キャリアアップ助成金は、労働者の教育によるキャリアアップ支援だけでなく有期契約労働者を正規雇用労働者等などに転換するだけでも受け取ることができる助成金です。助成金をうまく活用すれば、職場のモチベーションを上げることもできて、従業員のためにもなって一石二鳥ですよね!この記事では、そんなキャリアアップ助成金の活用方法例をご紹介していきたいと思います!

助成金って、本当にお金がもらえるの!?

「国からもらえる助成金の話、よく聞くんだけどなあ」となんとなく思っている方は多いのではないでしょうか。近年、キャリアアップ助成金はさまざまなメディアで取り上げることが多くなりました。そのため、助成金の認知度は急上昇しています。しかし、「胡散臭い」「何か裏があるのではないか」といった疑いを持たれる方や、「書類を集めるのが面倒くさそう」「日常の業務で手一杯でイマイチ踏み込めない」という方も多くいるのも事実。そこで、今回はわかりやすく簡潔に助成金についての正しい情報をご紹介いたします。意外と簡単に受け取れるものもあるので、是非参考にしてください!

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受給額は1社800万円以上にも!?

助成金には多くの種類があり、条件を整えれば1社で800万円以上もの金額を受け取ることができる場合も考えられます。
助成金は、国(厚生労働省)が管轄するものから都道府県や市区町村が管轄するものがあります。その中でも、国(厚生労働省)が管轄している助成金は、会社が毎年申告して納める労働保険料の一部が財源となっています。

毎年厚生労働省からは様々な助成金が出ている一方で、その制度の存在を知っている一部の会社しか申請していなかったといえます。

せっかく労働保険料を支払っているのに、申請しないのは大変もったいないですよね。以下では助成金の中でも、大変人気が高く、申請数の多いキャリアアップ助成金についてご紹介いたします。

キャリアアップ助成金の正社員化コースが人気!

キャリアアップ助成金の中にも色々なコースがありますが、「正社員化コース」は特に人気の高い制度です。その人気の秘密は、①申請し易い、②受給額が大きいといったことが言えるでしょう。6か月以上雇用しているパート、アルバイト社員を含めた有期契約の社員を正社員に転換し、さらに6か月雇用すると、助成金の支給申請が行えます。(ただし、平成30年4月1以降に転換する場合、転換前の雇用された期間が3年以下の場合に限る予定です。)助成額は1人あたり57万円。

つまり、有期契約6か月→正社員に転換し6か月→57万円、ということ。

「えっ、そんなの知らなかった!」と驚く経営者の方もまだまだ多いと思います。しかも、この金額は一社あたりではなく、一人あたりなんです。現行の制度ですと、1年度1事業所当たりで支給申請できる上限人数は15人まで。(ただし、平成30年4月1以降に転換する場合、上限人数を一事業所当たり20人に拡大予定。)57万円×15人だとしたら、855万円にも!?なります。大変な金額が助成されるんですね。

Check!

「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!

助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説

バリエーションが豊富!社内状況に応じて活用自在

「正社員化コース」以外にも、キャリアアップ助成金には様々なコースが用意されています。ここでは、各コースの要件や助成金額について、もう少し詳しく見ていきましょう。

※助成額は中小企業の場合の額。大企業の場合は額が異なり、助成額は少なくなります。
※ここでは代表的な要件に絞っていますので、詳細は各都道府県労働局、管轄ハローワークにお尋ねください。
※<>は生産性の向上が認められ、一定の要件を満たした場合の額になります。申告した決算書や確定申告書の一部が提出書類になります。

正社員化コース

【要件】有期契約労働者等を 正規雇用労働者等に 転換又は直接雇用した場合

【助成額】

  1. 有期→正規:1人当たり57万円<72万円>
  2. 有期→無期:1人当たり28万5,000円<36万円>
  3. 無期→正規:1人当たり28万5,000円<36万円>

人材育成コース

【要件】有期契約労働者等に 次のいずれかの訓練を実施

  • 一般職業訓練(OFFJT)
  • 有期実習型訓練 (「ジョブ・カード」を活用したOFF-JT+OJT)

【助成額】

①OFF-JT 賃金助成:1h当たり760円<960円>

経費助成:実費助成

※経費助成には、訓練時間数に応じて1人当たりに一定の限度額があります。

②OJT 実施助成:1h当たり760円<960円>

※Off-JTとは、講義形式の研修など、通常の労働とは区別して業務の遂行の過程外で行われる職業訓練のことです。
※OJTとは、上司などの適格な指導者の指導の下、働きながら実務を通じた実践的な技能や知識の習得をする職業訓練のことです。

賃金規定等改定コース

【要件】全て又は一部の有期契約労働者等の基本給の賃金規定等を、増額改定した場合

【助成額】

① 全ての賃金規定等を2%以上増額改定

対象労働者数に応じて金額が異なります。

  • 1人~3人:95,000円<12万円>
  • 4人~6人:19万円<24万円>
  • 7人~10人:28万5,000円<36万円>
  • 11人~100人:1人当たり28,500円<36,000円>

② 雇用形態別、職種別等の賃金規定等を2%以上増額改定

対象労働者数に応じて金額が異なります。

  • 1人~3人:47,500円<60,000円>
  • 4人~6人:95,000円<12万円>
  • 7人~10人:14万2,500円<18万円>
  • 11人~100人:1人当たり14,250円<18,000円>

健康診断制度コース

【要件】有期契約労働者等を対象に「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、4人以上に実施した場合

【助成額】1事業所当たり38万円<48万円>

賃金規定等共通化コース

【要件】有期契約労働者等と正社員との共通の賃金規定等を新たに規定・適用した場合

【助成額】1事業所当たり57万円<72万円>

諸手当制度共通化コース

【要件】有期契約労働者等と正社員との共通の諸手当制度を新たに規定・適用した場合

【助成額】1事業所当たり38万円<48万円>

※他に「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」「短時間労働者労働時間延長コース」もあります。

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法改正情報!

上記の助成金の要件や助成額は、平成29年度の制度になります。毎年4月1日以降は制度が改定され、要件の変更、金額の改定、制度の新設、廃止などが行われますので、新しい情報を常にキャッチしていくことが大切です。

例えば、「キャリアアップ助成金正社員化コース」は、正社員に転換後の賃金が、5%以上増額したものに限る、といった要件が追加される予定です。確定した制度が公表されるのは、4月1日以降となります。

申請ってどうやるの!?

様々な制度の詳細をご紹介してきましたが、どのような印象を持たれたでしょうか。

お金をもらえるのはいいけれど、どれくらいの手間と知識が必要なのだろうか、また、実際何をどこから進めたら自社で実行できるのだろうか、といった感想を持たれるかもしれません。確かに、助成金の要件は多く、作成、提出する書類は多いです。また、助成金の要件を満たす前提として、労働保険料の確定申告納付を行っていることはもちろん、その他労働関係の諸法令を守った社内環境を整えている、ということが大変重要になってきます。そのためには、正しい法律知識も必要になってきます。

また、助成金の対象者以外で自己都合による退職者がいてもさほど問題にはなりませんが、会社都合の解雇者が出ると、会社として助成金申請ができない場合あります。したがって、退職の問題においても専門家の正しいサポートが大変重要になります。

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社会保険労務士に問い合わせてみよう!

しかし、助成金申請や労働関係諸法令に精通した専門家がいます。それが、社会保険労務士なのです。

助成金制度だけでなく、就業規則や雇用契約書における労働条件の設定など、法令に沿った社内環境を整えるために的確なアドバイスとサポートをしてもらえます。

社会保険労務士がしっかりと対応しているアウトソーシングサービスに依頼することで、さまざまな分かりやすいサポートを受けることができ、安全にかつ確実に申請が行えます。アウトソージングの活用もご検討してはいかがでしょうか?(了)

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弊社担当のご紹介
黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。