新しい製品の開発や生産ラインの効率化を目指す際、多くの場合必要になるのが設備投資です。
しかし、企業や個人事業主にとって、大きな投資をするための資金調達は一筋縄ではいきません。
そこで注目されているのが「ものづくり補助金」です。この補助金は、事業者が新技術の導入や設備投資を行う際に、その費用の一部を国が負担する制度です。
そこで、この記事ではものづくり補助金の概要や対象事業主の要件、補助額について詳しく解説します。
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金とは、「生産性向上のための革新的サービス・試作品開発・生産プロセスの改善、海外需要開拓を行うための設備投資などを支援する制度」です。
正式名称は、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金ですが、ものづくり補助金と一般的に呼ばれています。
働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入などの直面する制度変更への対応を後押しする目的で制定されました。
令和7年4月22日時点で、取り組み内容に応じた以下の2つのコースが設置されています。
- 製品・サービス高付加価値化枠
- グローバル枠
また、賃上げや最低賃金の引き上げの内容によっては、補助上限が引き上げられる特例が設けられているため、より多くの補助金を受給できる可能性があります。
2025年のものづくり補助金(第19次公募)は、公募期間は2025年2月14日~4月25日までです。この記事では、第19次公募における対象事業主や各コースの主な支給要件、補助率・補助上限額などを解説します。
対象となる事業主
ものづくり補助金の対象となる事業主は、以下のいずれかに該当する事業主です。
- 中小事業主
- 小規模事業者
- 特定事業者の一部(組合または連合会、特定非営利活動法人、社会福祉法人)
各事業主の定義については、モノづくり補助金の公募要領を確認するか、もしくは補助金コンサルに相談してください。
またものづくり補助金の対象には、個人事業主も含まれています。個人事業主の方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
関連記事:【2025最新】ものづくり補助金は個人事業主も対象?要件や注意点を解説


ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠)
ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠)とは、「革新的な新製品・新サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資などを支援するコース」です。
ここでいう革新的な新製品・新サービス開発とは、顧客に新たな価値を提供することを目的とした製品・サービス開発への取り組みを指します。そのため、単純な設備・システムを導入することによる業務効率化などは対象とならない点に注意が必要です。
また、同業の中小事業者や同一地域における同業他社において、すでに一定以上普及している新製品・新サービスの開発も該当しません。
そのため、自社の独自性を活かした新製品・新サービス開発について、まず分析することが大切です。
補助率・補助金額
ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠)の補助率・補助上限額をまとめました。
補助率 |
|
---|---|
補助上限額 (補助下限額:100万円) |
従業員数により、以下のように異なる
|
補助対象となる経費
ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠)の補助対象となる経費には、以下のようなものが挙げられます。
経費の種類 | 概要 |
---|---|
機械装置・システム構築費(必須) | 機械装置や工具・器具、専用ソフトウェア・情報システムの経費など
※単価50万円(税抜)以上であること |
運搬費 | 運搬料や宅配・郵送料などの経費 |
技術導入費 | 本事業の実施に必要な知的財産権などの導入にかかる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/3 |
知的財産権等関連経費 | 新製品・新サービスの事業化にあたって必要となる知的財産権の取得にかかる弁理士の手続き代行費用など
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/3 |
外注費 | 新製品・サービスの開発に必要な加工や設計などの一部を外注にかかる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/3 |
専門家経費 | 本事業の実施のために依頼した専門家に支払われる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/2 |
クラウドサービス利用費 | クラウドサービスの利用にかかる経費 |
原材料費 | 試作品の開発に必要な原材料や副資材の購入にかかる経費 |
「そもそも助成金って何?」「個人事業主でももらえるものなの?」という疑問をお持ちの方はこちら!助成金の制度や仕組みについてわかりやすく解説しています!
助成金とは?対象者や受給条件・申請の方法まで徹底解説ものづくり補助金(グローバル枠)
ものづくり補助金(グローバル枠)とは、「海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備・システム投資などを支援するコース」です。
ここでいう海外事業とは、以下のいずれかに関する事業のことです。
- 海外への直接投資に関する事業
- 海外市場開拓(輸出)に
- 関する事業、インバウンド対応に関する事業、海外企業との共同で行う事業
補助率・補助金額
ものづくり補助金(グローバル枠)の補助率・補助上限額をまとめました。
補助率 |
|
---|---|
補助上限額 (補助下限額:100万円) |
3,000万円 |
補助対象となる経費
ものづくり補助金(グローバル枠)の補助対象となる経費には、以下のようなものが挙げられます。
経費の種類 | 概要 |
---|---|
機械装置・システム構築費(必須) | 機械装置や工具・器具、専用ソフトウェア・情報システムの経費など
※単価50万円(税抜)以上であること |
運搬費 | 運搬料や宅配・郵送料などの経費 |
技術導入費 | 本事業の実施に必要な知的財産権などの導入にかかる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/3 |
知的財産権等関連経費 | 新製品・新サービスの事業化にあたって必要となる知的財産権の取得にかかる弁理士の手続き代行費用など
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/3 |
外注費 | 新製品・サービスの開発に必要な加工や設計などの一部を外注にかかる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/3 |
専門家経費 | 本事業の実施のために依頼した専門家に支払われる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/2 |
クラウドサービス利用費 | クラウドサービスの利用にかかる経費 |
原材料費 | 試作品の開発に必要な原材料や副資材の購入にかかる経費 |
海外旅費 (海外市場開拓・輸出に関する事業のみ) |
本事業に必要不可欠な海外渡航や宿泊などにかかる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/5 |
通訳・翻訳費 (海外市場開拓・輸出に関する事業のみ) |
事業遂行に必要な通訳・翻訳を依頼する際にかかる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/5 |
広告宣伝・販売促進費 (海外市場開拓・輸出に関する事業のみ) |
本事業で開発する新製品・新サービスの海外展開に必要な広告の作成や媒体掲載・展示会出展などにかかる経費
※上限額は補助対象経費総額(税抜)の1/5 |


ものづくり補助金の特例措置
ここでは、ものづくり補助金に設定されている2つの特例措置について解説します。
大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例
大幅な賃金に係る補助上限額引上げの特例とは、「従業員の大幅な賃上げに取り組む事業者を対象に、補助上限額を引き上げる特例」です。
以下の場合には、この特例措置は適用不可となります。
- 各申請枠の補助上限額に達していない場合
- 常時使用する従業員がいない場合
- 再生事業者
- 最低賃金引き上げにかかる補助率引き上げの特例事業者
補助上限引き上げ額は、従業員数に応じて以下のように補助上限額が引き上げられます。
従業員数 | 各コースの補助上限額から引き上げられる金額 |
---|---|
5人以下 | 最大100万円 |
6~20人 | 最大250万円 |
21人~50人 | 最大1,000万円 |
51人以上 | 最大1,000万円 |
最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例
最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例とは、「所定の賃金水準の事業者が最低賃金の引き上げに取り組む場合、補助率を2/3に引き上げる特例」です。
以下の場合には、この特例措置は適用不可となります。
- 常時使用する従業員がいない場合
- 小規模企業・小規模事業者
- 再生事業者
また、この特例措置を適用する場合、基本要件のうち「事業所内最低賃金水準要件」が除外されます。
まとめ
この記事ではものづくり補助金の概要や対象事業主の要件、補助額について解説しました。
ものづくり補助金は、中小企業や小規模企業が生産性向上ための設備・システム投資などを支援する制度です。設備・システム投資にかかる負担を軽減できるため、今後さらなる事業力強化を実施したい企業は、本制度に申請することがおすすめです。
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