経営において資金調達は悩みの種。金融機関から融資を受けるという方法もありますが、そのほかに国や地方自治体からの助成金を利用する方法もあります。助成金であれば返済の不要の資金ですので、資金繰りの方法として活用しない手はありませんよね。

東京都では厚生労働省の東京労働局や東京都中小企業振興公社が多くの助成金事業を行っています。そこで今回は東京都で事業を行っている方なら対象になる可能性のある助成金について詳しく解説します。

東京都が行っている助成金は主に3種類!

東京都が行っている助成金事業には、大きく分けて「雇用安定」「中小企業振興」「技術開発」の3つがあります。「雇用安定」を目的とした人事面での助成金事業は厚生労働省の東京労働局が行っており、「中小企業振興」や「技術開発」といった運営面での助成金事業は東京都中小企業振興公社が行っています。 それぞれの助成金には受給要件がありますが、雇用に関する助成金はその受給要件に該当していれば高い確率で受給が行われます。

一方で研究開発型の助成金の場合は支給額が多いものの書類審査や面接に通過しなければなりません。 また助成金には申請期間が限定されていることも多いですので、興味のある方はあらかじめチェックをしておいて期間内に申請をすることが大切です。

従業員をクビにしたくない!そんなときの助成金

雇用調整助成金」は事業活動の縮小を余儀なくされたことにより休業や教育訓練、あるいは社員の出向を行った事業主に対して、休業手当や賃金などの一部を助成するというもので、厚生労働省の東京労働局が行っています。

この助成金の受給要件としては、まず雇用保険の適用事業主であることが挙げられます。また売上高や生産量といった事業活動を示す指標の最近3か月間の月平均値が前年同期より10%以上減少していることが対象条件となります。

そのほか行った雇用調整については、休業をした場合には所定労働日の全一日にわたって実施されたか、事業所の従業員(被保険者)全員について一斉に1時間以上実施されたものでなければならないなどいくつかの要件があります。助成金の受給額の上限額は1人1日あたり8205円までです。休業・教育訓練の場合にはその初日から1年の間に最大100日、3年の間に最大150日が受給期限となっており、出向の場合は最長1年の出向期間が受給期限です。(※1)

Check!

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助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説

従業員を新たに雇いたい!そんな場合の助成金

厚生労働省は従業員を新たに雇いたい事業主へ向けて「特定求職者雇用開発助成金」という支援を行っています。この「特定求職者」には高年齢者や障害者のほか、学校卒業後3年以内の若者などが含まれます。 高年齢者や障害者といった就職困難者を雇用した場合、短期労働者として雇用したかそうでないかによって助成金の支給額が異なります。

また第2新卒の若者を雇用した場合の助成金は、中小企業とそれ以外の企業、既卒者と高校中退者によってそれぞれ金額が異なりますので注意が必要です。これらの助成金の受給要件としてはハローワークなどの定められた職業紹介事業者の紹介によって雇い入れることや、一定期間定着させることなどいくつかありますので、興味のある方はあらかじめ確認しておくとよいでしょう。(※1)

職場環境を改善したい!そんな人におすすめの助成金

従業員の処遇や職場環境の改善を図るための助成金事業もあります。「職場定着支援助成金」には「中小企業団体助成コース」と「個別企業育成コース」の2種類があり、「中小企業団体助成コース」は事業協同組合などに助成され、「個別企業助成コース」は評価・処遇制度や研修制度、健康づくり制度、メンター制度などの雇用管理制度を導入した健康・環境・農林漁業分野等の事業主に対して支給されます。

そのほかパート・アルバイトや非正規労働者に対して企業内でのキャリアアップを促進するための教育を行った事業主に対して支給される「キャリアアップ助成金」や、生産性向上につながる人事評価制度と賃金制度を整備した事業主が受給することができる「人事評価改善等助成金」などがあります。社内の職場の改善をよりよくしたいと考えている事業主におすすめの助成金です。(※1)

雇用関係以外にも助成金はさまざま!

助成金制度は雇用関係以外も豊富にあります!
東京都では雇用関係以外にも経営の助けになるさまざまな助成金事業を行っています。東京都中小企業振興公社が行っている助成金事業としては、新製品や新技術の開発に関わるもののほかに製品の実用化や改良に関わるもの、製品開発着手支援といった企画・構想に関わるものなどがあります。ただし製品開発着手支援に関する助成金の場合には、外部の組織や機関、企業に調査研究を委託することが対象条件となるので注意が必要です。

そのほか「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」といった商店街で新規開業する女性や若手男性が新規開業をするに当たり、店舗の新装、改装及び設備導入などにかかる経費の一部を助成してくれる制度もあります。助成金はそれぞれの目的によって受給要件や受給額は異なります。

おわりに

東京都が支援事業として行っている助成金制度は数多くあります。
今の苦境をなんとか乗り越えたいという事業主の方はもちろんのこと、東京都内で新たに創業を考えている方もまずはどのような助成金があるのかをチェックしてみましょう。事業の対象となる助成金を見つけて賢い資金調達の方法として活用してください(※2)

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弊社担当のご紹介
黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。