これから事業を始める、あるいは業容を拡大したいというとき、零細な町工場でしたら、かかる費用の捻出もままならないことも多く、経営者にとっては頭を悩ませる問題です。そういったときに活用したいのが助成金で、製造業向けの助成金にはさまざまなものがあります。工場の拡大や機材投入などに対しての助成金が用意されていて、ものづくりを支える町工場にとって大きな力となってくれることでしょう。ものづくりは日本経済の基盤であり、優良企業やこれからの活躍が望める企業に対して国は多くの助成金が用意しています。業容を拡大し、より多くの製品の生産を行いたい、生産工程の精度を高めるための機材投入を行いたい、といった事業主のための助成金をここで詳しく紹介します。
製造業向けの助成金
製造業において中小企業が業容を拡大しようと思うと、多くの費用がかかります。事業計画を提出し銀行からお金を借りるのが常套手段ですが、返済義務が生じない助成金の受給を受けるのも魅力的です。申請書類を完備し審査に通る必要がありますが、助成金にはさまざまな種類があり、事業にあった助成金の申請を行い、給付を受けることで業容拡大を図るようにしたいものです。ここでは製造業向けの助成金(補助金)をいくつか紹介します。
省エネルギー投資促進に向けた支援補助金
経済産業省が平成31年度に行う、省エネ性能の高い機器や設備導入による、かかる費用の一部を補助するものです。
①申請する理由
以下の問題を抱えている事業者にとって大きなメリットがあります。
- 設備が古く電気代など光熱費の負担が大きい
- 設備の老朽化が著しい
- メンテナンスコストがかかる
- 最新の設備にしたい
- 業容を拡大したい(ビジネスチャンスを広げたい)
②費用
平成30年度の実施枠は600億円でした。平成31年度もほぼ同規模の予算枠が確保されています。省エネのための設備投資・更新に最大で3,000万円の補助金が出ます。
③注意点
厚労省が行う助成金と違って、経産省が行う補助金は金額が大きくなるので、申請のための書類も膨大になり、費用対効果なども示さなければなりません。しかし、申請にかかるコスト以上の補助金を受けることができるメリットは大きいと言えるでしょう。
事業承継補助金
事業の承継や再編、あるいは統合といった事業転換を図る中小企業者に向けた中小企業庁が行っている補助金制度です。
①補助金対象者
- 2016年4月1日から2019年12月31日までの間に事業再編・統合を行ったあるいは行う予定であること
- 取引や雇用について地域に貢献する中小企業者であること
- 事業について新たな取り組みを行う中小企業者であること
②費用
経営者交代などの事業転換のタイプによって補助率は2分の1から3分の2までとなります。補助上限額は500万円です。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
中小企業者の設備投資や試作開発にかかる費用を支援するもので、管轄は経産省・中小企業庁になります。毎年行われているものではありませんが、近年では平成24年から平成31年まで8年連続で、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の制度が実施されています。
①概要
補正予算額は1,100億円ということですから、かなり大きな補助金制度です。中小業者が対象で、年2回の公募開始期間があり、1次公募が2月末日からの8週間、2次公募が8月上旬からの5週間となっています(平成29年度)。審査による採択率は41%で、過去7年間の申請件数は15万7千件で、採択件数は6万4千件となっています。平成30年度では約1万件の採択件数が予定されています。
②費用
補助上限額は1,000万円となっていますが、補助率は2分の1ですから、投資にかかる全額が補助金でまかなわれるわけではありません。また、例外もあり、先端設備等導入計画の認定を受けた場合は補助率が3分の2になります。
申請を支援する業者について
補助金申請のための事業計画書の作成を支援する業者も存在しています。中には採択率100%を誇る支援業者もいるそうです。申請額も莫大な金額になるため、採択率が高いのであれば、是非とも利用したいところですが、自社の事業としっかり向き合うためにも事業計画書などは自前で作成をしたほうが良いでしょう。
まとめ
製造業向けの補助金を紹介しました。どれも、これから業容を拡大したい中小業者にとっては魅力的な制度となっています。ただし、採択率は公表されている、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」で41%ということですから、雇用関係の助成金と違って申請さえすれば通るというものではありません。しっかりとした理念や事業計画をもって申請に取り組みましょう。