2024年10月に最低賃金が改定され、47すべての都道府県で50以上円引き上げられるなど、労働者の待遇改善が求められています。しかし、賃上げは会社にとっては大きな負担です。

その際に活用したいのがキャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)です。しかし、支給要件や具体的な取り組み方がわからない企業の方も多いでしょう。

そこで、この記事ではキャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の概要や支給要件、申請方法について解説します。

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キャリアアップ助成金とは

キャリアアップ助成金とは、パート・アルバイトなどの有期雇用労働者や短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善を実施した事業主を助成する制度です。

取り組み内容により、以下の6つのコースに分かれています。

  • 正社員化コース
  • 障害者正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 賞与・退職金制度導入コース
  • 社会保険適用時処遇改善コース

この記事では、キャリアアップ助成金のうち賃金規定等改定コースについて解説します。キャリアアップ助成金の概要や各コースの解説は以下の記事をご覧ください。
関連記事:【2024年最新】キャリアアップ助成金とは?各コースを徹底解説

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キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の概要

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)とは、「有期雇用労働者の基本給の賃金規定などを3%以上増額改定し、その規定を適用させた事業主を助成するコース」です。

賃金規定とは、就業規則や労働協約(賃金規定、賃金一覧表)において賃金額を定めた規則のことです。既存の賃金規定ではなく、新たに賃金規定を作成した場合においても対象労働者の過去3か月分の賃金と比較したときに3%以上増額できれば助成対象となります。

ここでは、賃金規定等改定コースの主な概要を解説します。各要項の詳細な解説や自社が要件を満たしているかどうかの確認は、プロの申請サポ―トまでご相談いただくことがおすすめです。

対象となる事業主

対象となる事業主は、以下のすべての項目に該当する事業主です。

  • 有期雇用労働者等に適用される賃金規定等を作成している事業主
  • 賃金規定等を3%以上増額改定し、当該賃金規定等に属する有期雇用労働者等に適用させた事業主(新たに賃金規定等を整備する場合を含む。)
  • 増額改定前の賃金規定等を、3か月以上運用していた事業主
    (新たに賃金規定等を整備する場合は、整備前の3か月分の有期雇用労働者等への賃金支払状況が確認できる事業主)
  • 増額改定後の賃金規定等を6か月以上運用し、かつ、対象労働者について定額で支給されている諸手当を減額していない事業主
  • 支給申請日において当該賃金規定等を継続して運用している事業主
    (ただし、増額改定後であって最低賃金の引上げに伴う変更は除く。)
  • 【加算措置】職務評価を経て賃金規定等改定を行う場合にあっては、有期雇用労働者等および正規雇用労働者を対象に、職務評価を実施した事業主

対象となる労働者

対象となる労働者は、以下のすべての項目に該当する労働者です。

  • 賃金規定等を増額改定した日の前日から起算して3か月以上前の日から増額改定後6か月以上の期間継続して、支給対象事業主に雇用されている有期雇用労働者等
    ※事業所のすべての対象労働者でなくとも、雇用形態別や職種別等の合理的な理由の区分に基づき、一部の労働者を対象として改定、昇給させた場合も助成対象
  • 就業規則または労働協約に定めるところにより、増額改定した賃金規定等を適用され、かつ、増額改定前の基本給に比べて3%以上昇給している者
    最賃法第14条および第19条に定める最低賃金の効力が生じた日以降に賃金規定等を増額した場合、当該最低賃金に達するまでの増額分は含めない。
  • 賃金規定等を増額改定した日の前日から起算して3か月前の日から支給申請日までの間に、合理的な理由なく基本給および定額で支給されている諸手当を減額されていない者
  • 賃金規定等を増額改定した日以降の6か月間、当該事業所において雇用保険被保険者であること
  • 賃金規定等の増額改定を行った事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者
  • 支給申請日において離職していない者

助成額

1人当たりの助成額は、賃金引き上げ額と企業規模により以下のように異なります。

3%以上5%未満 5%以上
中小企業 5万円 6万5,000円
大企業 3万3,000円 4万3,000円

※1年度1事業所あたり支給申請上限人数は100人

対象事業主や対象労働者、助成額の詳細や最新情報は、以下のホームページもご確認いただくか、プロの助成金申請コンサルタントにご相談ください。
参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金」

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キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の申請の流れ・申請書類

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の申請の流れ・申請書類を解説します。

申請の流れ

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の申請の流れを以下にまとめました。

  1. キャリアアップ計画を作成し、取り組み開始の前日までに管轄の労働局もしくはハローワークに提出する
  2. 賃金規定等を改定する
  3. 改定後の賃金規定等に基づき、対象となる労働者に6か月間賃金を支払う
  4. 賃金規定等の増額を適用した6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請を行う
  5. 支給審査に通過したのち、助成金が支給される

申請の注意点としては、必ず提出期限を守ることです。特に支給申請を忘れてしまうと、取り組みを実施しても受給できなくなってしまいます。

またキャリアアップ計画書の作成方法については、以下の記事をご覧ください。
関連記事:【記入例あり】キャリアアップ計画書の作成方法は?添付書類一覧も解説

申請書類

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の申請に必要な書類一覧をまとめました。

申請書類
  • キャリアアップ助成金支給申請書(様式第3号)
  • 賃金規定等改定コース内訳(様式第3号・別添様式3)
  • 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
  • 支払方法・受取人住所届
    ※未登録または振り込み口座変更の場合に限る
添付書類
  • 管轄労働局長の認定を受けたキャリアアップ計画書(写)
    ※変更届を提出している場合、当該変更届を含む。
  • 改定前後の就業規則または労働協約等(写)
  • 対象労働者の改定前後の雇用契約書 または労働条件通知書等(写)
  • 対象労働者の改定前後の賃金台帳等(写)
  • 賃金台帳等に関する確認書
  • 対象労働者の改定前後の出勤簿 またはタイムカード等(写)

また、代理人の場合には委任状(原本)が、中小企業事業主の場合には事業所確認票(様式第4号)の提出が追加で必要になります。

申請の流れや申請書類の詳細や最新情報は、以下のホームページもご確認いただくか、プロの助成金申請コンサルタントにご相談ください。
参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金」

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まとめ

この記事では、キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の概要や支給要件、申請方法について解説しました。

従業員の賃金を増額させることで、従業員のモチベーション向上や優れた人材の獲得などのメリットにつながります。その際には、人件費の負担を低減できるため、キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)を活用することがおすすめです。

助成金の受給を検討している企業の方は、プロのコンサルタントに依頼すると確実な受給につながります。まず以下から無料相談を試してみてはいかがでしょうか。

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黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。