少子高齢化が進み、各企業の重要な課題に人材の確保が挙げられるようになっています。そのためには今までのような働き方を変革し、従業員が働きやすい環境を整備する必要性にせまられている企業もあるでしょう。
その際に、人材確保等支援助成金を利用することで、環境整備にかかる負担を減らしながら事業体制を強化できます。
そこで、この記事では人材確保等支援助成金の概要、各コースの内容について解説します。
助成金の概要についてはこちらをご覧ください。
参考記事:助成金とは?注意点など知っておきたい基礎知識をわかりやすく解説!
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人材確保等支援助成金とは
人材確保等支援助成金とは、魅力ある職場づくりのために労働環境の向上を図る事業主や事業協同組合などに対する制度です。
この制度は、雇用創出を図ることで、人材の確保や定着を目的としています。
少子高齢化により、サービス業や建設業などさまざまな業種において人材不足が深刻化しています。そのため、企業は従来の環境や体制を変更し、魅力ある労働環境をつくり、雇用創出を目指すことが必要です。


人材確保等支援助成金の9コース一覧
人材確保等支援助成金の9つのコースを詳しく見ていきます。
雇用管理制度助成コース
雇用管理制度助成コースとは、雇用管理制度を導入することで、離職率の低下を目指すコースです。
なお、令和4年4月1日から整備計画の新規受付を休止しています。(令和6年11月現在)
【主な支給要件】
以下の3つの要件を満たすことが必要です。
1.以下の5つの雇用管理制度整備の導入と、雇用管理制度整備計画を作成し、管轄の労働局の認定を受けること。
- 諸手当等制度
- 研修制度
- 健康づくり制度
- メンター制度
- 短時間正社員制度(保育事業主のみ)
2.雇用管理制度整備計画にもとづき、期間内に5つの制度を導入・実施すること。
3.制度実施により、雇用管理制度整備計画の終了から1年経過までの期間の離職率を、目標値以上低下させること。
【助成額】
目標達成助成: 57万円(離職率低下の目標値を達成した場合)
参考:厚生労働省「人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)」
中小企業団体助成コース
中小企業団体助成コースとは、事業協同組合などが、構成中小企業者の労働環境向上を目指した取り組みにかかった経費の一部が助成されるコースです。
【主な支給要件】
- 雇用管理の改善計画を作成し、都道府県知事の認定を受けること。
- 構成する中小企業に対して、1年間の「中小企業労働環境向上事業」の計画を策定し、労働局長の認定を受けること。
- 「中小企業労働環境向上事業」の実施。
【助成額】
1年間の「中小企業労働環境向上事業」にかかった経費の2/3が支給されます。ただし、支給限度額は、以下のとおりです。
- 大規模認定組合など(構成中小企業者数500以上):1,000万円
- 中規模認定組合など(構成中小企業者数100以上500未満):800万円
- 小規模認定組合など(構成中小企業者数100未満):600万円
参考:厚生労働省「人材確保等支援助成金(中小企業団体助成コース)」
人事評価改善等助成コース
人事評価改善等助成コースとは、人事評価制度や賃金制度を整備することで、生産性を向上させ、従業員の賃金アップや離職率低下を目指すコースです。
なお、令和4年4月1日から整備計画の新規受付が休止していたものの、令和6年4月1日から整備計画の新規受付が開始されています。
【主な支給要件】
主な支給要件を以下にまとめました。
- 人事評価制度等整備計画を作成し、管轄の労働局の認定を受けること。
- 人事評価制度や賃金制度を整備・実施すること。
- 労働者の賃金が増加され、かつ賃金の引き下げを行っていないこと。
- 制度の整備・実施により、実施日の翌日から1年経過するまでの離職率が、目標値以上に低下していること。
【助成額】
目標達成助成:80万円
参考:厚生労働省「人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)」
建設キャリアアップシステム等普及促進コース
建設キャリアアップシステム等普及促進コースとは、建設事業主団体が能力評価制度や施工能力などの見える化評価を実施し、建設労働者の雇用促進や処遇改善を目指すコースです。
【対象事業】
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)の事業者登録、技能者登録、能力評価(レベル判定)や見える化評価の登録費用にかかる全額または一部を補助する事業
- CCUSの事業者登録、技能者登録、能力評価および見える化評価の事務手続を支援する事業
- CCUSの就業履歴蓄積にかかるカードリーダーの各種機器やアプリなどのソフトウェアの導入を促進する事業
【助成額】
建設事業主団体が負担した経費×助成率
【助成率】
- 中小建設事業主団体:2/3
- 上記以外の建設事業主団体:1/2
参考:厚生労働省「建設事業主等に対する助成金(旧建設労働者確保育成助成金)」
若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建築分野)
若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コースとは、建設事業主団体を対象とし、若者や女性が職場に定着できる魅力ある環境づくりを目指すコースです。
以下に、対象や助成金額についてまとめました。
対象 | 若年および女性労働者の入職や定着を図ることを目的とした事業を行った建設事業主または建設事業主団体 | 建設工事における作業についての訓練を推進する活動を行う広域的職業訓練を実施する職業訓練法人 | |
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助成金額 | 建設事業主 | 建設事業主団体 | 支給対象経費の2/3 |
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参考:厚生労働省「建設事業主等に対する助成金(旧建設労働者確保育成助成金)」
作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)とは、建設工事における宿舎などの作業員施設を設置した建設事業主を支援するコースです。
設置した作業員施設により支援内容が異なります。
- 女性専用の作業員施設を設置した場合:対象経費の3/5
- 被災三県(岩手県、宮城県、福島県)において、作業員宿舎や作業員施設、賃貸住宅を整備した場合:対象経費の2/3
- 石川県において、作業員宿舎や作業員施設、賃貸住宅を整備した場合:作業員宿舎の場合は建設労働者数×25万円、作業員施設・賃貸住宅の場合は対象経費の2/3
参考:厚生労働省「建設事業主等に対する助成金(旧建設労働者確保育成助成金)」
外国人労働者就労環境整備助成コース
外国人労働者就労環境整備助成コースとは、外国人労働者が日本の労働法制や慣行、言語・文化の違いによるトラブルが生じないような取り組みを実施した場合に、取り組みにかかった費用の一部を助成するコースです。
【主な支給要件】
- 外国人労働者を雇用していること。
- 認定を受けた就労環境整備計画にもとづいた新たな措置を外国人労働者に向けて実施すること。
- 就労環境整備計画の終了から一定期間後における外国人労働者の離職率が10%以下であること。
【助成額】
対象経費の合計額に助成率を乗じた金額が支給されます。
賃金要件を満たしていない場合:支給対象経費の1/2(上限額57万円)
賃金要件を満たしている場合:支給対象経費の2/3(上限額72万円)
※対象経費は、以下の5つを専門家や外部機関に委託した場合にカウントされます。
- 通訳費
- 翻訳機器導入費
- 翻訳料
- 弁護士・社会保険労務士などへの委託料
- 社内標識類の設置・改修費
参考:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」
テレワークコース
テレワークコースとは、テレワークを導入し、従業員が働きやすい環境を整備することを目指すコースです。
【主な支給要件】
以下の「機器等導入助成」と「目標達成助成」のどちらかを実施することが必要です。
1.機器等導入助成
管轄の労働局から認定を受けたテレワーク実施計画に沿って、期間内に1回以上、労働者全員がテレワークを実施するか、週平均1回以上テレワークを実施すること。また、テレワークを促進する風土づくりの取り組みを行うこと。
2.目標達成助成
離職率が30%以下であり、テレワーク実施前後で、実施後の離職率の方が低いこと。
【助成額】
1.機器等導入助成
1企業あたり、支給対象となる経費の50%
2.目標達成助成
1企業あたり、支給対象となる経費の15%(賃金要件を満たす場合25%)
参考:厚生労働省「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」
派遣元特例コース
派遣元特例コースとは、労使協定が定めるところにより雇用する派遣労働者を対象に、新たに賃金制度を整備または改善した派遣元事業主を助成するコースです。
【主な支給要件】
令和6年5月24日から令和7年3月31日までの間に、以下のいずれにも該当する派遣元事業主です。
- 令和6年4月1日以降、派遣労働者を雇用する派遣元事業主であること
- 令和7年3月31日までの間に、賃金制度の整備又は改善を実施すること
【助成額】
5万円に派遣労働者1人当たり1万円を加算した合計額
※必要経費の合計が上記合計額を超える場合は、当該経費の総額が上限
「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!
助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説人材確保等支援助成金を申請する際の注意点
人材確保等支援助成金を申請する際の注意点を解説します。
制度の整備は継続的な運用が可能かどうか検討する
人材確保等支援助成金では、支給要件を満たすためには働きやすい環境づくりに関する制度の整備が求められます。その際に、支給要件を満たすためだけに制度を整備すると、自社の現状に適していない体制になる可能性があるのです。
支給要件を満たすだけでなく、その制度を継続的に運用できるかどうかをよく検討することが大切です。
計画届の提出後に事業開始することが必須
人材確保等支援助成金では、各事業の取り組みを開始する前に所定の計画届を記入し、添付書類とともに提出することが必要です。
計画届の提出前に事業を開始しても、助成金の対象外となってしまいます。そのため、人材確保等支援助成金を申請する場合、まずは助成金の申請の流れをよく確認しましょう。
生産性要件は廃止されている
これまで人材確保等支援助成金では、生産性要件という評価指標を満たすことで助成額が加算されました。
しかし、2023年3月31日をもって人材確保等支援助成金の生産性要件は廃止となり、代わりに「賃金引き上げに関する要件」が追加されています。賃金の引き上げを行い、雇用安定を目指す取り組みを行う場合には、こちらの要件も確認しましょう。


まとめ
最近では、求職者が職場を選ぶ基準に「労働環境」を挙げる場合も多くなっています。
人材不足解消や業務効率化などさまざまな面において、労働環境を整備することは事業の強化につながります。新たな環境を整備するには、人材確保等支援助成金を利用し、経営負担を軽減しましょう。
人材確保等支援助成金の申請を検討される場合、まずは無料相談をしてみてはいかがでしょうか。
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