    ・脳の機能的損傷に基づく精神障害である高次脳機能障害であると診断された者
  3. 就労継続支援A型事業における利用者でないこと
  4. 次のいずれかに該当する労働者
    ・支給対象事業主に、「賃金の額」または「計算方法」が正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則等の適用を通算6か月以上受けて雇用される有期雇用労働者
    ・支給対象事業主に、「賃金の額」または「計算方法」が正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則等の適用を通算6か月以上(昼間学生であった期間を除き、障害者トライアル雇用等期間以上)受けて雇用される無期雇用労働者
  5. 転換を行った適用事業所の事業主、もしくは取締役の3親等以内の親族以外の者

支給要件

障害者正社員化コースの主な支給要件は、以下のいずれかの措置を継続的に実施することです。

  • 有期雇用労働者を、正規雇用労働者(多様な正社員を含む)もしくは無期雇用労働者に転換すること
  • 無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換すること

ここでいう正規雇用労働者の定義は、同一の事業所内の正規雇用労働者に適用される就業規則が適用されている労働者です。ただし、「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が適用されている者に限られるため、正規雇用労働者に転換する際は注意してください。

助成額

障害者正社員化コースの助成額は、支給対象者の障がいの種類や取り組み内容によって、以下のように異なります。支給対象期間は1年間で、最初の6か月を第1期、次の6か月が第2期となります。

支給対象者 措置内容 支給総額 支払い方法
  • 重度身体障害者
  • 重度知的障害者
  • 精神障害者
有期雇用から正規雇用への転換 120万円
(90万円)
60万円×2期
(45万円×2期)
有期雇用から無期雇用への転換 60万円
(45万円)
30万円×2期
(22.5万円×2期)
無期雇用から正規雇用への転換 60万円
(45万円)
30万円×2期
(22.5万円×2期)
  • 重度以外の身体障害者
  • 重度以外の知的障害者
  • 発達障害者
  • 難病患者
  • 高次脳機能障害と診断された者
有期雇用から正規雇用への転換 90万円
(67.5万円)
45万円×2期
(33.5万+34万円)
有期雇用から無期雇用への転換 45万円
(33万円)
22.5万円×2期
(16.5万円×2期)
無期雇用から正規雇用への転換 45万円
(33万円)
22.5万円×2期
(16.5万円×2期)

※()内は大企業の場合の助成額
※出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)」

対象事業主や対象労働者、助成額の詳細や最新情報は、以下のホームページもご確認いただくか、プロの助成金申請コンサルタントにご相談ください。
参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)」

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キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)の申請の流れ・申請書類

キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)の申請の流れ・申請書類を解説します。

申請の流れ

キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)の申請の流れを以下にまとめました。

  1. キャリアアップ計画を作成し、取り組み開始の前日までに管轄の労働局もしくはハローワークに提出する
  2. 正社員等への転換を実施する
  3. 転換後、対象となる労働者に6か月間賃金を支払う
    ※転換前と比較して賃金を減額せずに支払うことが必要
  4. 転換後6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請を行う
  5. 支給審査に通過したのち、助成金が支給される

申請時は、必ず申請期限を遵守しましょう。申請期限が過ぎると、せっかく取り組みを実施しても受給できなくなります。十分に余裕をもって準備してください。

またキャリアアップ計画書の作成方法については、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【記入例あり】キャリアアップ計画書の作成方法は?添付書類一覧も解説

申請書類

キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)の申請に必要な書類一覧をまとめました。

申請書類
  • キャリアアップ助成金支給申請書(様式第3号)
  • 障害者正社員化コース内訳(様式第3号・別添様式2-1)
  • 障害者正社員化コース対象労働者詳細(様式3号・別添様式2-2)
  • 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
  • 支払方法・受取人住所届
    ※未登録または振り込み口座変更の場合に限る
添付書類
  • 管轄労働局長の認定を受けたキャリアアップ計画書(写)
    ※変更届を提出している場合、当該変更届を含む。
  • 転換前後の労働協約または就業規則等(写)
  • 対象労働者の転換前後の雇用契約書または労働条件通知書等(写)
  • 対象労働者の転換前後の賃金台帳等(写)
  • 対象労働者の転換前後の出勤簿等(写)

また代理人の場合には「委任状(原本)」を、中小企業事業主の場合には「事業所確認票(様式第4号)」もしくは「登記事項証明書」などの提出が追加で必要になります。

申請の流れや申請書類の詳細や最新情報は、以下のホームページもご確認いただくか、プロの助成金申請コンサルタントにご相談ください。
参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)」

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まとめ

この記事では、キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)の概要や支給要件、申請方法について解説しました。

障害者正社員化コースでは、障がい者の雇用促進と職場定着を図るために正規雇用労働者や無期雇用労働者への転換を支援しています。障がい者の転換を検討している場合には、転換にかかる金銭的な負担を低減できるため、障害者正社員化コースの活用がおすすめです。

その際には、プロのコンサルタントに依頼すると確実な受給につながります。まず以下から無料相談を試してみてはいかがでしょうか。

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。