美容室を一人で開業するなら注意しておきたいこと

ある程度の期間、勤務美容師として技術を磨いてきたら、独立を考えるようになる美容師も多くいます。独立には、友人の美容師と共同経営者になったり、夫婦で開業したり、とさまざまな形態がみられますが、一人で開業することも可能です。

独立当初は、従前に指名してくれていた顧客が独立店舗へ来てくれるような場合があれば、一定数の来客数が見込め、開業当初から従業員を雇う場合もあります。

しかし、こうした特殊事情がないような場合、開業当初はそれほど顧客が見込めない場合がほとんどでしょう。一人で経営した方が気楽な場合もありますが、このように、従業員を雇用せずに一人で美容室を開業する場合に注意しておきたいことがあります。

今回は、美容室を一人で開業するにあたり、注意しておくべき点を中心にみていきましょう。

一人で開業するメリット

そもそも一つで美容室を開業するメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

一人で開業するなら管理美容師の資格は不要

美容師の免許などを規定する美容師法では、「美容師が複数いる美容所の開設者は、美容所の衛生管理の責任者として管理美容師を置かなくてはならない。」と規定しています。

そのため、一人営業の場合、美容師は「複数」いないため、管理美容師の資格は不要です。美容室の経営が軌道に乗り、他の美容師を雇う場合には、管理美容師の資格を取る必要がでてきます。

利益率は高い

雇用されている場合、給与体系などはその美容室を経営している会社で決められていますし、どんなに技術を身につけたとしても、施術料金には限界があるのが現状でしょう。

しかし、一人経営の美容室ならば、自分で料金を設定することが可能になります。腕に自身があるのならば、料金を上げられるため、結果的に客単価が上がり、利益率を高めることができるのです。

開業資金は少なくて済む

一人で美容室を開業する場合に必要な資金の中において、大部分は店舗賃料や人件費が占めます。しかし、一人経営ならば狭い物件でも可能なため賃料を低く抑えることができますし、人件費もかかりません。そのため、元手が少なくても開業することができるというメリットがあります。

人間関係を気にする必要がないから接客に集中できる

他人を雇用しないと、雑用でも細かいことでも自分でしなくてはなりません。他方、人関係を気にする必要もありませんし、従業員の教育やマネジメントなどの点について、気を配る必要がないのです。

このため、一人経営の場合は、自分自身の接客や経営だけに集中することができるというメリットがあります。

一人で美容室を開業するなら気をつけておきたいこと

一人で美容室を経営するのはメリットばかりではなく、気をつけるべきこともあります。具体的にみていきましょう。

作業室の床面積は最低でも13㎡必要

美容室を開業するためには、保健所から営業許可を得る必要があり、これには13㎡以上の作業室が必要と定められています。このため、本来ならば別の目的で使用したいスペースを作業室に充てなければならないため、スペースを活かしきれない場合もあるのです。

一人でも営業許可を得るためにはある程度の設備が必要になる

また、たとえ来客数が少なくても、一定の決められた設備として、消毒施設やゴミ箱などは必要となります。美容室を経営していくためには、予約を受けるための電話回線使用料や広告宣伝費なども必要です。逆に売上が上がっても、これらの費用は上がらないため、負担にならなくなっていきます。

一人で接客できる客数には限界があるため売上にも限界がある

たとえば、一名につき一時間かかる場合、仮に客単価が5,000円ならば、一時間の時給は5,000円が限度となってしまいます。パーマなど料金は高いものもありますが、その分時間がかかってしまいます。

どんなに早く施術できても限界がありますので、売上にも限界がある、と認識する必要があるでしょう。

一人で開業するなら間借りすることもできる

近年、フリーランス美容師といって、既存の美容室を借りて、美容施術を提供することもできるようになっています。

施術の依頼が入った時点で、既存の美容室を間借りして美容施術を提供するのです。顧客から施術料金を受け取るととともに、間借りした美容室へ施設利用料を支払います。

このような業態方法は、高い賃料や設備投資をせずとも、開業することができるという新しい美容師の働き方として注目を集めているのです。

なお、間借り（面貸し）した場合の施設利用料については、「歩合制」と「時間制」の2種類があります。各施設によって決められているのです。時間制の場合は一時間1500円程度で、歩合制の場合は売上の30%程度が相場になっています。

フリーランス美容師として、面貸しで経営を行うメリットは、来客がない時には店舗の光熱費や賃料などランニングコストがかからない点です。初期投資を少なくできるため、リスクが少ない点もメリットになります。

ただし、その分店のブランド力ではなく個人の美容師として信用を勝ち取らなければなりません。個人のブランド力が必要になる、いわゆる実力で勝負することになるのです。

店舗を開く？個人ブランドで勝負する？

一人で美容室を開業するメリットは、いくつかあります。たとえば、美容室に勤務している時のような煩わしい人間関係から解放されること、料金設定など自由に決めることができるため利益率を上げられること、余計なことに縛られることなく業務に集中できることなどです。

近年では、既存の美容室を間借りして業務を行うフリーランス美容師も多くなっています。これは、一人で美容室の経営を始める時の設備投資などのデメリットを避けるためです。

どちらを選ぶかは、自分次第ですが、利益率が高いのは、自らの店舗を持ち、経営していく場合になっています。