誠実な従業員と事業所運営を継続していきたい、新しく社員を雇用して新規事業を展開したいけれど資金が不足しそうなのが気がかりという事業所の経営者の方もいるでしょう。そのような資金不足の問題を解決する方法の一つとして、助成金の活用が挙げられます。 ここで紹介する助成金はハローワークに申請することで受給できるもので、返済不要のお金です。今回は、どのような種類の助成金があるのか、申請の手続きはどうすれば良いのかなど説明していきます。

助成金を受給するまでの流れ

ハローワークに申請して受給できる助成金の制度は、事業主を支援する目的で設けられています。雇用保険を適用している事業所であること、雇用保険に加入できる労働者を雇用することなどの要件を満たしていれば、誰でも返済不要の助成金を受給できる可能性があります。助成金を活用する場合は、事業所が申請の要件を満たしていることをまず確認し、必要な書類を準備してハローワークに申請します。その後に申請書に記載した事業計画などを実行し、後払いの形で助成金を受給します。

事業計画を実行している期間中に、書類を定期的に提出する形が多いです。必要な書類をそろえて申請した後で事業に取りかかるという手順をふむのが原則です。申請前に事業に取り掛かってしまうと助成金を受給できないので、注意しましょう。ここからは、多数ある助成金の一部を紹介します。

雇用調整助成金

事業所の売上が落ちてこのままでは事業縮小もしくは倒産もやむを得ない状況ではあるものの、がんばって働いてくれている従業員をリストラ・解雇したくないという場合に役立つ可能性が高い助成金です。

事業縮小などで雇用が難しくなった従業員を「休業」させる場合に休業手当の一部として活用する、従業員のスキルアップのために実施する「教育訓練」の費用の一部として活用する、従業員を別の事業所へ「出向」させる場合の費用の一部として活用する、という3タイプがあります。(※1)1年間を原則として、休業手当や出向先の給料の3分の2までを受給することができます。事業所の売り上げが落ちていることを証明できる書類や、休業や教育訓練の実行計画書などの書類をそろえて申請します。

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助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説

トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)

働いたことがない、働いた経験が少ないけれど働いてみたいと希望する障害者を試験的に雇用してみようという事業主が活用できる可能性が高い助成金です。働いてみたいという障害者の気持ちと試験的に働いてみてもらってから本格的に雇用したいという事業主の気持ちの両方を支援してくれる助成金だといえます。

ハローワークなどで紹介された障害者を雇用した場合、1人あたり月額4万円を受給できます。短時間トライアルの場合は2万円、精神障害者を初めて雇用した場合は8万円を受給できます。雇用できる障害者の条件・労働時間の条件などがあり、雇用計画を提出する必要もあります。トライアル雇用助成金は、生活保護受給者・父子家庭や母子家庭の父母・住所のない人などを雇用してみようと考える事業主が受給できる「一般トライアルコース」もあります。(※2)

両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)

従業員が介護離職することを防止するための対策に取り組みたい、と考えている事業主が活用できる助成金です。家族に介護が必要になった従業員に対して介護休業制度の内容を説明して休業させた場合に、1人あたり57万円の助成金が受給できます。アンケートの実施や介護支援プランの作成が必要です。対象となる従業員の人数に上限がありますが、受給したお金を介護見舞金にするなど従業員の励みになるような使い方ができそうです。(※3)

ここまで挙げてきた例はほんの一部で、助成金の種類はたくさんあります。そして、時代の変化に合わせて名前や内容が頻繁に変わるので、申請する場合にはハローワークなどで最新情報を入手するようにしましょう。

確実に助成金を受給するには

助成金にはたくさんの種類がありますが、厚生労働省のサイトにある「雇用関係助成金検索表」を使うと、自分の経営している事業所で利用できそうな助成金を簡単に調べることができます。(※4)そして、検索表の矢印の先に表示されている助成金のページを開くと、申請のための条件や支給額、手続き方法などが詳しく記載されています。また、ハローワークの窓口でも助成金に関するガイドブックをもらうことができます。サイトやガイドブックを実際に見てみると、雇用に関連する言葉が多用されているので初めて読むような場合はとまどってしまうこともあるでしょう。

用語を理解するのに困難を感じて、申請を断念してしまうこともあるかもしれません。助成金を活用したいけれど自分で申請するのが難しいと感じた場合は、申請を代行してくれる業者の力を借りてみてはいかがでしょうか。助成金申請に実績のある代行業者に依頼すれば、自分の事業所にとって有効な助成金の種類をアドバイス・書類の作成・窓口での申請などすべて任せることができるので安心できます。慣れない助成金申請に時間をさくことなく、なにより大切な事業の経営に集中することができます。

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弊社担当のご紹介
黒沢晃
黒沢晃(助成金コンサルタント)
商社にて新卒採用の人事を担当した後、人材コンサルタントとして企業の人事戦略を支援。2016年から中小企業や個人事業主を対象として助成金を活用した経営サポートに従事。現在は年間100社以上をサポートする。