助成金・補助金の申請を検討している企業のご担当者の中には、申請作業について不安を抱えている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
特に、補助金については申請書類の内容により採択が左右される可能性が大いにあるため、適切な準備が必要です。そのため、助成金・補助金の申請代行を利用する企業もあります。
そこで、この記事では助成金・補助金の申請代行ができる専門家や料金相場、依頼するメリット、業者の選び方、注意点について解説します。
助成金・補助金の申請代行とは
助成金・補助金の申請代行とは、「専門家が、助成金・補助金の申請にかかる手続きや書類作成などを代行するサービス」のことです。
助成金・補助金を受給することで、無償で資金を得ることが可能です。しかし、助成金・補助金を受給するには、各制度に定められた支給要件を満たし、定められた申請方法に則って、手続きを行う必要があります。
そのため、多くの企業が助成金・補助金を申請する際には、申請代行を利用しています。
ここでは、助成金・補助金の申請代行について詳しく解説します。
申請代行業者の資格
申請代行業者となるのに必要な資格をまとめました。
助成金の申請代行 | 社会保険労務士の資格をもっていることが必須 |
---|---|
補助金の申請代行 | 特になし |
厚生労働省管轄の助成金は、社会保険労務士(社労士)のみ申請代行可能です。公認会計士、税理士などの資格をもっていても、社労士の資格をもっていない場合には助成金の申請代行はできないため、注意してください。
ただし、社労士事務所以外のコンサルティング会社などでも社労士が在籍していたり、社労士を紹介することで、助成金の申請を扱う企業もあります。
一方、補助金の申請代行に必要な資格は、特にありません。そのため、誰でも代行業者として申請の代行が可能です。
ただし、補助金制度に精通していなければ代行は難しいため、以下のような資格を持っている場合に、申請を代行している場合が多く見られます。
- 行政書士
- 中小企業診断士
- 弁護士
- 税理士、公認会計士
特に中小企業診断士・行政書士などは、補助金に関する知見が深い資格といえるでしょう。補助金の申請代行を依頼する際には参考にしてください。
一般的なサービス内容
一般的な助成金・補助金の申請代行が行っているサポート内容をまとめました。
- 自社に適した助成金・補助金の提案
- 申請したい助成金・補助金を受給するための事業計画や自社体制の整備のサポート
- 申請書類の作成サポート
- 助成金・補助金申請におけるスケジュール管理
ただし、すべてのサービスを申請代行業者が行っているわけではありません。
そのため、「助成金・補助金の申請をはじめて行う」「助成金・補助金にかかる手間や時間を極力抑えたい」「自社に適した助成金・補助金を複数提案してほしい」といった場合には、幅広い範囲のサポートが可能な申請代行業者に依頼することがおすすめです。
サービス内容はホームページを確認するだけでなく、担当者に希望を伝えたうえで、納得できるサービスを受けられるかどうか確認すると良いでしょう。


助成金・補助金の申請代行を依頼すべき理由
ここでは申請代行を依頼すべき理由や依頼することで受けられるメリットについて解説します。
申請の手間や時間を低減できるため
申請書を作成するには、申請書への記入や添付書類の準備など、多くの労力がかかります。特にはじめて申請する場合には、内容を確認し理解しながら行わなければならないため、大きな負担になる可能性があるでしょう。
申請代行を依頼することで、こうした手間や担当者を充てるための人件費が低減でき、本業に集中できる環境を整備できるでしょう。
また自社だけで行うと、助成金・補助金の申請に思った以上に人員や工数がかかり、人件費がかさむ可能性があります。そのため、トータルコストで考えると、申請を代行する方が費用を安く抑えられる可能性もあります。
経営に関するアドバイスをもらえるため
助成金・補助金を申請する際には、業務効率化や生産性の向上、職場環境を改善するために、自社の将来的な事業計画を作成することが求められます。
その際、自社だけでは「経営の方向性が合っているかわからない」と不安になる事業主もいるでしょう。
申請代行のプロに依頼することで、事業計画に対するアドバイスを受けられます。また、第三者視点から確認することで、経営の強みや課題を発見できる可能性もあるため、自社の経営にとってプラスの影響を得られる可能性もあります。
最新の情報を把握できるため
助成金は社会情勢やニーズに応じて、新設・改正・廃止などがされることが多くあります。
助成金は数多くの種類があるため、こうした変動のすべてを自社で把握することは難しいでしょう。しかし、助成金・補助金の申請代行であれば、最新情報を把握したうえで自社でやるべきことをサポートしてくれるのです。
【助成金】確実な受給につながるため
助成金の場合、支給要件を満たせば基本的には資金を受給できることから、補助金よりも受給難易度は低いといわれています。
しかし、いざ助成金の公募要領やガイドブックなどを確認してみると、内容が複雑であったり、申請手順や期日を順守する必要があったりと、制度に関する深い理解が必要になることがわかるでしょう。
支給要件をすべて満たし、申請手順や期日を順守し、確実に助成金を受給するには助成金の申請代行を依頼することがおすすめです。
【補助金】採択の確率を高められるため
あらかじめ予算が決められている補助金では、審査の通過が必須です。人気の補助金の場合には、応募倍率が高くなる可能性が大いにあります。
応募が多い場合には、審査員によって申請書の内容を審査されるため、採択されるにはどのような申請書を作成するかが非常に重要です。
そのため、申請代行の実績が豊富な専門家に依頼することで、申請書作成のポイントや審査員へのアピールできる方法などを押さえて作成してもらえるため、採択の確率が高まるでしょう。
スムーズで的確な申請を行いたい場合、まずは専門家に相談してみることがおすすめです。
「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!
助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説助成金・補助金の申請代行にかかる費用相場
申請代行を依頼する際の一般的な料金体系には、「着手金+成功報酬」もしくは「成功報酬のみ」の2つのパターンがあります。
- 着手金:申請代行サポートの実施前に支払うお金
- 成功報酬:助成金・補助金が支給されたときに支払うお金
※一般的に、初回相談は無料
申請代行にかかる費用は、各専門家や申請代行業者が自由に設定しているため、見積もりを依頼することがおすすめです。以下に、それぞれの料金体系における費用相場や特徴についてまとめました。
着手金+成功報酬
この料金体系の費用相場は、着手金(2~10万円程度)+成功報酬(10~15%程度)です。
着手金を支払ったのち、各助成金・補助金の支給要件に応じた事業計画の策定のアドバイスや申請書類や申請書の準備まで行ってくれます。
補助金の申請代行業者は、「着手金+成功報酬」の料金体系をとっている業者が多い傾向です
成功報酬のみ
成功報酬のみの費用相場は、成功報酬(20%程度)です。
受給金額が高額な補助金を申請する場合、「成功報酬のみ」の料金体系をとっている業者に依頼すると、「着手金+成功報酬」の業者に比べて多くの費用がかかる可能性があるため、注意が必要です。
費用を抑えることも大切ですが、あまりに料金が安い業者は思ったようなサービスを受けられないリスクがあります。相場よりも明らかに金額が安い場合には、理由を確認して見極めることが重要です。


助成金・補助金の申請代行業者の選び方
それでは、助成金・補助金の申請代行を依頼する場合、どのような業者を選べばメリットを最大限享受できるのでしょうか。ここからは、申請代行業者を選ぶポイントを解説します。
実績・経験は豊富さを確認する
申請代行に知見のある資格をもっていても、助成金・補助金の申請代行を積極的に行っているとは限りません。例えば、社労士であっても助成金の申請サポートに注力していない事務所も多くあります。
そのため、保有している資格とともに申請代行の実績や経験を必ず確認しましょう。
また、補助金の場合には実績・経験が豊富なコンサルタントに相談することで、打ち合わせの中で事業計画書がより洗練され、採択の確率を高められる可能性もあります。
柔軟な対応力があるかを確認する
相談したいときに、すぐに相談できる対応力があるかどうかを確認しましょう。
例えば、オンラインツールの活用は可能か、スピーディーな対応をしてくれるか、訪問は何回まで可能かといった点です。
特にはじめて助成金を申請する際には、寄り添った対応をしてくれると安心できますよね。普段からどのような対応が可能かについては、十分に確認しておきたいところです。
円滑なコミュニケーション力があるか
助成金・補助金の申請から受給までは、およそ数か月~1年以上かかることが一般的です。そのため、長期間にわたって申請代行業者とはコミュニケーションを取りながら作業を行うことが求められます。
担当者が円滑なコミュニケーション力(プレゼンテーション力、説明力、聞き取り能力など)を備えているかどうかを、初回の相談や打ち合わせ時に確認しましょう。
適切なスケジュール管理能力を備えているか
助成金・補助金の申請手順や期限は明確に定められているため、申請マニュアルに則って提出することが必要です。
1日でも申請期日に提出が遅れた場合や必要書類に不備がある状態で提出し、期日後にミスが発覚した場合には助成金を受給できない可能性があります。
また数か月~1年以上かけて行う事業であることから、助成金・補助金の申請に慣れていないと「期日を忘れてしまった」「必要な書類準備にかかる時間を見誤った」などの人的ミスにつながる可能性が高くなります。
こうした理由により、適切なスケジュール管理が可能な申請代行業者を選ぶことが大切です。担当者にかかる負担を大幅に低減できるとともに助成金・補助金の受給成功率を高められるでしょう。
助成金・補助金の申請代行業者を選ぶ際の注意点
それでは、最後に助成金・補助金の申請代行業者を選ぶ際の注意点を解説します。
サポート内容を正確に把握する
サポート内容については正確に把握しましょう。
契約後に「○○はサポート範囲外です、別途料金がかかります」ということになると、余計に費用がかかる可能性があるためです。
不明点や不明瞭な点があれば詳細を必ず確認し、契約書面にて確認することがおすすめです。
一から丸投げはできない
申請代行業者は、助成金のプロではあるもののあくまで申請サポートであることは留意しておきましょう。
「助成金を受給できるように、事業計画の立案や取り組みの実施をすべてお願いします」という依頼はできません。自社の経営がより改善・発展していくために、サポートしてもらうという気持ちで依頼しましょう。
悪質な代行業者でないか見極める
助成金の申請代行業者の中には、悪質な代行業者も存在します。例えば、虚偽申請などの不正受給をするようにいわれたり、後から高額な報酬を請求されたりする可能性があるのです。
こうした事態に陥らないように、過去の実績や評判については十分に調べてから契約しましょう。また、契約時のサポート内容や料金については、必ず書面などの形に残るもので受け取ってください。


助成金の申請代行を利用した受給事例
最後に、助成金の申請代行を行っている「助成金サポート.JP」における受給事例を3つ紹介します。
美容業の事例
美容業を営むE社(従業員数10名)は、申請代行によるサポートのもと、キャリアアップ助成金や両立支援等助成金を受給しました。
受給できた助成金 | 助成額 |
---|---|
キャリアアップ助成金 正社員化コース(有期→正規) |
57万円×6名=342万円 |
両立支援等助成金 出生時両立支援コース(1人目) |
57万円(※1) |
両立支援等助成金 出生時両立支援コース(2人目~) |
14.25万円×2名=28.5万円(※1) |
合計427.5万円 |
※令和3年度以前の制度
・お客様からのお声
助成金サポート.JPさんのおかげで、自社で不安のあった労務の問題を解消しつつ、助成金を受給することができました。受け取った助成金は店内の改装費用や新たな採用の為の広告費に役立てています。
飲食業の事例
飲食業を営むS社(従業員数5名)は、申請代行によるサポートのもと、キャリアアップ助成金や人材確保等支援助成金を受給しました。
受給できた助成金 | 助成額 |
---|---|
キャリアアップ助成金 正社員化コース(有期→正規) |
57万円×4名=228万円(2) |
人材確保等支援助成金 雇用管理制度助成コース |
57万円(※3) |
合計285万円 |
※2 令和5年11月28日以前の制度
※3 令和3年度以前の制度
・お客様からのお声
以前他社でお願いしたことがあったのですが、向こうから連絡はなく、結局書類の準備が不十分で期限を迎えて頓挫した経緯がありました。
助成金サポート.JPさんは、リマインドの連絡や進捗報告など適宜して下さり、仕事の合間に対応することができました。無事受給することができ、嬉しく思います。
通信販売業の事例
通信販売業を営むA社(従業員数12名)は、申請代行によるサポートのもと、キャリアアップ助成金や人材確保等支援助成金、特定求職者雇用開発助成金を受給しました。
受給できた助成金 | 助成額 |
---|---|
キャリアアップ助成金 正社員化コース(有期→正規) |
6名 342万円 |
キャリアアップ助成金 正社員化コース(有期→無期) |
2名 57万円 |
キャリアアップ助成金 正社員化コース(無期→正規) |
1名 28.5万円 |
人材確保等支援助成金 人事評価改善等助成コース |
50万円 |
特定求職者雇用開発助成金 特定就職困難者コース |
120万円 |
合計597.5万円 |
・お客様からのお声
当初は正社員化コース5名のみを依頼しておりましたが、申請を進めていく途中で新たに社員も増えたので追加4名分も依頼しました。合わせて障害者雇用をすることになったため、そちらも申請していただきました。
助成金の申請は大変だと聞いていたのですが、代行してくださったので今後も引き続き申請を頼みたいです。今後は社員研修に関する助成金を活用して会社全体の活性化を行っていきます。
申請代行の詳細やその他の事例は、以下のページもご覧ください。
関連サイト:雇用関連の助成金申請サポートなら助成金サポート.jp
まとめ
助成金・補助金の申請代行を依頼することで、自社にかかる負担を低減するだけでなく、補助金の場合には採択率の向上につながります。
メリットを最大限受けられるように、申請代行業者を選定する際にはきちんとコミュニケーションを取り、納得したうえで依頼してください。助成金・補助金の申請を検討している企業の方は、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。


